PECHEDENFERのブログ

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デルタ航空スカイマイル:改革の完成(?)

2015年、FFPを大きく変えたデルタ航空(DL)。DLが好きだからSkyMilesの会員になっている人は、良いのです。自社会員は自社会員。多少制度が変わっても、その航空会社には大切にしてもらえるはずです。

 問題は、利用する会社が中華航空(CI)、Air France-KLM(AF-KL)、ベトナム航空(VN)だったりするけれど、マイルの積算ではそれらのFFPを使う気にならない場合です。何となくマイルの効率が良さそうに見えたので、DLのSkyMilesに入会した人も多いと思います。

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そのSkyMilesが変わりました。大きな変更点は、2つ。

・特典航空券に必要なマイル数(公表→半公表)の増加とより多くの座席数(非公表)の確保

・上級会員基準は資格マイル(または搭乗回数)に加え、支払った航空券料金(資格ドル)

 

DLの搭乗分だけでは済まないだろうと考えていたのですが、提携航空会社のフライトで加算される特典マイルも、今年に入ってから変わりました。特典が著しく遠ざかったことは記事にしました。

2015年1月からのデルタ航空スカイマイル:搭乗も特典交換も提携他社の場合(例えばAF-KLM) - バス代わりの飛行機

 

最近、提携航空会社のフライトで積算される資格マイル(MQM)と資格ドル(MQD)について詳細が発表されました。MQMもMQDも飛行実マイルに予約クラスに応じた割合を掛け合わせて計算しますが、MQMとMQDでこの割合が異なります。さらに特典用のマイルは別です。3つの数値を意識しなければならないと、かなりややこしいのでした。自分でも書いていて訳がわからなくなりそうです。

 

1月1日の利用に遡って、MQMとMQDが加算されるとのことです。これでSkyMilesの改革は、一応の完成を見ることになるのでしょう。詳細はデルタ航空のサイト

2015年スカイマイルプログラム

で見られます。

 

ここでは、SkyMiles会員が同じ区間をDLで飛んだ場合と、SkyTeam他社で飛んだ場合、どのぐらい違いが出るか調べてみました。区間は

New York-Paris、東京ーHonolulu、New YorkーBuenos Aires

の三区間で、

Air France(AF)、中華航空(CI)、Aerolineas Argentinas(AR)

の直行便と比較してみます。3つのクラス(格安エコノミー、エコノミー正規料金、格安ビジネス)を対象に、料金、特典マイル、資格マイル(MQM)、資格ドル(MQD)の計算を試みました。SkyMilesの会員レベルは一般会員です。

 

まずJFK-CDGから。

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tarifはUSDに換算、MQDの単位もUSDです。milesは特典マイル、MQMは資格マイルです。全ての数値は小数点以下を切捨てています。AFの場合、Yではなく、格安プレミアムエコノミーです。

 DLとAFで料金が拮抗しているのは当然です。DLは、AZおよびAFと大西洋路線の料金・運航の共通化を進めているのですから...。またMQMも同じです。違うのは特典マイル。7倍から9倍も異なります。またMQDも5倍から9倍異なります。MQMだけでは上級会員資格をクリアできません。「マイルを貯める」にしても、上級会員になるにしても、SkyMiles会員はDL利用が圧倒的に有利です。

 料金を共通化しても、自社の客をAFやAZに取られないための方策です。

逆のサイドでも同じ事が起こることを危惧しています。つまりFlying BlueやMilleMigliaの会員が大西洋路線でDLの航空券を買うようなことはないよう、DL利用の扱いを悪くする可能性があります。

 

次は関東人には馴染み深いだろう、NRT-HNL間。f:id:PECHEDENFER:20150319144146g:plain

CIについてはYではなく、Mです。

 格安料金ではマイル非加算、マイル可算料金は普通の値段というレガシーキャリアも多いのですが、CIは全予約クラスに渡り低価格です。かなり価格競争力があるのでした。AFの場合と同様、特典マイルはDL便利用の方が多く獲得できます。2倍~9倍というところです。DLで数字が大きくなるのは支払い金額が大きいためですが、単位金額あたりのマイルで比較しても、DL利用の方が有利になることには変わりません。

 MQMとMQDは、DLの方が圧倒的に多く獲得できます。したがって特典マイルはともかく、SkyMiles上級会員を目指す場合は、DLに搭乗しないと道は遠くなります。

 

次に南米へのフライト。JFK-EZEです。

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状況はCIの場合とほとんど同じです。ただ得られる特典マイルにも、大きく差があり、DL利用が圧倒的に有利です。要はSkyMiles会員がARを買うメリットはありません。

 

結局SkyMiles会員には、特典マイルを得るにしても、上級会員を目指すにしてもDL利用がかなり有利です。その違いは何倍というレベルですから、提携各社の利用は、おまけがもらえる程度です。

 SkyMilesの会員には、SkyTeamのメリットは大きく下がったことでしょう。

 

SkyMilesの上級会員の基準をおさらいしておきます。MQMは資格マイル、MQSは資格搭乗回数、MQDは資格支払金額(in USD)です。

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やはり他社利用では、上級会員になるのは大変ですし、そんなことをする人は一切いなくなるでしょう。

 

日本でSkyMilesの会員が多かった理由は、身近なこと以外に、マイルが多く貯まり、少ないマイルで特典航空券に「換えられた」からだと思います。

 実は、これには罠がありました。割り当て座席がほとんど無いのでは、必要マイルが少なくても意味がありません。特典航空券を予約しようとしても、取れない経験がある人は多いのではないでしょうか。

 この部分は、2015年以降改善するようです。DL便の特典用の座席数を増やすことを明言してます。もともと公表されていない数なので確かめようがありませんが、ウソを付く必要もないので、まずは信じましょう。

 その一方で特典航空券に必要なマイルが5段階と複雑になったので、マイル一覧を表に出さないようしてしまいました。その分、予約のインターフェイスを使いやすくしたようです。

 

他社特典の予約についても、オンライン検索が可能な範囲が広がりつつあるようです。この点に関しては、まだ改革は進行中です。

 

しかしながら、他社特典の座席数は簡単には増えないでしょう。相手がいることですから。SkyMilesの会員は、この点に注意しなくてはならないと思います。

 一例を挙げます。東京ーパリ往復、ビジネスクラス(160,000 miles)で検索すると、席が無い日が多く、あったとしても、なかなかAFの直行便は出てきません。ほとんどがKEの乗継便です。一方Flying Blueでは、ほとんどの日で予約が可能(200,000 miles)で、しかもAFの直行便が基本です。年末年始などでも容易です。

 

もっともDLだけを槍玉に挙げるのは不公平です。一般に特典航空券の座席数は明らかにされませんし、他社のタダ券が取りにくいのは、当たり前と言えば当たり前です。

 ただSkyTeamFFPでは、①獲得・必要マイル数に踊らされるのは馬鹿げていること、②他社の特典は取りづらいことが、特に目立ちます。この航空連合内では、良く利用する会社のFFPに加入すべき、と言うことになりそうです。

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