PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ルフトハンザの新ビジネスクラスシート

BAのエグゼクティブクラブを検討しているサイトが日本には少なく、自分でも整理してみましたが、細かい数字の比較が多く疲れました。机上の議論に飽きて来たので、「もの」に接してきました。ライバルの動向調査と言う口実のもと、新しいLufthansaLH)のビジネスクラスのシートを見てきました。

 

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LHはMercedesと仲良しなので、Mercedesの展示空間+小物売場+茶店(Mercedes-Benz Connection)を間借りして開催していました。ミッドタウン前の建物は取り壊され、現在更地になっており、Mercedesはどこに消えたのだろうと常々思っていたのですが、今回改めて探したところ、外苑東通りを青山ツインの方向へ移動していたのでした。以前の場所は無駄に人通りが多かったので、移動して正解です。制服姿の日本人CAが説明してくれましたが、立ち振舞いが優雅で、LHはエース級を導入してきた模様です。

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凝りに凝ったフルフラット・シートでした。クッションの堅さを空気圧で調整できます。フルフラットにする時、離着陸時のポジションに戻す時のシートの動きが特徴的で、ストレス、不安を感じさせないよう考え抜かれています。シートポジションの変化は、行きと帰りで大きく違います。シートを戻すボタンに「窪み」がありますが、これは横たわっていても触覚でボタンが判別できるようにした結果と言うことです。

 

席を離れる時、邪魔にならないよう大型テーブルと肘置きは容易に位置が変えられます。

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写真を取り忘れましたが、モニターは左右にスライドし、座っていても、寝転がっても「適切な位置でご覧になれます。」

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収納場所はマガジンラック、その下のアメニティ置き場、足置きの下の靴(+ハンドバック)置き場です。

 

他社のビジネスクラス同様、家具としての高級感は皆無ですが、機能に関してはドイツっぽいこだわりを随所に感じます。最初の搭乗ではあちこち動かして、いろいろ試しているうちに、12時間ぐらいすぐ経過してしまいそうです。「凄く良く工夫されたシート」という感慨を持って降機できそうです。

 

展示物は2-2-2配列の中央席で、2席が内側を向いたカップルシートでした。日本に導入される346(HND-MUC)、343(NGO-FRA)では、窓側2席は平行で、少し窓を向く配置となります。したがって窓側席では、隣の客と足が絡まる心配はないでしょう。(HND, NRT, KIXとFRAの間の744は当面旧型のシートで2-3-2配列、日本にしばらく来ない74Hでは、2-2-2配列の全シートがカップルシートとのことです。FRA経由で南米に行く時は要注意です。)

 

シート幅は大きくありません。「ベッド」幅は、多くのドイツ人には狭いでしょう。標準的なビジネスクラスです。

 

配列に関しては、ヘリンボーン型にありがちな棺桶に入ったような閉所感はないし、逆ヘリンボーン型のような給仕の不自然さもないでしょうが、隣席の干渉はそれなりにあるはずです。一長一短です。私自身は着席時、左右にそそり立つ壁の圧迫感がないので、1-2-1よりこっちの方が好みです。一般にスタッガード型はさらにシート幅が狭くなりがちです。

 

もっとも、狭く感じさせない工夫はあちこちに見られます。余裕はありませんが、窮屈でもありません。

 

フルフラットを試した時、枕(クッション)を頭の下にあてがわれましたが、まさにドイツの枕でした。ドイツ人と暮らしたことのある人ならわかると思いますが、あの羽布団を小さくしたような枕です。頭が沈み込んでしまい、心許ないのですが、不思議と安眠できる枕。シートのこだわりと言い、枕と言い、搭乗時からドイツを強く感じることは間違いありません。

 

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Drei im WegglaとHellesがいつも機内に用意されているなら、利用してもいいかなと、仰向けの状態で思いました。(さらにWürzburger Stein Silvaner GGを標準の白ということでお願いします。)

 

ビジネスクラスは経営上、席の詰め込みが重要なようですが、客に対しては高機能を全面に出す方向にあるようです。客もガジェットを求めているようで、全然ラクジャリーでなくても、選択の判断材料にはならないようです。

 

私の知る小さな例外はQatar航空の77Lで、広いシートピッチと大型のインテリアは、結構ゴージャスな感じがします。空間の使い方が贅沢です。ファーストでも運用できるようにした内装なのでしょうか。NRT-DOH間のビジネスは貴重ですが、儲からないでしょうね。

 

エティハドのThe Residenceでさえ、ポルトローナフラウのソファーを一つの売りにしているぐらいですから、ビジネスクラスに乗用車並のインテリアを求めるのは、無謀と言うことになりそうです。(追記)エティハドは、同時にBusiness Studioでもポルトローナフラウのシートを導入していました。さすがですね。

 

ビジネスクラスのシートはすでに"eierlegende Wollmilchsau"になっていて、驚くようなからくりはなかなか出てきません。そんな中、LHのシートは使ってみてなるほどと感じると共に、新鮮感もありました。