PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

2014年私的ベスト

2014年の1月1日から、12月26日までに乗ったフライトや関連事柄を対象に、私的ベストを選んでみました。「他を圧倒している」と感じたものを並べたので、ベスト航空会社など一般的にはあるべき項目もありません。

 また航空会社も路線もバラバラ、100回にも満たないフライト数でランキングをつくるのは無理。ということで、ベストだけです。

 

印象深いフライト:CX509。In-flight Service Managerによるワゴンサービスは強烈でした。「エネルギーのある中年女性ってすごい」のでした。

 

異常なフライト:AF6272。太陽が西から昇るのは本当です。

 

恥ずかしいフライト:CX521。平凡なエコノミーの席に平凡な格好で座っていたら、Flight Purserが慌しく、しばらくしてIn-flight Service Managerが慇懃に挨拶を。目立って仕方ありません。

 マルコポーロの会員だったら、バルクヘッドなどの印象的な座席に座れるので、この種の挨拶にも不自然さはありません。ビジネスのキャビンでも、特別挨拶は目立ちません。他社Emerald会員とエコノミーの組合せが鬼門です。この組合せに該当する場合、最低でも靴とスーツはテーラーメイド、さらに金時計と赤珊瑚カフスで武装するのが良いかもしれません。肌の露出が多い場合は、刺青ーピアス系でしょうか。ISM挨拶を受けても普通に見えるためには、周りとはわずかに違う外見が必要です。

 

エコノミーシート:JAL SKY WIDER。このシートは世界最強かもしれません。広いのが売りですが、大げさに言うと革命的です。前後左右ともノートPCでストレスなく作業を行える広さが確保されています。ずばり出張に最適です。ビジネスクラスだと、たらふく食って飲んで寝てしまうけれど、エコノミーではそれは無理。ゲーム中毒でもない限り、PCを開けて仕事に向かうことになるでしょう。経営者は自分向けにはLCCでも、ファーストでも良いでしょうが、社員にはJALのSKY WIDERをあてがうのが、経費の正しい使い方に思えます。疲れも少ないので現地での仕事の効率も上がるでしょうし。

 

プレエコ以外で余分に広いエコノミークラスシート:DLエコノミーコンフォート。広さがそれなりに機能し、追加料金も合理的に見えます。デルタ航空のエコノミー普通席と比較すると確かにそうなのですが、JALのSKY WIDERと比べると、見劣りします。

 

ビジネスシート:AF。新しいビジネスクラスのシート、非常に良くできています。来年のSkytraxのbusiness classシート部門では健闘しそうです。有力な対抗馬はエティハドのBusiness Studioでしょうか。正攻法で上質さを求めているようですから。しかしEYはSkytraxに対して批判的。微妙ですね。

 

機内クルー:CX。明らかにpersonaliseされたサービスへ向かっています。アジアならではの肌理の細やかさがそれに加わります。一方で抜けているところも多く、独特なキャビン・サービスとなっています。個性が強く、「はまる」人もいれば、全然という人も多いでしょう。

 

ビジネスキャビン客層:CX。アジアの混沌が昇華されています。面白すぎです。

 

エコノミーキャビン客層:BA。品行方正。同じ運命を共にしたという「空気」が共有されます。保守やサービスが行き届かない部分を乗客が互助によってフォローしているような一面があります。自分も恥ずかしくない振舞いを自然とするようになります。

 

多言語対応:KL。機内では客室乗務員が20言語に対応などという会社もありますが、これは多国籍チームを組めばいいこと。重要なのは、全ての乗務員が多言語話者であることです。

 KLM欧州便のクルーは、英仏独蘭の4言語が最低ラインのようです。客に声をかける時は、広げている新聞や雑誌で判断しますが、聞く方は何でもOKという能力は客にも好都合。(とっさの時、eau!やwater!と言うより、Wasser!の方が誤解が少ないはずですが、通じないのでは意味がありません。)なぜか乗客もpolyglotteが多く、キャビンは独特の雰囲気です。

 

機内食:CI。味付け云々などという主観は二の次。食にかける情熱がまるで違います。夜行だろうがなんだろうが、しっかりした機内食を明るい空間で食べさせます。安眠の権利は、皆の食事が終わって初めて保証されます。

 料理は正攻法なので地味に見えますが、食材とか食品の品目数など、基本レベルで金がかかっています。ワインも他航空会社の遥か上を行きます。ビジネスのワインリストは天晴でした。機内Champagne用にA. Robertを買い付けますかね、普通。

 

ビジネスクラスワイン(リスト):QR。これだけは、CIより充実していると言わざる得ません。種類は同じぐらいですが、価格帯が明らかに上で、特に問題が見つからないので。消極的な理由ですが、ワインの場合仕方ありません。

 

ウェブの操作性:BA。感覚的な要素が多いのですが、デザインも情報の提示も圧倒的に使いやすく感じます。電子メールによる搭乗案内なども優れています。一方アンケートはexhausting。なぜでしょう。

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地上係員:日本の空港。なんだかんだ言って国際比較すると、優秀です。効率、正確、公正のどれをとっても一番だと思います。ホームグランドでない他国の空港では、社員だとできることが限られ、契約会社社員だとデタラメだったり杓子定規すぎたりと気まぐれ。これが「グローバルスタンダード」ですが、羽田や成田ではそういうことは滅多にありません。

 

ラウンジ:ISTのTKラウンジ。ラウンジにある要素を全て集めて、広い空間を用意しただけですが、エンターテーメント性に優れています。空間デザインが凝っていることも重要です。コーヒーはトルコ風が歓迎されますが、Sachertorteには生クリームを。ピアノもBösendorferの柔らかで輝かしい音の方が、このラウンジに調和すると思います。さらに重要なことですが、ピアニストが演奏していると格の違いを見せつけられます。

 

空港(ラウンジ整備):HKG。ターミナル内での配置が良いし、空港全体として規模が適切。明るい空間も好印象です。CXについてですが、サービス内容も適切です。

 

空港(一般待合席):NAP。Poltrona Frauの家具展示スペースになっている一般待合ホール。信じがたい空間です。5つ星ホテルの大型スィートルームではないのですから。比較するとどんなラウンジも安っぽく見えるので、注意が必要です。実際ラウンジの家具は普通安物ですが。

 

空港(スタッフ全般):MLH-BSL。政策の影響もあるのでしょうが、とにかくフレンドリー。Basel市内から非常に近く、スイスへの入り口はこの空港が良いと思います。

 

空港(創意):HND国際線ターミナルに歴史テーマパークを作った羽田。「日本人は何を考えているのやら」が、また一つ増えました。

 

空港(トイレ):JALファーストクラスラウンジ(NRT)。ずらりと並んだ個室のドアが少し開いており、全て同じ角度と言う演出。角度が少しずれると全てが壊れる空間。こんな形で清掃・整備の質の高さを見せつけるなぞ、世界中で誰が想像するでしょう。日本にしか存在しえない空間でしょう。無駄?そのとおりです。しかしそこには、経済的な合理性では測れない文化が表現されています。外国人にこそ体験してほしい空間です。

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