一月ほど前に、AirlineRatings.comから航空会社の安全性2015年版と、そのTop 10が発表されました。この種の評価の信頼性は「参考程度」だろうと思うのですが、高評価はそれなりに宣伝に使えるでしょう。
World's Safest Airlines for 2015
1位はQantas。ジェット化されて以来、死亡事故無しの記録を更新中です。以下2~10位は順位が無く、アルファベット順に提示されています。
Air New Zealand, British Airways, Cathay Pacific, Emirates, Etihad, Eva Air, Finnair, Lufthansa, Singapore Airlines
です。このリストを見るとすぐ気がつきますが、上位10位の構成は、
oneworld 4社、Star Alliance 4社、中東の新興会社 2社
と偏りが見られることです。SkyTeamからは一社も入っていません。
SkyTeamといえば、なんだか事故を起こすイメージが強いのですが、それを裏付けるようなランキングとなっています。それは正しいのか?が本日のテーマです。
AirlineRatings.comは、多くの航空会社の安全性とサービスを7つ星で評価しています。3大航空連合に含まれる会社はすべて評価対象となっています。北朝鮮の高麗航空などのマイナーな航空会社も含まれます。(安全性5.5、サービス2.5)SkyTeamにまつわるイメージが虚像なのか、根拠のあるものなのかチェックできるわけです。
ということで、3大航空連合の全加盟会社の評点を調べてみました。連合同士の比較を行うのですから、保有機数が大きい会社と小さい会社を同等に扱うわけにはいきません。就航路線数についても同じことが言えます。そこで保有機数と就航地数も調べ、評点の加重平均も計算してみました。細かいことを言えばきりがありませんが、とりあえずこれで傾向はつかめると思います。
まずはSkyTeam。
ほとんどの会社は最高評価の7つ星でした。一方で、GAは3と低評価を得ています。
平均値は、保有機数加重値で6.7、就航地数加重値で6.7でした。
続いてStar Alliance。
アシアナはpendingで評価がありません。想像するに、派手な死亡事故を起こしたばかりで、本来の基準で評価すると著しく低くなってしまうからでしょう。7つ星の割合はSkyTeamに比べて、明らかに劣ります。
平均値は、保有機数加重値で6.6、就航地数加重値で6.4でした。
最後にoneworld。
7つ星の割合は、SkyTeamより少し劣ります。JALも単独事故として最大の犠牲者を記録した123便の禊は済んだようです。 昨年、大型機全損を2つ起こしたマレーシア航空でも5つ星の評価です。(それにしてもGAの3というのはどういうことなのでしょうか。高麗航空よりはるかに低い評価です。)
平均値は、保有機数加重値で6.8、就航地数加重値で6.7でした。
安全性の平均値は、oneworld > SkyTeam > Star Alliance となっていますが、優位な差があるとは言えません。評価は星1つが最小単位なのに対して、最大で0.3しか異なりません。ということで、結論は、
3大航空連合間では、安全性に差がない
です。
また同じように、サービスについても加重平均を求めることができます。
最大で0.4異なります。評価の最小単位は0.5なので、安全性より差が大きいとは言え、無視してよいレベルです。ということで、サービスも平均すると差が見つかりません。どの航空連合にも最高点の7つ星もあれば、3.5などという評価がついた航空会社もあります。低評価を受けた会社では、SASとUAが日本に就航しています。共にStar Allianceです。最近搭乗がないのでわかりませんが、どこをどうしたら、こんな低評価になるのでしょうか。
以上から本日の結論は、
「SkyTeamに危ない航空会社が集まっているというのは間違い。サービスが劣るというのも間違い。」
です。
安全性についてはともかく、サービスについて、このように大々的に発表される指標と自分自身の印象を比較するのも面白いと思います。