PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

SQ636:SIN-HND ファースト(その2)

夜も良い時間なので、ウェルカムドリンクはChampagneで。Nocturneなんて積んでいるはずないので、贅沢は言いますまい。

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SQは、Dom Pérignon 2006とKrug Grande Cuvée Brutという「ありふれた」Champagneを2種揃えています。明らかに高価なのに、ありふれているという形容詞がしっくりくる商品。もちろん味わいもよく知られており、驚きはありません。しかしこの2種は、味わいや顧客に関して全く異なるベクトルを持つ商品。2つ揃えてどちらでも提供していることがポイント。写真はDom Pérignon。

 

カニココ間におうた*はずなのに、もう3杯目。離陸前にも、気前よく注ぐのはファーストクラスならでは。

*:「かにここ」って、これで使い方おうてます?最近聞くことないし、自信ないねんな。

 

ワインリストに珍しい白を発見。

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Beaune, Bressandesの赤は時々見ますが、白はフランス国外の店で見たことがありません。もし欲しくなったら、Beauneへ買いに行くのが早いというワイン。どれだけ赤と似ているか試してみたかったのですが、残念ながら搭載していませんでした。その代りに用意されていたのが、Chablis 1er Cru。頭の中で機内食との組み合わせをシミュレートしていたのですが、がっかり。不貞腐れてKrug機内食を通しました。

 

Dom Pérignonは100%グランクリュだと言っていますが、Champagne地方のグランクリュはBourgogne, Bordeauxでは村にあたる区域です。物は言いようです。Krugの説明にsavoir faireとありますが、この文脈だとknow-howの意。そのままknow howとしては、何がいけなかったのでしょうか。それはともかく、説明にもある通りブレンドを尽くしたChampagne。ワインは、畑、収穫年、品種に制限が加わるほど格上になるので、微妙な宣伝。

 

機内食は、和食を薦められました。東山の広大な墓地を臨む菊乃井。その主人、村田氏の監修による機内食。このところずっとSQは、これ。

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この人はサービス供給側から京都人の本音をズケズケと言って、貴重な人材やと思います。しかしその活動が盛んになってから(つまりずいぶん昔に)味は落ちたというのが、知り合いの道楽者たちの共通した意見。

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料理人が著作やメディア露出で有名になると、本業で質の低下を起こすのはこの世のならい。驚くにおよびません。「同氏自慢の極上の味わいを機内にてお楽しみください。」なんて、「(小声で)自慢されてもろぅても...」となることは必至ですが、乗務員が薦めてくれたこともあり、ネタと割り切ることに。うちら日本の者(もん)どすさかい、和食のことようわからしまへんのどす。

 

食器は何年も変わっていないようです。トレイは安物ですが、清潔感があって良好。突出し3点は涼しげ。夏季には、当たり前の演出。

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火山噴火後に拾(ひら)ってきた石のような容器は、やはり鳴海製。

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中は、お魚どした。

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機内だということを考えると、まずまず良い状態。タレなのか何なのかよくわかりませんが、適度な粘度を持った液体は、柑橘系の味わいで爽やかにしているのがポイントでしょうか。ただ味はくどいかもしれません。白身魚の切身で巻かれたのがウニ。合鴨の上に載っているのは和がらし。ウニとKrugは、幸せな組合せ。

 

次はノビたん。

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航空業界で飛ぶ鳥を落とす勢いの村田氏といえども、ノビた麵は回避できません。もっともノビた素麺は、ノビた蕎麦よりましです。エビとタコの配置は京都的やっつけ仕事の香りがしますが、この種のちゃっちゃとやった感は嫌いではありません。

 

メインディッシュ? 牛ヒレ、獅子唐、マンゴー、ネギ、ワサビ、甘酸っぱい照り焼きソース。

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誉め言葉になるかどうかわかりませんが、ANA Suiteラウンジで出すとぴったりくる創作料理系。ヒレ肉は、箸で切るほど柔らかくはないので、ナイフとフォークを出してもらいました。担当は中華系緑ケバヤでしたが、気ぃ利かんやっちゃと言えるかもしれません。

 

ワインは、ここだけKrugからLéoville Poyferré 2007に。独特の癖を強く感じ、年が良くないことが伝わってくるワインでした。皮肉ではなく、これはBordeauxの魅力。

 

次は焼いたん。マムシはサイゼンも突き出しで見たような...。

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スーパーの真空パックのレベル。とは言っても、さく、焼く、蒸すは機内では無理。これ以上望むと、サロンケバヤに「ゴリガンゆうたらあきまへんえ。」と怒られることになります。タレは少し工夫されています。

 酢漬けレンコンも怪しかったのですが、上方中央の「香の物」は、化学調味料と着色料でお話にならないレベル。野菜を無駄にしてもったいないと思います。左の米と右の味噌汁も同様、個人的には「食用に不適。」

 

こういう状況はここに限りません。沢庵ぐらい普通に漬けてもらいたいものですが、そんなことすら、なかなか叶わない和食の現状。ほいないこっとすな。

 

さりげなく面白いデザート。

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これは箸でも良かったかもしれません。その後にチョコレートもあります。

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お茶をもらいます。Youtubeで有名なビデオに出てくるお茶が欲しかったのですが、何であるかわかりませんし、搭載しているかどうか怪しいので、ヤクタイなことはゆわんと緑ケバヤにお任せ。

www.youtube.com

こんなん薦められました。寝る前には良い感じ。

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おっちんしよし、帯締めよしの警告灯も点灯せず、平和な夕食でした。後はベッドメーキングしてもらって、さっさと寝ます。他の3名の乗客はとうの昔に夢の中。

 

機内食に和食を選んだら、一皿ずつKrugとの相性を見るなんて止めた方がよいことが分かりました。理由:①飲酒量が過多になる。②時間がかかり過ぎる。めぇ固いんのとちゃいますのんで、念のため。