PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

フレディ・アワード 2015(その1)

・2015年のFreddie Awardが発表されています。概略をまとめると、

・アメリカではアメリカン航空のAAdvantageが最良プログラムを辛くも維持

・欧州ではほぼ全ての部門エールフランス-KLMのFlying Blueが圧勝

・全部門を通じてFlying Blueは抜群の成績

・欧州の「注目すべき新星」にエーゲ航空のMiles & Bonus

というところです。他の人が行うと、全く別のまとめになるかもしれません。

 

この賞は怪しげなのです。

 

イギリス人実業家の名に因んだ賞という触込みですが、この人物と賞の運営団体の関係がよくわかりません。そもそも使用言語は米語です。結果一覧はpdfファイルをダウンロードしても見ることが出来ますが、その表紙には”brought to you by USA TODAY TRAVEL”とあります。

 

インターネット広告で一儲けもくろみ、徒手空拳で始めた山師が箔付けに必死というように見えます。

 中身があれば別に貶す必要もありません。ここで中身とは、ユニークで有用な情報の公開です。

 

彼らの「事業内容」は航空会社とホテルチェーンのロイヤリティ・プログラムの人気アンケートの実施と集計、公表です。今年は2月15日から3月31日に、アンケートが実施されました。彼らのサイトに行って、それぞれの部門と地域で1位から3位までを選ぶだけです。誰でも参加できます。

 賞の部門

1) プログラム全般

2) プロモーション

3) 報償能力

4) 顧客サービス

5) 上級会員制度

6) プログラム関連クレジットカード

で、6)以外はそれぞれ航空会社とホテルチェーンの2部門に分かれます。この枠組みで世界を3地域

a) 南北アメリカ

b) 欧州・アフリカ

c) 中東・アジア・オセアニア

に分け、それぞれ独立に集計されます。結局33部門で3つ選ぶわけですから、最大99回クリック投票が可能です。

 

プログラムのランク付けは、1~3位の投票を10点満点で比例配分した得点に換算し、積算、平均するというものです。1位-2位-3位を10-7-4とするか、10-6-2とするかのどちらかだと思いますが、pdfファイルを読んだ限りではわかりませんでした。

 

自ら発表している統計ですが、

 

・2100万PV(たぶん1年間の集計)

・投票が行われた国の数239

・1日の最大投票数320,916(3月9日)

・1日の最小投票数 40,952(2月15日)

投票が多かった10都市は

NY, Bogota, Chicago, LA, Paris, Houston, Sydney, London, Riyadh, Dallas

で、多かった国は、

USA, France, UK, Australia, Colombia

ことでした。

 

部門のランキングは、各プログラムの得点で行われますが、投票者のうち何%がそのプログラムに投票したかという指標も同時に発表されます。

 

以上のような仕組みですが、ランク付けの客観性に疑問を抱く人が多いはずです。その理由は、

 

・航空会社やホテルチェーンから、2月下旬にメールで投票を促すメールが届きます。選挙活動そのものです。

・数多くのロイヤルティ・プログラムを個人で比較するには、フライトやホテルの利用回数は尋常でないレベルになるはずです。

・一人の人間が複数回評価することが可能です。

 

などです。

 選挙活動が少し滑稽なのは、議員の選挙と同じです。例えば今年、Flying Blueからはこんなメールが届きました。

 

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以前AAdvantageから届いたメールも紹介しましたが、そちらの方が好感が持てます。今後お祭り化して、各社がデザインや文面を毎年工夫すると楽しくなります

 

個人でのロイヤルティ・プログラムの評価が困難というのは、どうしようもありません。年間100フライト以上という旅行者は、相当旅行している方ですが、その人たちが使うプログラムでも4つないし5つでしょう。これで各個人が上位3プログラムを選ぶと言うのですから、端から公正さなど期待できるわけありません。それでプログラム側の選挙活動となるわけです。

 しかしながら、こんなランキングでも「不満を持つ会員が少ない」指標にはなります。そういう視点で見れば有用かもしれないと考えるようになりました。

 

統計の集計に当たって、プログラム側が工夫しているのは、

・得票率2%以下のプログラムはランキングから除いていること

・一人一票に注意して審査していること

とあります。前者についてはともかく、後者ではIPアドレスでチェックだけでしょうから、当てになりません。

 

なお、スポンサーはAmerican Express, USA Today Travel, gogo, Loylogic, Points, Priority Passです。提携クレジットカードのランキングは公正ではないと無視するのが情報リテラシーでしょう。