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機内用に採用して欲しいワイン(2)

成田空港の免税店の前で「珍しいイタリアのワインがあります」、「ぶどうを干してから醸造します」という文句と共に、近づいてきた店員がいました。何のことはないAmaroneでした。実は「Amarone?」とこちらが言い当てたのですが、「珍しい」かどうかは相対的なものです。ただワインの場合、程度の差が大きすぎ、基準無しに「珍しい」と紹介するのは良くありません。

 

AmaroneはQatar Airwaysで採用例があることから、国際線搭乗客には「珍しい」ワインとは言えません。日本のワインの小売では「珍しい」が多用されるのですが、これはセールスに効果的なのでしょうか。

 

ここではあまり珍しいワインは書いていません。入手が困難だったり、価格が高すぎるワインは避けました。無理の無い範囲で個人的な希望を続けます。今日は白ワイン編。

 

(1) Silex土壌のSancerre / Pouilly-Fumé(ファーストまたはビジネスクラス用に)

Silexは火打石として広く使われた岩石鉱物。売りになるぐらい特殊な土壌ですが、いくつか著名な畑があります。SancerreとPouilly-Fuméでも、一部この土壌です。これらのLoireを代表する白ワインは言うまでもなく、Sauvignon Blancから造られます。理由は全然わからないのですが、Silex土壌のSancerre / Pouilly-Fuméは、他の地でつくるSauvignon Blancでは見つかることの無い、極めて特徴的なアロマを持ち、強いミネラルを感じます。

 Didier Dagueneauという醸造家が死んだ時、市場で出回っていた彼のPouilly-Fuméは2006年産でした。華やか、白い花の香りにさまざまな温帯フルーツのアロマを持ち、いかにも現代的なワインでした。以前はもっと質素でミネラル感が強く、初めて開けた時、その特殊な味わいにびっくりしたものです。ワインのスタイルが流行に合わせて変わったようです。2006も年を経れば、そういうワインになりそうです。

 こんな有名なワインでなくてもSilex土壌のSancerreやPouilly-Fuméはかなり見つかります。価格は大したことありませんが、この土地に特徴的なアロマは共通しています。

 

Sauvignon Blancは機内のワインの定番。どうせだったらこのような独自性を持つワインが面白いのではないでしょうか。

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(2) Rias Baixas(ビジネスクラス用に)

Albariñoから造られるガリシア州のワイン。スペインの高級白ワインとされますが、値段は10€から15€ぐらい。スペインの大きなスーパーだったら、たいてい何種類か置いています。

 なぜこのワインかと言うと、あまり機内で見かけることが無く、海の幸に(魚のみならず、タコだとか、海老だとかにも)幅広く合うためです。ワインのタイプはいくつかあり、醸造家の考えが異なるように思われます。個人的にはやわらかく仕上げたMar de Fradesのようなワインの方が、芯の強さを表現したタイプより好みです。

 前者のタイプのワインは、口に含むと濃密なネクターのようなタッチで、さまざまなアロマと果実味が広がります。冷たいミネラルも感じます。目立たないのですが酸がしっかりしているので、食事に合わせるワインです。このようなワインは、日本のワインショップでは「初心者でも飲みやすい」と言われることが多いのですが、私の知る限り、トップクラスの高級ワインなら必ず持っている重要な要素です。

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この値段帯で、こういうノートを持つ白ワインはちらほらあります。何故か国際的とは言えない品種で造っている場合に良く見つかります。(そして何故かbioとなっていることが多いようです。)醸造技術の進歩で、各地で微生物管理が徹底できるようになったためとにらんでいますが、品種が超人気者でないため新鮮です。Rias Baixasに限らず、機内用に良いと思います。

 

(3) Moscato Passito di Pantelleria(ファーストクラス用に)

このデザートワインも干したブドウから醸造されます。しかしながらAmaroneよりずっと入手困難な「珍しい」ワインです。南イタリアに行けば比較的容易に入手できます。日本ではめったに見かけません。ブドウはマスカット・アレキサンドレア。岡山県で多く栽培されている生食用のブドウと同じ品種だと思います。ほとんど同じアロマを持っているので。

 アフリカに近い島で造られるこのワインは、その乾燥した気候と強い風を想わせるような荒々しい性格を持ち、それがマスカットの高貴な香りと面白く調和しています。

 ファーストクラスでは貴腐ワインを出すこともあるのですが、生産量がある貴腐ワインの中ではChâteau d'Yquemという圧倒的な存在があるため、どうも他のワインでは優雅な気分に慣れません。そこで一風変わったMoscato Passito di Pantelleria。生産量は決して多くありませんが、ファーストクラスのワインに採用するぐらいは購入できるはず。

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(4) Wehlener Sonnenuhr Spätlese, Joh. Jos. Prüm(ファーストクラス用に)

和食は高級料理として国際的な地位を築き上げました。実はドイツワインがこの系統の料理に合うことは、ワイン好きには良く知られている「秘密」です。Rieslingの約束の地とも言うべき畑で作られるSpätlese。コストパフォーマンスが良く、和食のコースに合わせる繊細さと力強さを併せ持っています。

 とはいっても、5,000円程度とやや高価なこと、懐石を目指したような料理に合うことからファーストクラス用でしょう。特に日本以外の航空会社で採用して欲しいと思います。

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現代人の食事を考えると、赤より白に合う食事が多く、白ワインの活躍の場面は多くなる一方です。機内でも赤より重要でしょう。他にもいろいろ希望があるのですが、長くなりすぎるので、別の機会にします。