ここ一週間、アクセス数が通常の2割増しになっています。キャセイ・パシフィック(CX)の搭乗記が続いていることに関係するのでしょう。マルコポーロの皆さんがリサーチ熱心なのか、単に注目されている航空会社なのかわかりませんが、CXの人気の高さには呆然とします。AF~フライングブルーの記事の時は、普段の2割減でしたから、こちらは世の関心が低いようです。気合を入れて書いたのに、笑ってしまう結果です。
さて、11月22-24日の三連休のバンコク、CXの航空券(ビジネスクラス)は全込で132,000円でした。20% offでした。この時エコノミークラスで購入していたら、81,000円だったため、51,000円の「贅沢」です。
今日のテーマはこの「贅沢」の検証です。
一般的には、LCC → エコノミークラス → ビジネスクラスという料金の序列、サービス内容の序列が形成されつつあります。例えば、来年1月10-12日の三連休にバンコクに行く場合、LCCの雄エアアジアで航空券を購入するとします。
預入荷物20 kg、機内食付、事前座席指定可能の料金体系(プレミアム・フレックス)の料金は、以下の通りです。
9日深夜(23:45)羽田発、10日昼(11:40)ドンムアン着
12日朝(9:25)ドンムアン発、12日深夜(22:30)羽田着
この経路で122,946円。LCCのエコノミ―なのに、11月のCXのビジネスと9千円しか違いません。何もかも有料になる割引運賃でも、87,530円となります。
成田を使うと直行便で
10日朝(9:15)成田発、10 日午後(13:55)ドンムアン着
12日深夜(23:45)ドンムアン発、13日朝(8:00)成田着
83,890円です。「何でも有料」の割引運賃で58,090円。帰りの時間を考えると、火曜日は午前中は半休が必要でしょう。
噂どおり、エアアジアは全然安くないのでした。
LCCは「余計なサービスを削って、価格を下げた」というイメージが強いのですが、これは逆プレミアム戦略でしょうか。そういう固定観念が消費者の感覚になれば、「たぶん安いだろう」と良く調べずに買ってしまう、そういう効果を狙ったマーケティングです。
高品質、高級と言うイメージができれば、品質向上にかかる経費以上の高い値がつくブランドのバッグと逆です。
もちろんプロモーションをはずして、連休のチケットを買うというのはLCCの使い方として賢くありません。でも多くの人は連休の時ぐらいしか、海外に出られません。
次に、レガシーキャリアのエコノミークラスはどうかと調べてみます。まずは、タイ航空エコノミークラスです。もちろん直行便。マイル積算対象にならないV/Wクラスを利用します。羽田を使うと帰りは夜の移動になります。
10日朝(10:45)羽田発、10日昼(15:45)スワンナプーム着
12日深夜(23:15)スワンナプーム発、13日早朝(6:55)羽田着
これで64,900円です。火曜日は羽田から職場に直行でき、有給は不必要でしょう。
なお成田を使っても値段は安くならない上、都心から遠い分、時間の利用効率が悪くなります。
この料金、驚くべきことに、成田利用、要半休取得、「何でも有料」(座席指定不可、預入手荷物有料、機内食有料)の場合を除き、Air Asiaよりかなり安いのでした。
要は、LCCよりレガシーキャリア利用の方が圧倒的に安いのでした。安定して席が多数供給されているのは、旅行者には大変ありがたいことです。
マレーシア航空は、
9日夜(21:40)成田発、10 日午後(10:15)スワンナプーム着
12日夕(17:10)スワンナプーム発、13日朝(7:15)成田着
これで55,200円。これはエアアジアで表示されたあらゆる料金より低価格です。月曜朝は直接職場に向かうと、少し遅刻するかもしれませんが、金曜夜発月曜朝帰着で、週末をフルに使えます。
安く、より長くという基準では、どうもMHに軍配が上がりそうです。
(12月11日追記) ジェットアジアを調べてみたら、
となり、55,150円のチケットがありました。ただし土曜日には運航がないので、成田は金曜発で帰りは日曜か月曜の成田着9:30です。マレーシア航空より50円安いだけで、この時間帯。チケットは売れるのでしょうか。プロモーションで買えば40,000円ぐらいで手に入るようですが、連休に設定はあるでしょうか?
典型的なアジアの週末旅行。気分転換が目的の休日です。もちろん安いに越したことはありませんが、移動時間は往復で12時間以上にもなります。この時間は、起きている時間の4分の1以上です。この時間を利用する必要はないのでしょうか。
空港に着いた時から、全ての動線で楽しめるのがキャセイのビジネスクラス。とにかく退屈がありません。移動時間も楽しむことができれば、現地滞在と同じく、気分転換の目的に合致します。休日を長く取っている、あるいは無為な移動時間を短縮しているのと同じです。
旅館に泊まることに比較できます。旅館では、身の回りの些事をやってもらうことに金を払います。高級感は違うものの、移動が現地滞在と同等の気分転換になるなら、10時間x2で5万円は高くありません。特にCXは、日本旅館顔負けの「サービスの個人化」を熱心に行っています。CXの持っている客の情報や、そのときの客の服装などに応じて、ISM挨拶なんて変わります。
ビジネスでは、2人分で10万円の余計な出費。強羅花壇やあさばの一泊を選ぶのもアリですが。
CXのサービスが楽しめないなら、ビジネスクラスは移動の苦痛を軽減するため選択です。もっとも、TGとMHのエコノミーは、一部のLCCほど苦痛にはなりません。
実は、ビジネスクラスでも
・ヘッドセット常時着用で音楽や映画を楽しんでいる人
・ゲームまたはゲーム+音楽で自分の世界に没頭している人
・ずっと寝ている人
のどれかに該当するケースがほとんどです。言葉は悪いのですが、搭乗毎に違うクルーのサービスをそこそこに、大量生産、大量消費される娯楽を選択しているのは残念です。
キャセイのサービスがツボにはまる人は、ごくわずかです。しかし搭乗が「特別な娯楽」になる人には、週末アジアでのビジネスクラス利用は全然高くないと思います。目的に合致した時間が事実上長いのですから。
ということで、今日の結論は、
・航空会社のサービスがツボにはまった人は、貪欲に上級のサービスを
・良くリサーチができ、ピンポイントで低料金を狙える人はLCCを
・一般的にはレガシーキャリアのエコノミーを
選択するのが週末アジア向けということになります。レガシーキャリヤのエコノミー以外は、「安いチケットが手に入ったから行こう」という気軽さを持っていないと、少し高くつきます。