バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

アコーと AF-KLM の相互プログラム Miles+Points (2)

Conditions Généralesのまとめ(つづき)

Miles+Pointsに加入した会員は、最初の有効な滞在で Le Club のアカウントに1泊の宿泊実績、Flying Blue のアカウントに 5 XPが加算されます。そして最初の有効なフライトで Le Club のアカウントに1泊の宿泊実績、Flying Blue のアカウントに 5 XPが加算されます。これら2つの特典の加算日は、宿泊日やフライト利用日になります。これらの特典は、アカウント当たり1度です。

 Miles+Points 会員は、最初の滞在あるいは最初のフライト後にYoubooxから6か月の利用が提供されます。ただし年間 150,000件の加入と月間 50,000件の活動アカウント*という上限があります。Youboox, Le Club, Flying Blueは、この特典を廃止する権利を有します。Miles+Points 会員は、加入後 3か月以内に Le Club または Flying Blue より招待を受けます。この招待により Youboox への加入が可能になり、6か月間の購読が無料になります。6か月後、Youbooxは会員に50%引の料金での購読の継続を提案するかもしれません。

*:月に一度以上Youbooxにログインしたアカウント

 

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Le Club の特典ポイントを Flying Blue のマイルに変換する場合、Miles+Pointsで関連付けた Flying Blue のアカウントにだけ加算できます。変換の最小ポイントは 2,000 pointsで、

2,000 points = 1,000 miles

で計算されます。変換は10日以内に行われ、一度行うと逆にポイントに戻すことはできません。

 

Conditions Générales に書いてあることの中で、大方の人に関心のあることは以上です。他には、

会員の責任

個人データの保護

という極めて重要な内容がありますが、あまり読む人はいないでしょう。

 

Pechedenferの補足

Le Club と Flying Blueの両方で会員になっている人は、わずかな手続きを行うと二重にポイント(マイル)が加算されるということが本質。一方しか利用していない人でも、他方に新規入会して Miles+Points に加入する価値があります。

 

Flying Blue については、Air France, HOP!, KLM, Transavia, Tarom, Kenya Airways, Aircalin の利用についてのみが Miles+Points の対象になるようです。その他の Skyteam各社のフライトは恐らく対象外です。

 Flying Blueでは 2年間マイルの増加がないと全マイルが失効しますが、Miles+Pointsを通じて得たマイルが、マイルの有効期限とどういう関係になるのかまだわかりません。

  Le Clubのポイントは現在でも Flying Blue のマイルに変換可能で、2:1というレート。新しいプログラムでも変更ありません。気を付けなくてはならないことは、複数の Flying Blue のアカウントを持っている場合。Miles+Pointsで関連付けられたアカウント以外は、ポイント変換先に指定することができなくなります。複数の Le Club のアカウントからのポイント変換が可能かどうかについては、特記されていませんでした。

 

Youbooxは、フランス語の本のオンライン・サービス。何千もの ebookタブレットスマホ、PCで読むことができます。

Youboox | L'application de lecture en ligne pour les francophones.

この記事を読む大多数の方は、読書では日本語が一番楽だろうと思います。この特典に魅力はないことでしょう。 

 

さて前の記事で紹介したサイト

https://www.accorhotels.com/leclub/partners/miles-points/index.fr.shtml?  

で Miles+Points 加入手続きを行うと、拍子抜けするほど簡単です。Le Clubのアカウントにログインして、Flying Blueの会員番号とPWを入力するだけです。後は数クリックで以下の完了画面が現れます。

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加入を行ったプログラムで登録されているメールアドレスに、メールが届きます。作業完了の数秒後です。登録住所や登録メールアドレスは、Le Club と Flying Blue で異なっていても問題ないようです。

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Accorが言っている通りのことが本当に起きるかどうか、少々不安ですが、とりあえずは準備完了。早速試してみることにします。

