PECHEDENFERのブログ

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欧州便利用において有利なプログラム(2015年スカイチーム編)

デルタ航空SkyMilesの2015年の改定では、提携各社に関する部分も大改革は免れないと予想していました。デルタ搭乗分だけ変更すると、大西洋路線、太平洋路線では提携各社を選ぶSkyMiles会員ばかりになるからです。発表内容は予想通りだったのですが、実際、眼にした時は少しショックでした。エルドラドは消滅したのです。

 

2014年までは、SkyMilesに入会、提携アメックスのゴールドを作れば、Air Franceの搭乗で相当マイルが貯められました。東京ーパリを格安エコノミーで往復すると

 

2014年まで:24,000 miles積算 2015年から:4,800 miles積算

 

と、5分の1に減少。Flying Blueと同程度になります。一方、無料航空券に必要なマイル数は少し上昇し、東京ーパリ間往復なら、

 

2014年まで:economy 90,000 miles 2015年から:economy 100,000 miles

2014年まで:business 140,000 miles 2015年から:business 160,000 miles

 

です。今年までは、6回エコノミーで往復すると、1回ビジネスの往復無料というパターンだったのが、来年から20回往復しても、1回のエコノミー往復無料券にもなりません。Gold Medallion会員でこうなのです。壊滅的な打撃です。

 

今までヨーロッパに時々行く日本在住者は、SkyMiles以外のマイレージプログラム(FFP)は考えなくてよい状態でした。しかし1月以降のことは、再考しなくてはならないはずです。

 

そこで今日のテーマは、2015年以降の有利なFFPの検証です。ヨーロッパ旅行における、利用航空会社とFFPとの有利な組合せSkyTeamに捜します。

 直行便には、エールフランス(AF)、KLM(KL)、アリタリア(AZ)があり、アエロフロート(SU)も途中モスクワ経由しますが、同一便でパリへ飛べます。日本で加入しやすいFFPは、

デルタのSKyMiles(SM)

AF-KLMのFlying Blue(FB)

AZのMilleMiglia(MM)

中華航空のDynasty Flyer(DF)

でしょう。これらの組合せで、どれだけ多くのマイルが貯まるか、どれだけ少ないマイルで無料航空券が得られるかを調べてみます。

 

例によって数字の羅列になるので、結論を最初に述べます。あまり大きな期待はできなくなったということを前置きして、以下のことが言えそうです。

 

AlitaliaのMilleMiglia会員が、Alitaliaのビジネスを利用するのは特異的に有利です。日本ー欧州間4往復で、日本ー欧州間のビジネスクラスの無料チケットになります。

 

Air FranceとKLMの最安エコノミーの利用ではDynasty Flyerが有利。SkyMilesもほぼ同等。

 

・Alitalia のエコノミークラスしか利用しない場合、Dynasty Flyerを除く3プログラムには差がほとんどありません。Dynasty Flyerは格安運賃でマイルがゼロです。

 

Air Franceのファースト利用では、Flying BlueかSkyMilesが良く、Flying BlueのGoldやPlatinum会員以外では、Air Franceのビジネス利用にMilleMigliaが有利です。

 

・Aeroflotの利用では、エコノミーの少し高い料金でMilleMigliaが顕著に有利です。

 

・ 無料航空券への交換では、AF-KLMの欧州便ビジネスと台湾・韓国便ビジネス、SkyMilesとDynasty Flyerの欧州便エコノミー、MilleMigliaの東南アジア便エコノミーが不利です。反対にDynasty Flyerの東南アジア便エコノミー、ビジネスは有利です。

 

・マイルの有効期限がFFP毎に異なるので注意が必要。

 

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ここから分析です。まずは搭乗によりマイルを得る方を見てみます。

 

(1A)  Air Franceの利用

 

運行が高密度、夜便もあることからパリ便の利用者は多いと思います。積算割合(%)を一覧にしてみました。欧州組FFP、Flying BlueとMilleMigliaは、日本―パリ便以外に欧州内の積算も別表です。

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明らかにわかることは、

最も安いエコノミーでは、DFが50%積算。SMとFBは25%。MMはゼロ%です。

・一方ビジネスクラスでは、すべてMMが有利です。多くは200%です

ファーストクラスでは、SMとFBが300%と破格です。

・欧州便では、M, U, Tを除いてAZよりFBが有利です。

 

(1B) KLMの利用

 

比較的航空券が安いので人気があるKLM。スキポール空港の規模が手ごろなこと、昔から規制が緩く、免税制度やカジノなどが充実していることも魅力です。さてKLMの搭乗に対しては、以下の表の通りです。

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表より読み取れることは、

R, G, Vの最安エコノミーではDFが50%積算で有利。それ以外ではSMが有利

・MMは、E, V, R, G, Vでマイル積算ゼロ%

・FBは、E, Vでマイル積算25%を除くと、SMと同じ

・欧州便では、M, U, Tを除いてAZよりFBが有利

です。ビジネス利用でのAZの有利さはありません。

 

(1C) Alitaliaの利用

 

アジアには日本にしか路線を持たないAZ。ベネチア線は1年足らずで廃止されますが、世界的に見ると異常な人気です。日本からのヨーロッパ便の大きな需要を担っています。これも長距離と欧州内便で別にまとめてみました。

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わかることは、

DFはL, X, W, S, G, Rという最安エコノミーでは積算ゼロ%です。

・この最安エコノミーおよび、XでDMが100%(他は50%)、K, V, TでSMが75%(他は100%)、Y, B, MでMMが150%(他は100%)を除くと、エコノミーでは並びます

・プレミアムエコノミー以上では、MMが圧倒的に加算率が良く、ビジネスで300%は異常です。

・近距離便(欧州便)の体系は、長距離便と大きく異なるので注意が必要です。

 

(1D) Aeroflotの利用

 

とにかく安いチケットがあります。ロシア入国にはビザが必要なので、イレギュラーが発生すると管理の下で宿泊施設を利用する等、やや不愉快な思いをするリスクがあります。しかし多くの目的地に対して、欧州組と同程度の時間で到着するので、積極的な利用を考えてよい航空会社だと思います。この航空会社の利用に関しては、以下の通り。

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R, E, Pでもマイルが貯まるのは、FBだけです

・その一つ上のQ, T, E, NではFBは25%ですが、他は50%です。

LではDFが80~100%と有利で、H以上でMMは100%となります。(Uの50%は間違い?)

