時々欧州をうろちょろする身としては、定期的な運賃体系のチェックがどうしても必要です。LCCが一般化していて、大手の苦戦はよく新聞記事になっています。そのため大手の域内移動の料金は微妙に変動しますし、経営の状態の理解も必要なことがわかってきました。
LCCとの関係ですが、ブリティッシュ・エアウェイズ (BA) は、Flybe, Vueling Airlines, WestJetとコードシェアを行っています。エール・フランス (AF) はコードシェアを行っていないと思います。(KLMはTransaviaと行っています。)
AFは2013年にBrit Air, Regional et Airlinairの3つの子会社を再編成してHOP!としましたが、LCCのTrasaviaもKLMを通してグループ会社になっています。近い未来に(人員削減以外の)リストラを派手に行いたいようですが、ネットワークの形成と役割分担に関しては、まだ青写真が描けていないようです。
ルフトハンザ (LH) はFRAやMUCを含まない短距離路線は、LCCのGermanwingsに移してしまう立場のようですが、実際にはLufthansa Italia, Lufthansa Regionalなどの地域航空会社を持つ以外に、資本関係の大きいナショナルフラッグキャリアー(OS, LXなど)との調整もあるはずです。さらにLufthansa RegionalはLufthansa CityLine, Eurowings, Air Dolomitiが個別に運行していて結構複雑です。
利用者の立場で面倒なのは、アライアンスが同じFFP会員がこれらの航空会社のコードシェア便を予約した時、運行がLCCの時は、マイルが貯まらないことがあることです。一方、予約した便の運行会社が地域航空会社の場合、BA, AF, LHの便とほぼ同じルールが適用されるようです。同一アライアンスのFFP会員は、欧州のLCCと地域航空会社の名前はしっかり覚えておく必要があります。
大手のエコノミークラスでも、料金体系をLCCに近づける試みが始まっています。これは手荷物受託などのサービスを省き、低価格にしたものです。数年前AFは、自社にどのようなサービスを期待するのか、搭乗客にアンケートを行っていました。その結果が現在の料金種別に反映されているはずです。例えば10月半ばにパリからローマへ行こうとすると、往路で
帰路で
等と表示されます。ここでのMINI, CLASSIC, PREMIUMのサービスの違いは以下の通りです。
CLASSICは予約変更が有料の制限付エコノミーですが、MINIを選ぶとそれに加え、受託手荷物有料、マイル無し、予約変更不可となります。
同じ日程でBAも調べてみました。区間はLHR-FCOです。同様に受託荷物無しで安くなります。往路は、
帰路は
となりますが、帰路では最安の料金カテゴリーが設定されていません。
LHには受託荷物無しの料金種別がありません。制限付きエコノミーも割高です。経費がふんだんに使えるお国柄、私用で乗る人はGermanwingsを利用してもらうという明快な線引きなのかも知れません。オランダを除く北欧も含めた大ドイツ圏での域内移動は、スターアライアンスの天下です。スターアライアンスのFFP会員は、LHの料金には注意が必要です。
実際FRA-FCOで見ると、行きが
帰りが
となっています。区間は少し違いますが、受託手荷物ありの料金はAF160€、BA140€に対して、LH200€です。LHはゲート近くの待合場所にコーヒーサーバーを置いたり、新聞を置いたりするサービスを行っていると聞きます。しかし長距離便用のビジネスクラスラウンジの一回使用が36€程度であることを考えると、この値段差は厳しいかなと思います。
これだけ見ると、FRAやMUCを拠点にしてLHで欧州を放浪することには合理性がなさそうです。しかしパリやロンドンよりホテルは安いので、ハブの都市での宿泊が必要なら話は別です。悩ましい問題です。