アコーと AF-KLM の相互プログラム Miles+Points (1)

航空会社とホテルチェーンの提携

巨大ホテルチェーンとレガシーキャリアの間では、古くから提携が行われています。輸送業と旅館業は相補関係にあり、協同効果が期待できるので当然と言えば当然。近年の流行は、顧客囲い込み共同事業。つまり双方の会員プログラムの相互乗り入れが流行っています。SPGもデルタ航空と上級会員を都合し合っていました。

 こういう提携があちこちで行われると、ホテルー航空会社の組合せが緩やかに世界を分割します。ホテルチェーン同士、航空会社同士は競合関係、排他関係にあり、ホテルチェーン、航空会社は未だに地域性が強いからです。会員にしてみたら、動き回る世界が制限される傾向であることにも注意が必要です。これまでホテルチェーンの選択は航空会社のプログラムとは独立に考えてよかったのですが、今後は提携相手を考慮するのが普通になるかもしれません。

 

Flying Blue と Le Club Accorhotels の相互乗り入れ 

最近アナウンスされたのは、Accorhotels の Le Club と Air France/KLM の Flying Blue との共同プログラム。どうもアコーが音頭を取っているようです。Le Clubの会員は以下のような通知メールを受信したことと思います。

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現時点での発表内容は、以下のサイトで見られます。

https://www.accorhotels.com/leclub/partners/miles-points/index.fr.shtml? (仏語版)

 

大規模、大胆な新事業は、アメリカから起きるものですが、ホテル+航空会社の顧客囲い込み共同戦線でもそのようでした。それがフランスでも始まるようです。Accor はフランス系なので、Air Franceと組むことに何の不思議もありません。

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Bangkokには Accorhotels は多く、AFもKLも就航している Suvarnabhumi 空港の写真を象徴的に使うのは、世界規模のホテルチェーンとして自然な発想かもしれません。

Miles+Pointsという名からは、Air France + Accorの共通プログラムとするべきでしょう。ちなみにそれぞれが使っているシンボルカラーの組合せから、青と金を抽出してロゴにしています。

 

Conditions Généralesのまとめ

利用するには、Le Club と Flying Blue 双方の会員でなければなりません。Miles+Points では Le Club 会員 ― Flying Blue 会員は、Le Club に参加しているホテルでの宿泊や Flying Blue 参加会社(Air France、KLMなど)の搭乗で、特典ポイントと Flying Blue マイルを加算することができます。

 

Miles+Points への入会は www.accorhotels.com か www.flyingblue.com で行います。もし入会が www.accorhotels.com で行われた場合、Le Club にログインして個人アカウントにアクセスした状態で Flying Blue のアカウントへログイン(するか Flying Blue に入会)しなくてはなりません。すると接続モジュールが機能し、2つのアカウントを関連付けます。

 www.flyingblue.com で入会する場合、Flying Blueのアカウントにログインした状態で Le Club のアカウントにログイン(するか Le Club に入会)しなくてはなりません。すると接続モジュールが機能し、2つのアカウントを関連付けます。

 Miles+Points の入会が有効になるためには、登録が Le Club と Flying Blue の記名アカウントと一緒でなければなりません。つまりこれらの2つのアカウントは、同じ姓名で登録されていなければなりません

 

Le Club の参加ホテルでの滞在において Miles+Points に登録した Le Club 会員は、Le Club で定められる特典ポイントとレベルポイントを獲得します。さらに料金 10 EUR あたり、以下の表に従って Flying Blueのアカウントにマイルが加算されます。

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Flying Blue に参加している会社の便に搭乗した場合、 Miles+Points に登録した Flying Blue 会員は、Flying Blue で定められているマイルと XP を獲得します。さらに料金 10 EUR あたり以下の表に従って Le Club のアカウントに特典ポイントを加算することができます。

