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デルタ航空に見るスカイチーム内の提携(その2)

長距離国際便の運賃の共通化は、共同運航より深化した提携です。SkyTeamの大西洋路線(DL, AF, AZ)、oneworldの大西洋路線(BA, IB, AA, AY)、oneworldの日本ー欧州路線(BA, JL, AY)などで行われています。先進国クラブみたいですが、実際のところ、航空券の値付けーー経費、利益、顧客還元(マイレージ)の内訳などーーをある程度共通化しないと実現できないはずです。そのため航空券価格に余裕がある会社でしか行われていません。換言すると、経費に比して高値で航空券が売れる会社が並びます。会社の信用で高値が許されるわけですから、一流のお墨付きと言えなくもありません。そういえばオセアニアー欧州間輸送におけるQFとEKの提携も強烈ですね。

 

DLは、「一流航空会社」の選り分けだけではなく、全ての提携会社を格付してしまいました。意図したわけではないでしょうが、SkyMilesとの親密度により4段階のランクが付いています。

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(2) SkyTeam各社のランク付け

特典マイル(や上級会員資格マイル)は、航空券を売った金の一部が原資となります。提携各社の利用では、航空券を売って運航した会社から一定金額がFFP元の会社へ動くはずです。

 したがって予約クラスによるマイルの積算率(や上級会員へのtier pointsなど)の決定では、運航する航空会社のさじ加減が重要になるはずです。

 航空券を高く売ることができる会社には、この手のオマケを充実させる余裕があり、安く売る会社には余裕がありません。前者は評判が良い、人気がある、ブランド価値が高い会社ということになります。

 

さてSkyMilesの提携各社の4分類です。これらの会社の航空券を買って、搭乗した場合に、SkyMilesにどれだけ金や資源が移るかで単純に分類したものですが、DLによるSkyTeam各社の格付けに見えます。

 

提携各社のGroup 1(AM, AF, AZ, G3, KL, VS, VA)は、DLと同レベルの特典マイル積算率、DLに準ずる上級会員資格へのカウントという扱いです。DLと並ぶ、余力のある会社を意味します。

 Group 2(UX, KQ, ME, SV, RO)は、特典マイル積算率が落ち、上級会員資格へのカウントも下がります。販売力は中堅レベルになります。

 Group 3(SU, AR, CI, MU, CZ, OK, GA, VN, MF)は、さらに特典マイルの積算率が落ちます。DL便として予約していない場合、上級会員のマイルボーナスも付きません。しかし、実直な価格で航空券を販売しているとも評価できるので、ものは見方次第です。上級会員のマイルボーナスはFFP元の会社が勝手につけていると想像していたのですが、それほど単純なものではないようです。

 Group 4(AS, ZK, HA, KE, WS)は、KEを除いて、提携がDLと2社間で行われてきた会社です。したがって提携の程度に大きな幅があります。

 

Virgin(VS, VA)はSkyTeamではありませんが、DLは自社に準ずる扱いをしています。逆に大韓航空(KE)はSkyTeamにもかかわらず、特典マイルの低い加算率(ファーストでようやく100%)、上級会員資格へのカウントが一切なしと、航空連合外の会社のようです。これはKE側におそらく原因があり、 SkyMiles会員が搭乗しても、あまり金が動かない、つまり動かす原資がないのでしょう。

 確かにKEの航空券はあらゆる予約レベルで安いのですが、これは中華航空(CI)も同じ。それでもCIは(DL本体の利用に次いで)、SkyMilesで異常に高いMQDをたたき出します。他のSkyTeam各社のFFPでも、CIは安い航空券で多くのマイルを発生します。CIは、そこそこ余裕がある価格で航空券を販売している会社ということになります。

 

KEはSkyTeam創設メンバーですから、連合内のお付き合いに対して、相当の自由が利くはずです。他社のFFP会員には、客層としての関心が失せているのでしょうか。

  KEとDLの仲が悪いという説もありますが、FFPの相互乗り入れは、顧客囲込みという一つの業務協力に過ぎません。経営決定の結果の一部が顕れているだけなので、KEとDLの会社間の関係は、悪いとか悪くないとかという次元の話ではないと思います。現に日本ー欧州間の特典航空券をSkyMilesでとろうとす ると、ようやく出てくるのはKEばかりという話は、前に書いたとおりです。

 

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(3) デルタ航空の北東アジア便

DL、AF、AZ間にみる大西洋路線の共同事業を、太平洋で実現するならDL、KE、CIの間で運航と運賃の共通化が行われそうなものです。事実はこれとは逆で、KEとの提携は希薄化しつつあるし、CIとは政治的理由だかで、大した提携が行われていません。

 DLは成田に拠点を持っているので、自前で何とでもなるという意識があるのでしょう。最近では中国大陸ー北米間輸送を増強するため、シアトルの拠点化を進め、中国各都市と北米の直行便の開設がお好みのようです。シアトル拠点化は、別の提携会社、アラスカ航空との間の軋轢の原因になっているようですが、これもドライな経営判断でしょう。

 それでは成田を段階的に縮小するかというと、そう単純に割り切るのは難しいと思います。経費削減を徹底、成田から撤退するのは良いのですが、万が一中国が転んだら、太平洋路線網が壊滅します。AAやUAが、DLに取って代わる可能性もあるわけです。restructuringでこんなリスクをとるようなことはしないでしょう。在日米軍の兵士の輸送需要など、ビジネスとしては旨みがある拠点のはずです。

 日本も北米メジャーが拠点を持っていた方が何かと都合が良いので、DLは生かさず殺さず、ほどほどに優遇するでしょうし、DLもリスク分散のため、とりあえず成田はそのままにしておくと思います。

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何となく微妙な立場になっているのがKE。DL, AF, AZなどの「運賃一流」グループとは見なされず、その他でもDLが当てにできないのか、北米路線(DFW-ICN)でAAと共同運航を行う模様です。言うまでもなくAAはoneworldであり、航空連合のメンバーが他連合の会社と新たに運航提携をするのは異例です。

 日本各地からICN経由で国際線旅客を運ぶと言うKEのビジネスは、羽田国際化により難しくなりつつあります。その上、同じ航空連合内の巨人デルタが、中国ー北米路線、日本ー北米路線で競争相手として、露骨に立ちはだかります。さらにSkyTeam内では、どんどんMUへ旅客が流れてもおかしくありません。KEは前途多難に見えます。