アメックスは年会費が高めですが、「贅沢な」サービスが提供されるので、人気があります。例えばプラチナカードを持っているだけで、ホテルチェーン(例:アコー、カールソン)の最上級会員にほぼ自動的になれます。
私は高額カードの付帯サービスに懐疑的で、実際プラチナカードはずいぶん前にやめました。ただ、最近スカイトラベラーカードとプレミアカードに関しては、本当に得かも知れないと思うようになりました。
「高級」クレジットカードの会員は、年会費でサービス特典を買っている面がありますが、年会費の元が取れるかどうかの判断は簡単ではありません。カードを作った方が得な条件を確実な方から挙げていくと、
(1) カードとは関係なく利用しているサービスがある。カードを作れば、そのサービスにかかる経費を毎年削減でき、削減幅はカード年会費を超える。
(2) 「あれば使う」と予想されるサービスが、カードをつくることによりタダ(割引)になり、サービスの利用(割引)料金年額はカードの年会費よりも大きい。
(3) カードなしには利用することがなかった良質なサービスが付いてくる。そのサービスの対価の年間合計額はカードの年会費よりも大きい。
(4) 贅沢なサービスで、自分にとってはあってもなくても良い。そのサービスの対価の年間合計額はカードの年会費よりも大きい。
(1)の場合は生活を維持するための出費が、カード年会費以上に消えるので、無条件な経費圧縮です。この場合カードを作った方が確実に得です。
さて多くのFFPでマイルは買えますが、エグゼクティブクラブでも年27,000 aviosまで購入可能です。毎年購入する人は、aviosをスカイトラベラーカードで稼ぐことにより、その分買わずに済みます。これを具体的に計算してみると、カード年会費を打ち消す分岐点が意外に低いのです。
aviosを稼ぐクレジットカードを他に持たない場合を考えます。1 aviosを3円で購入するとして試算します。(通常期2.85~5.3円/avios。キャンペーンあり。)
スカイトラベラーカードを作ると得になる人は次の通りです。
①年間3,333avios以上購入している。(年間10,000円以上使っている)
②年間111,200円以上、対象航空会社の航空券を直接日本円で買う。
対象航空会社は、アシアナ、アリタリア、ヴァージン アトランティック、エア タヒチ ヌイ、ANA、エールフランス、エティハド、エバー、エミレーツ、オーストリア、ガルーダ・インドネシア、カンタス、キャセ イパシフィック、KLM、シンガポール、スイス インターナショナル エアラインズ、スカンジナビア、スターフライヤー、大韓、チャイナエアライン、デルタ、JAL、フィリピン、フィンエアー、ブリ ティッシュ・エアウェイズ、ルフトハンザです。他にも(条件はあるものの)、日本旅行、アップルワールド、トップツアーの支払いでも構いません。
定期的にマイルやaviosを購入する人は、1万、2万と買うでしょう。①に当てはまる人は多いはずです。航空券を買う金額が大きいほど、aviosは買わなくて済み、カード年会費を越えて節約ができます。さらに傷害や遅延に対する保険、成田からの荷物の送付などがタダで付帯するので、これほど得なカードは無いでしょう。
スカイトラベラープレミアでは、
①年間11,666avios以上購入している。(年間35,000円以上使っている)
②年間233,400円以上、対象航空会社の航空券を直接日本円で買う。
と分岐点が上がりますが、これ以上の航空券を購入する場合、avios代金は派手に削減でき、スカイトラベラーカードより有利になります。
例えば毎年27,000avios買っている人は、スカイトラベラーでは約900,000円の航空券購入で、スカイトラベラープレミアでは約540,000円の航空券購入でaviosを買う必要がなくなり、(通常期では)768 USDの節約になります。年会費を遙かに超える額の出費を抑えられます。
スカイトラベラーのポイントをマイル口座に落とせる航空会社FFPのうち、次の7社にはマイル購入の制度があります。
ヴァージンアトランティック、デルタ、キャセイ、シンガポール、スカンジナビア、アリタリア、エミレーツ
マイルの購入条件はFFPごとに違います。スカイトラベラーがペイする条件も違いますが、結構広範囲で使えるカードです。1枚あれば、複数のFFPにも使えるわけですし。
冷静に考えると、数あるアメックスの中でも一番強力なコストカッターのようです。ただしaviosやマイルを一切買わない人には、上の理屈はあてはまりません。
アメックスプラチナで多いのは、上の(3)とか(4)なのですね。年会費の元を取ることはできません。カードを作って出費を増やすだけです。しかし非日常の演出には、豪華で無駄なからくりは重要ですから、ばかげているとは言えません。逆に(1)のような条件でつくるカードは、生活レベルを落とさずに経費を削減する努力ですから、生活臭がするぐらいです。
経費削減とラクジャリーは相反します。スカイトラベラーは経費削減型クレジットカードなのでした。