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宿泊の場合、予約時に会員番号を告げ、チェックイン時に受付で会員カードを提示しなければなりません。フライトの場合、予約時とチェックイン時にFlying Blueの会員番号を告げなければなりません。

 

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支払い日がどうであれ、Miles+Points に加入後の利用が対象となります。このプログラムに関連する特典への請求は、会員期間内になされなければなりません。つまり退会後の請求は、利用が会員期間になされていても、二重加算の対象としては無効です。

 Miles+Points を通した Le Club の特典ポイントと Flying Blue のマイルは、滞在やフライトの10日後に加算されます。Miles+Pointsは提携ホテルへの滞在、提携会社のフライトには適用されません。Le Club と Flying Blue 双方の提携航空会社のフライトであっても適用されません。

 

長くなりすぎるので2つの記事に分けます。

カンタス航空 Frequent Flyer の改革

緒言

直前の記事は、カンタス航空 Frequent Flyer の改革の一部です。このプログラムは 32年前に開始しました。(35年ではありませんでした。) パイオニア AAdvantage より 6年若いだけで、この種のプログラムとしてはかなり古い方に属します。それが創設以来、初の overhaul

 10年ぐらい前は、積算される数字は普通にマイルでした。それが今は Qantas Points に変わっています。この点では、不連続で重要な変化が起きています。上級会員制度も拡充されました。他にも様々な基準が細かく変ったはずです。現在のプログラムは最初の姿とは随分異なっているはずですが、彼らは抜本的な見直しを行った気分なのでしょう。

 

6月20日から届いた情報

Frequent Flyerの会員は、こんなメールを受け取ったはずです。

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航空会社やホテルのプログラム、キャンペーンの紹介で著名なブログですでに紹介されているので、会員以外でもご存じの方が多いと思います。

 

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flyerとflierの使い分けはさておき、QantasのプログラムはFrequent Flyerなので、Frequent Flierは普通名詞。それならなぜFrequent Flier programと大文字で始めるのか、などと非難してはいけません。母語話者だって正確に書くのが大変なのはどんな言語でも同じ。

 

実施は 2019 年中ということで、詳細の続報がありそうです。現在発表されていることは、以下のサイトでご覧になれます。

Qantas Frequent Flyer

 

多様な内容

告知されたことは以下の通り。

(0) より多いシート、より少ない諸費用、より広い選択。

2019年は、私たちの Frequent Flyers を興奮させる年。一人一人の会員の旅行の夢を叶えるのを助けるため、私たちはプログラムを改革します。クラシック・リワードの座席数を増やし、諸費用を下げ、Qantas Points を獲得・利用できる航空会社パートナーの数を世界中で増やします。さらにこれは初めてになりますが、主に地上でポイントを得ている会員に旅行特典を開放、新しい上級会員制を持つ Points Club を開始します。また人生を飛んで過ごした人たちを迎えるため、生涯プラチナ会員を導入します。

つまり (1) 無料航空券枠を増やし、(2) 評判が悪い諸費用を減じ、(3) 提携会社を増やし、(4) 陸マイラープログラムを創設し、(5) 生涯プラチナ会員を導入するというもの。確かにこれほどの変化が一度に起きることは、なかなか無いはずです。

 

(1) Qantas Classic Flight Rewardsを年間 5,000,000 シートに拡大、人気路線のプレミアムキャビンは最大 30 % 増したそうです。(現在完了形でした。)

 

(2) 国際線クラシック・リワードの諸費用は最大50%の減額。往復で平均 200 AUDを節約できます。例えば Sydney / Melbourne から London へのビジネスクラス往復では、現在の 1,080 AUD が 700 AUD に、Sydney から New York へのエコノミークラス往復では、現在の 360 AUD が 180 AUD になります。

 一方でプレミアムキャビンの特典航空券では、必要なポイントは最大 15% 増えます。アップグレードに関しても最大 9 % 増えます。

 

