PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ブログの自動広告化

趣味の内容をブログに書く場合、意識しなくても宣伝活動を行っているはずです。航空ブログなどは最たるものでしょう。楽しかった搭乗経験を記事にすれば、それは宣伝となります。しかも提灯記事(便益を得て、商品などを好意的に紹介する記事)とは異なり、自由意志に基づいているので、読んだ者は信用します。

 

日本ではJALANAを中心に据えたブログが多いのですが、それらを除くとCathay Pacificのブログが特異な成長をしています。あるブログを読んでCathay addictになり、自分でもブログを始めた方がいます。その子ブロガーのブログが人を惹き付け、孫ブロガーを産み、ねずみ算式にCathayファンが増えます。こうなると小さな社会現象です。宣伝費用はかかりません。Cathay Pacific日本支社は幸運をつかみました。

 

プロのライターが一度きりの経験(=取材)を記事にするのに対して、ブロガーたちは豊富な経験をもとに書くわけですから、取材能力とか文章能力が問題にならないほど内容に奥行きが出ることもしばしばあります。航空会社の広報は、ブログに期待するほど他力本願ではないはずですが、ネット上の評判を参考にしない理由はありません。

 

ここで紹介する内容は、自分の記事が広告のように機能する点が共通していますが、少し異なる現象です。Googleのルーチンが、ブログを巧妙に広告化している例です。

 

「世界一のビジネスクラス」で検索すると、どういうわけか私が撮影した成田空港のチェックインカウンター頭上の電光掲示が2番目に表示されます。Qatar航空です。「世界一」と「ビジネスクラス」の2語で検索すると3番目になります。

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Googleの性質を考えると「なぜこの写真がこんな上位に?」などと不思議がっているのは呑気すぎるかもしれません。その根拠は、

 

・この検索語は、目的や関心を持った人が使いそうな検索語であること。(=金や情報が動く可能性が高い。そもそもGoogleはそういう性格を持つ。)

 

・上位に表示される画像には、キャビン、広告、チラシの画像が多く、この画像に匹敵するようなアイキャッチャーが無いこと。

 

チェックインカウンターの電光掲示は目立つように作られていますし、印象に残ります。それを使ってGoogleが「世界一のビジネスクラスはこの表示です。ここで搭乗手続きをして下さい。」とさりげなく言っているようなものです。しかもクリックするとブログに到達し、ある程度客観的な情報と高い評価にたどり着けるはずです。

 電光掲示を広告アイコンにする巧みさ。Googleは、どうやってこんなことを可能にするのでしょうか。見当もつきません。

 

この画像は個人の記録で、その限りでは何も意味しないはずでしたが、人を誘導するアイコンに化けました。そして元のブログは宣伝記事としての性格が濃厚になります。

 

Qatar航空の日本支社は、Skytraxによりビジネスクラスが世界一に選ばれたことをほとんど宣伝していません。その証拠に上記の検索語では、彼らが公式に発信した情報が何一つ表示されません。一方、上位に表示される画像の多くが、Skytraxの評価でビジネスクラスのシートが世界一に選ばれた時のJALの広告の一部です。

 

えぐいのは、サイバーショットで撮ったスナップ写真を、一流のカメラマン、一流の俳優を起用した広告と並べてしまうGoogle平等主義JALはかなり費用がかかったはずですが、Qatar航空日本支社は何も支払っていないはずです。もちろんJALは頑張っていることを広く告知することが必要です。一方でGoogleは必要な人間に必要な情報を提示するのが本性です。費用の面では比較できませんが、効果の上ではどうでしょう。

 

さて私もえぐいことをします。実際の広告効果を暴露します。この画像の元記事へのアクセスは昨日12回程度でした。同じ語句によるWeb検索で上位表示される関連3記事の合計で30回ぐらいです。ただし日によって大きく変動します。これらの訪問者は航空券購入の(意思決定を行う)可能性が高い方だと思いますが、Qatar航空の利益にどのぐらい貢献するかは微妙なところです。

ブログへのアクセス数を増やす効果があるので、駄文の著者はGoogleに不平を持っていません。なおこのブログはHatenaなので、この数字は実数か、控え目だと思われます。

(追記) しばらく観察していたら、アクセス数は実に変動が大きく、この3倍に達することも珍しくありませんでした。

 

Skytrax Awardに輝いた航空会社を、巨人Googleが祝福したというレベルです。しかし、このような広告が100もあると、大手に挑戦する企業には無視できない話になるでしょう。そしてそのような広告化は、日々ルーチンで行われているはずです。