・プレエコでは、全てのFFPがほぼ並びます。

・ビジネスではSM>FB>MM>DFですが、それほど大きな差ではありません。

 

(2) 各FFPの上級会員とボーナスマイル、マイルの期限

 

各プログラムのボーナスマイルは以下の通りです。

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日本在住でヨーロッパ渡航が多いケースを想定しているので、SkyMilesはGold Medallion(Elite Plus)だけ考えれば十分でしょう。中華航空Dynasty Flyerには、搭乗マイルに比例したボーナスが無いので省略します。その他の上級会員になる条件は、下記の通り。

 

Flying Blue:

Sillver(15搭乗 or 25,000 miles)、Gold(30搭乗 or 40,000 miles)

MilleMiglia:

Ulisse(30搭乗 or 20,000 miles)、Freccia Alata(60搭乗 or 50,000 miles)

 

ここで搭乗はマイル積算されるSkyTeam各社の便への搭乗を意味します。なおマイルの期限は、

SkyMiles:有効期限なし。

Flying Blue: 20か月に一度以上の利用で有効期限なし。

MilleMiglia: 24か月。その期間内の搭乗で延長。(ただし最大5年のようです。)

Dynasty Flyer:36か月。

 

(3) 各プログラムで無料航空券交換に必要なマイル

 

 日本出発の往復無料航空券の発行に必要なマイルです。

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・SkyMilesでは、ヨーロッパ便はSkyTeam各社の便が対象です。他の目的地はDLの利用で、最も少ないマイル数を記載しました。

・Flying BlueはClassic Awardです。

・MilleMigliaはSkyTeam便利用のデータです。Alitalia利用では、今年の12月までのデータですが、欧州ビジネスクラス往復に必要なマイルは120,000 milesです。

・Dynasty Flyerのデータは中華航空利用で、下のデータはブラックアウト期間におけるマイル数です。

 

(4) 有利となる組合せ

 

もはや、SkyMile会員+アメックス加入+AF, KL, AZの利用という、ほとんどオールマイティな組合せは存在しません。利用パターンによって、状況は大きく変わります。確実性が高い方から、顕著な方から列記します。

 

・原則としてビジネスクラスを利用する人なら、AlitaliaのMilleMigliaに加入、Alitaliaのビジネスクラスの利用が特異的に有利です。経由便で片道6,700 milesの行程なら、往復で40,200 milesも積算されます。これを4往復すれば、日本ー欧州間のビジネスクラスのチケットです。

 1往復で上級会員(Ulisse)になるので、毎年搭乗するだけで、積算は加速します。

 

Air FranceとKLMの最安エコノミーをよく利用する人は、Dynasty FlyerとSkyMiles+デルタ・アメックス・ゴールドが、ほぼ拮抗します。SkyMilesはボーナスが付き、積算マイルはわずかに大きくなるのですが、無料航空券に変える段階でDynasty Flyer有利、しかし夏休みや年末年始に欧州に行くなら、おそらくSkyMiles有利という具合です。

 ヨーロッパ以外に、アジアにもちょくちょく出かけるならDynasty Flyerの方が有利だと思います。

 

・Alitalia のエコノミークラスしか利用しない場合、Dynasty Flyerを除く3つのプログラムのどれを選んでも、実質的には変わりません。上級会員のボーナスが大きい方が良いのは当然です。(Dynasty Flyerはマイル積算ゼロになるクラスがあるので注意。)

 

Air Franceのファーストをよく利用する場合、Flying BlueかSkyMilesが有利です。ビジネス利用は、年に2~3度の利用状況だったら(=Flying BlueのGoldやPlatinumでないなら)MilleMigliaが有利です。

 

・Aeroflotの利用では、エコノミーの少し高い料金でMilleMigliaが顕著に有利です。これはマイルボーナスの程度の違いになります。

 

・無料航空券への交換では、AF-KLMの欧州便ビジネスと台湾・韓国便ビジネス、SkyMilesとDynasty Flyerの欧州便エコノミー、MilleMigliaの東南アジア便エコノミーが不利です。反対に、Dynasty Flyerの東南アジア便エコノミー、ビジネスは有利です。

 

(5) 結語

 

長くなりましたが、ヨーロッパに時々行くと言っても、どこに行くのか、どの航空会社を使うのか、どのキャビンなのかによって、マイレージプログラムを選ばないとならなくなりました。しかしながら、ある航空会社に頻繁に搭乗するなら、マイルの価値云々より、その航空会社のプログラムに入り、上級会員になる方が何かと便利だと思います。

 

そこまで多頻度にならない場合は、SkyMilesのアメックス・ゴールドに、年会費が3万円弱でラウンジ利用とSky Priorityの対象と言う特典が付いていることを十分考慮しなくてはなりません。SkyMilesを選ぶ十分な動機になります。

 

日本人でSkyTeamFFPを利用している人には、それなりの理由がありはずです。そういう人は、2015年以降もできれば継続したいはずだと考えたため、今日はSkyTeamに限定しました。Star AllianceとoneworldFFPと使い分けていても、良いわけですし。