(3) 現在 Qantas Points を加算、利用できる提携航空会社は、ワンワールド加盟会社、ジェットスターエミレーツ中国東方航空ですが、そこへニュージーランド航空中華航空、遅れてバンコク・エアウェイズ、エールフランス・KLMが加わります。

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(4) トップクラスの陸マイラーに報います。フライトではない活動で多くのポイントを稼いだ会員を特別にお迎えします。新しい Points Club は2つの会員レベルになります。年間に稼いだポイントが基準となり区別されます。フライトと旅行の特典が開放され、そこにはラウンジ利用、Status Creditのボーナス、会員限定のオファー、Qantas Frequent Flyerでの割引が含まれます。

 会員年中に150,000ポイントを(主に陸で)稼ぐと、エントリーレベルの Points Club 会員になれます。さらに上の Points Club Plus 会員は、それより高い基準が設けられる予定です。Points Club は 2019 年後半に開始されます。

 

何と、カンタス陸マイラープログラムを創始します。top points earners on the ground なんて言い回し、英語の勉強になりますね。Points Clubのメンバーになるためには、1年間に 150,000 Qantas Points を(主に)陸で稼がなくてはなりません。閾値はかなり高く、特別感があります。同じことを ANA がやると凄い会員数になりそうですが、Qantasではどうでしょう。会員数は発表されないでしょうから、プログラムの内容で想像するしかありません。今後も要注目です。

 

(5) 生涯プラチナ会員の導入

これはすでに記事にしたので、そちらを見てください。

生涯プラチナ会員を追加するカンタス - バス代わりの飛行機

 

その他にも、特典予約を行いやすくし、Qantas Shopping Rewards Storeでポイントを使いやすくする、その時々のショッピングによるポイント獲得ガイド Qantas Shoping Points-Prompterを開設することでプログラムの幅が広がります。後者については、以下のサイトを参照のこと。

Points-Prompter Browser Extension | Qantas Shopping | Qantas Shopping

 

ボトムライン(はお尻のシルエットや臀部囲とは無関係です。英語は難しいのでした。)

さりげなく改悪も入っていますが、全体として使いやすいものに変わることが期待できそうです。獲得、利用の双方について、搭乗以外のアクティビティが格別視されるようになります。野心的な改革ではないでしょうか。

 日本では、カンタスは隠れた人気会社。BA 並みに日本語の情報が飛び交うと面白いのにと、いつも思います。

生涯プラチナ会員を追加するカンタス

なかなか更新できなくて、申し訳ありません。様々なことに忙殺されているのに、何も成しておらず、くたびれ気味。なかなかものを書く元気が出ないというのが直接の原因です。何を言っても言い訳ですが…。

 

空旅行、宿泊、外食に関心が高い人に優れた情報ソースになる Australian Business Traveller。もちろんオーストラリアとその周囲に強く、そこから離れるとそれなりにという点もありますが、読みやすく、詳しいので重宝します。6月20日の記事です。

Qantas launches Lifetime Platinum frequent flyer status - Australian Business Traveller

 

カンタス航空の Frequent Flyer に2019年 9月、生涯プラチナ会員資格が新設されます。

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カンタス航空はオーストラリア最大、オセアニア最大の航空会社。オセアニアの低人口密度と地理的な孤立性から、顧客囲い込みではローカル色が強く出ておかしくありません。確かに癖が強いプログラムだと感じることが時々あります。無料航空券の提供に関しては割とケチなプログラムなようです。提供する席が少ないというもっぱらの噂です。

 一方、上級会員制については気前が良いようで、比較的簡単に上級会員になれるはずです。Qantas Points (マイル、Aviosに相当) と Status Credit (FOP, PP, tier points に相当) の計算機

Frequent Flyer - Flying Qantas & Partner Airlines - Points Calculators - Earning Points

をいじるとそういう印象を持てます。会員グレードを上げる効率良い方法はブリティッシュ・エアウェイズの Executive Club と異なりますが、易しさは良い勝負。総じていうと自社便を使うと割と効率よく、またエコノミー利用でも、ジェットスターの利用でもそこそこポイントになります。

 ちなみに現行の上級会員制度は以下の通りです。

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上級会員になるために必要な Status Credit /年、維持に必要な Status Credit /年、生涯会員になるために必要な Status Credit をアップデートすると、次の表が出来上がります。新たに加わる生涯プラチナ会員は赤で示しておきました。

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6年前には、プラチナワン会員と今回の生涯プラチナ会員は無く、その他は今と同じ数字でした。(プラチナ会員は1,600 / 1,400から減ったかもしれません。)改悪なく、上級会員をどんどん生み出すお得なプログラムです。

 

しかし今回の 75,000ポイントは異色です。プラチナ会員をぎりぎりで毎年継続すると 63年でようやく生涯プラチナ会員。これはゴールド会員―生涯ゴールド会員、シルバー会員―生涯シルバー会員の関係がそれぞれ 24年、28年である事と比較するするまでもなく極端な値です。カンタスは何を思って、ほとんど不可能なレベルまでハードルを上げたのでしょうか。

 

日本でも Frequent Flyer でプラチナ会員になられた方がいらっしゃいます。

【QFF】カンタスフリークエントフライヤープラチナまでの実績 | QANTAS時々CATHAYの旅(by tabi-okane)

もしプラチナ会員をずっと継続すると、6年で生涯シルバー会員、12年で生涯ゴールド会員です。搭乗パターンがだいぶ違うので比較は困難ですが、JALのダイヤモンドよりはプラチナ会員維持は楽そうで、生涯ゴールド会員は現実的な数字です。JGCワンワールドサファイア会員で Frequent Flyer のゴールド会員相当)は嫌だなんて方には狙い目です。

 しかし生涯プラチナ会員はちょっと無理。

 

ブリティッシュ・エアウェイズの場合は、生涯ブロンズ(ワンワールド・ルビー)、生涯シルバー(ワンワールドサファイア)が無く、いきなり生涯ゴールド(ワンワールド・エメラルド)です。ゴールド会員を24年続けて生涯ゴールド会員ですから、カンタスのゴールド会員―生涯ゴールド会員の関係と同じです。24年なら、仕事人生でゴールド会員を続けていれば何とか達成みたいな感じ。

 

実利重視でワンワールドの生涯会員を狙うなら、

ルビー会員 ⇒ カンタス

サファイア会員 ⇒ JAL (年1万円以上払う場合)、カンタス (無料以外認めない場合)

エメラルド会員 ⇒ ブリティッシュ・エアウェイズ

でしょう。

Finnair Plusにもサファイアとエメラルドに生涯会員がありますが、難易度はこれらの5割増しぐらいになります。

 

さて 75,000 ポイントをクリアする人なんているのでしょうか。修行僧は数字が大きければ大きいほど闘志を燃やすなどと、凡人は無責任に発言しがちですが、Australian Business Travellerでは、生涯プラチナ会員発足時の該当者数について

”It's expected that the first wave of Lifetime Platinum card-holders will number in the hundreds rather than the thousands...”

と予想しています。数百人は、非常に多くありませんか?常人には想像もつかないほど飛行機に乗る人は、意外に多いようです。

特典航空券の必要マイルは変動制が標準に

マイルの入口と出口

航空会社の会員プログラムは顧客囲い込み、利用促進を目的としていますが、顧客の

①搭乗したマイルを積算、

②マイルに応じていろいろな特典を用意

するものでした。これが会員プログラムの基本です。しかし年々進む規制緩和により、航空旅客輸送のビジネス環境が大きく変わり、この基本形を保っていてはプログラムが機能しなくなってきました。

 このブログを始めたのは6年前ですが、それ以来ずっと話題性が大きかったのは、①に関する変化でした。最近は一段落着いたらしく、②に関する変化に注目が集まっています。新しい潮流になるでしょうか。

 

入口の変貌

会員の利用実績はマイルで量るべきところを、航空券購入金額で量る形にしたデルタ航空。一般には①の変化の源流と考えられています。その後、北米での競争相手であるユナイテッド航空、さらにはアメリカン航空が追従しました。北米三大会社のプログラムではマイルという名は残るものの、マイレージは関係なくなりました

 欧州でも金額制への移行が目立ちます。ルフトハンザ航空などの Miles & More、エールフランスなどの Flying Blue が金額制になりました。エーゲ航空は自社(含オリンピック航空)利用分に関しては、格安エコノミークラス利用でも飛行距離をマイルとして積算する古体を保っていますが、こういう会社は少数派のようです。

 

背景はいろいろですが、低価格長距離という路線は存在します。さらに搭乗日や条件によって航空券価格は大きく変化します。そのため昔はマイル/支払金額を最大化すべく、ゲーム感覚で航空券を探索、旅行する人がいて賑やかでした。金額制になると、このゲームは原理的に消滅します。大手の会員プログラムはすっかりつまらなくなりました。 

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大手が次々に獲得マイルの金額制へ移行するので、②に関しても「1マイルは〇〇ドルで航空券購入時に利用」という金額制になるのではと危惧した人が多かったようですが、今のところこれは主流になっていません。もしそうなると、会員プログラムはスーパーの会員やクレジットカードの会員並みのシステムになり、世の注目度が桁違いに小さくなると思います。

 ただしニュージーランド航空は、昔から出口が金額制です。マイル(Airpoints Dollars)は、積算も段階的です。こういう心配をした人たちがAirpoints Dollarsを知っていたかどうかはわかりませんが、彼らには非常につまらないプログラムのはずです。

 

出口の変貌

現在②に関する変化の大きな流れは、様々な特典が時価になること。「マイルに応じて」が根源から変質しつつあります。

 会員プログラムでは特典航空券に必要なマイル数が路線、搭乗クラスで固定されているのが常識でした。例えば、Flying Blueで日本-ヨーロッパの往復特典航空券を得る場合、

エコノミークラス    80,000 miles

ビジネスクラス     120,000 miles

ファーストクラス 160,000 miles

航空券(Y)購入  640,000 miles

が必要でした。プログラム発足時(2005年)の数字です。

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これらの数字を固定値ではなく変動制、つまり搭乗日、搭乗便によって綿密に、大胆に変えるシステムへ移行する会社が出てきています。必要マイルは少数の表では表現できないため、一般客の目につくようなチャートは廃止されます。

 実は Flying Blue では、相当前に移行済みです。2015年頃には(必要マイルは搭乗便によって細かく変わり、最大値は 640,000 miles とこのプログラムに特殊な航空券購入に必要な値になっているという意味で)完全変動制になっています。しばらくは、プロモーションを除く最低値を並べたマイルチャートが存在していました。今ではそんなチャートすら見なくなりました。Flying Blue は、①で入口の金額制を実施するより何年も前に、②で出口を現在流行の形にしていたのでした。

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閑散期と繁忙期を設定、必要マイルに差をつける程度の穏やかな変動制なら、JALブリティッシュ・エアウェイズも採用しています。ただし導入はここ 5年ぐらいの間の出来事。完全変動制へのステップになるかもしれません。

 

昨今、特に変動制が騒がれるわけは、ユナイテッド航空 MileagePlus のチャート廃止でしょう。今年11月15日以降のフライトに関して、特典航空券のマイルチャートが消滅しました。

Say Goodbye To The United Airlines Award Charts

金額制創始者と目されるデルタ航空は、①の改革が定着する頃には、②の改革、つまり変動制導入による必要マイルのチャート廃止を行っています。アメリカン航空はまだ固定マイル制で、チャートの廃止はアナウンスされていません。

 

ルフトハンザ航空やブリティッシュエアウェイズも、②は完全変動制に移行するという噂があります。これは実施可能性の問題ではなく、実施時期の問題と考える方がよさそうです。

 

変動制では、必要マイルは段階的に設定され、それぞれの段階で席数に制限が設けられ、それらの席数は便で変わります。細かい基準は公表されません。固定制の場合でも、便によって特典席数を調整していたはずですが、それに必要マイルの調整が加わりました。変数が増加しただけとも言えます。

 

航空会社を理解しようと努めると…

航空会社の事情は、次のような流れだっただろうと想像します。

 

技術の進歩により航空券価格を効率よく制御、有償客だけで空席を減らすことに成功。

→ 利益を最大化すると従来のマイルでは、無料航空券枠がほとんど消える。一方で無料航空券枠の大幅縮小や必要マイルの大幅上昇は、会員離れ、利用離れを起こす。

→ 航空券価格の最適化技術を転用して、無料航空券の必要マイルも変動制へ。

→ 最低マイルは従来の数字かそれ以下にし、平均マイルを大幅上昇、改悪イメージと利益への影響を最小化。

 

改悪には違いありませんが、会員のショックを最小にする良い方法...だと思います。

 

出口側はやり方次第で面白いことに

②の改革(改悪)は、①の改革(改悪)と大きく違う点があります。必要マイル変動制ではゲーム性が増大します。いかに低いマイルで航空券を獲得するかというゲームです。航空会社はこの特徴を生かし、大胆なキャンペーンを打ってはいかがでしょうか。

 昔から Flying Blue ではマイルのプロモーションがあり、-25%、-50%で特典航空券を得ることができます。これは非常にお得で利用はまさにゲーム感覚。対象になる路線と時期に大まかなパターンがあるので、何年も見ていると予想できますが、これを意外性のある形で提供すれば、意味あるものになると思います。

 路線、時期に加えて、会員属性(年齢、居住地、会員レベル、干支 etc.)を要件に加えるとか、世界一周のプロモーションを行うとか、いくらでも工夫の余地があります。

 

データサイエンスは、利益最大化にかなり貢献したことでしょう。しかし今後は会員の遊び心を刺激するサービスを開発して、魅力あるプログラムを構築するために使って欲しいものです。

エーゲ航空の20周年記念キャンペーン再追加

エーゲ航空は、今年2019年で20周年。50%引きの航空券の販売

20周年を迎えたエーゲ航空と記念セール - バス代わりの飛行機

を行っていたところへ、獲得マイル20%増しのキャンペーンが加わりました。

エーゲ航空の20周年キャンペーン追加 - バス代わりの飛行機

 

第3弾というべきかもしれませんが、6月13日に別のキャンペーンが始まりました。内容は Miles + Bonus の特典航空券に必要なマイルを20% 引きするものです。

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ただしチケットは6月18日までに予約し、12月31日までに飛ばないといけません。すべてのエーゲ航空オリンピック航空の運航便が対象になります。

 

このキャンペーンは6月13日に発表、開始したので、予約は 6日間限りとなります。20周年に合わせて 20 という数字にこだわるのはともかく、6日間限りと予約期間が短いのはどうしてでしょうか。なおこのキャンペーン向けのシートの数は限定されていることを臭わせる記述が、Terms & Conditions にありました。

 

内容は以上です。短信ですがアップしておきます。

マレーシア航空のセールとビジネス・スイートの価格

マレーシア航空は、セールを行っている日数とそうでない日数が同じぐらいでしょうか。日本発の航空券では、6月14日金曜日まで1か月にわたるセールを行っていました。これはすでにブログで紹介したセール

マレーシア航空のセール - バス代わりの飛行機

が期間延長されたものです。売れ行きを見ながら、調整している様子がうかがわれます。

 

ところでマレーシア航空は半年前にファーストクラスを廃止、ビジネスクラスの上に格上ビジネスクラスを設けました。名前はビジネス・スイート。

マレーシア航空ビジネススイート - バス代わりの飛行機

理由は「ビジネス旅行をする客には、ファーストクラスが許されない場合がある」ためだそうです。サービスとしては、それまであったファーストクラスから何が変わったかよくわかりません。ちなみに彼らがセールを行う時は、ビジネス・スイートも対象になっています。

 例えば直前のセールで、東京ーバンコク往復(KUL乗継)を買うとします。ビジネスクラスを指定すると最安値が約145,000円、ビジネス・スイートを指定すると最安値約200,000円でした。クアラルンプール ― バンコク間はビジネス・スイートの設定がないので、どちらの場合でも通常のビジネスクラスとなります。

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BKK-KUL線のビジネスクラス機内食

この2種の航空券、差額は55,000円になります。パリの3つ星レストランの夕食一人前、香港の一流ホテル一泊分に匹敵し、それなりにしっかりした差です。しかし以下に挙げる2つの観点から考えると、価格差はかなり微妙なものに見えてきます。

 

(1) マレーシア航空のサイトで航空券を購入すると、数時間後に MHüpgrade の案内が届くことがあります。主にエコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードオークションを想定しているプログラムですが、ビジネスクラスからビジネス・スイートへのオプションもあります。エコノミーからビジネスへの最低ビットで、最近片道37,500円という数字を見ました。ビジネス・スイートはさらに上でのアップグレートですので、37,500円より高くなるでしょう。ファーストクラス時代には片道6万円台の最低価格を見た記憶があります。航空券購入時における2つのクラスの価格差より、事後アップグレートのMHüpgrade の方が高額になる可能性が高いのでした。

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それなら最初からビジネス・スイートを購入して、正規の有償客になる方が良いに決まっています。

 

(2) 上記セールにおいて、ビジネス・スイートの予約クラスを見ると P でした。つまりビジネス客(とその経理担当者)向けの名称とは裏腹に、これはファーストクラスです。例えば British Airways での Avios や Tier points の積算では、マレーシア航空の P クラスはファーストクラスに分類されます。予約クラスがどこまで本質を表すかという問題はありますが、

ビジネス・スイートは、ビジネスクラスの皮を被ったファーストクラス

のようです。

 実利的には、獲得できる Avios や Tier points も大切。実は Avios には大した違いはありません。しかし Tier points については、予約クラス P は J, C, D, Z の 1.5 倍獲得できます。例えば上で価格を紹介した NRT-KUL-BKK 往復の場合、ビジネスクラスで予約すると Tier points は 360 ですが、ビジネス・スイートで予約すると Tier points は 500 となる計算です。ビジネス・スイートの方が、Tier point の単価は安いぐらいでした。

 このセールで NRT-KUL-LHR 往復のビジネス・スイートは 288,000円~となっていました。この区間ではすべてPになるので、獲得できるTier points は 900 になるはず。最安値で購入した時の Tier point 単価は、羽田ー伊丹往復、特便割引1のクラス J 程度になります。

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マレーシア航空の狙いにはよくわからない部分があります。ただしファーストクラスの名称を復活させる余地を残しているのは確実です。

 現状ではビジネスクラス比でサービスが優れているかどうか、価格の差が適当かどうかについては、体験してみないとわかりません。人によっても評価は違うでしょう。また他社会員プログラムで計算通り加算されるかどうかについても、最終的には搭乗してみないとわかりません。しかしながら価格を細かく検討してみると、セール時のビジネス・スイートは大変お得な航空券という気がしてきます。

 

ビジネスクラスがそこそこ高くなり、British Airways の Executive Club の会員資格更新に関しては、魅力が失われつつあるマレーシア航空。「邪な」考えを放棄すれば、別のものも見えてくるというお話でした。