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バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

キャセイパシフィック航空の機内アンケートのフィードバック

キャセイパシフィック航空では機内アンケートがあります。集計やフィードバックの方法は、企業秘密なのでよくわかりません。しかし意外なところで、その一端がつかめました。
 

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多くの便で実施されているのはよく知られるとおり。クルーから依頼され、CXのボールペンと共に渡されます。このボールペンは謝礼という位置づけのようです。私の場合、昨年から24回搭乗がありましたが、この間6回アンケートを行いました。もしこの頻度が平均だとするとボールペンはともかく、集計に膨大なコストがかかりそうです。

 もっと効率の良い方法としてInsightsを立ち上げたのかと思ったのですが、まだ旧来のアナログ版も健在です。

 

素直に考えると、このアンケートは搭乗客の意見を集約して現状を分析、今後のサービスの方針決定や、カイゼンに役立てるというところです。それならば自由記述欄を皆に提供した方が良い気がするのですが、どうも苦情処理に使われるのを嫌っているようで、少しハードルが設けてあります。

 また客室乗務員チームの評価にも使われているはずです。これはアンケートの依頼時の表情や、自由記述用紙を頼んだ時の表情から読取れます。要はボーナスの査定に使われるのでしょう。こんなアンケートでクレームを書く人間なんて、所詮は小者。大したことない人間ですが、上客とはたくさん払う客のことですから、あまり無下にも出来ません。

 

ところでこのアンケート、搭乗履歴や個人情報と結合すれば顧客管理にも使えます。と言うよりも、ある欄にチェックすると許容されたとみなされ、情報が統合されているはずです。本当にクレームがある場合、自分の意見が建設的かどうか、冷静に考えた方が良いかもしれません。クルーは満足げな顔をしている客にアンケートを頼んでいるようですから、あまりそういう人には「言いたいことを言う」機会は回ってこないと思いますが...。

 ただしキャセイが顧客管理を目的にアンケートを利用するなら、サービス向上のための基礎資料を得るのではなく、個々の顧客の嗜好や要望を記録することになります。性格が全く異なってきます。特別食のリクエスト、座席指定のリクエストに近いレベルの話になります。

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アンケートの利用法の一端を見たと思う私の例を暴露します。カイゼンへの基礎データとしてではなく、顧客管理で利用されています。

 

昨年の搭乗では、機内の白ワインの温度が低すぎることが多かったので、注意を払った方が良い旨述べました。11月のことです。自由記入用紙をお願いしました。

 これはワインに親しむ層にとって明らかな問題であるのに対し、わずかな手間で大幅な改善が期待できます。欧米豪では供出温度は重要なポイントですから、Skytraxなどの評価にも関係するでしょう。また中華圏では、ワインをよく飲む人間と何となくビールを頼む人間では、金離れがかなり違うはずです。金離れが良い客に好かれると、営業利益が増大します。今でも建設的な提案だと思っています。

 

しかし今年になって、 「白ワインは冷えすぎかもしれませんが…」(3月のISM挨拶)、「まだ白は温まっていないので赤を先に出してもよろしいでしょうか。」(この間のCX798)とやたら白ワインの温度関係の発言を聞く機会が増えました。冷すぎ自体にも出会わなくなりました。とても偶然だとは思えません。全てのCX便で改善されていれば良いのですが、私にUUUコードを付けただけという気がします。と言うのも、クルーは「さりげなく、しかし意識的に」白ワインの温度に触れているようなのです。

 私の提案はクレームとして処理されたようです。問題が一般的かどうか、本質的かどうかは二の次、うるさい客には個別に対応、そうでない客には業務を簡略化するという姿勢は、コスト削減には効果的だと思います。しかし大局を見失わないでしょうか。この点は少し心配です。

 

別の角度からこの解決方法を評価すれば、サービスのパーソナル化という側面が浮かび上がります。しかし年間10搭乗ほどしかしない客の「好み」を記録して、搭乗の度に個別対応するなど、信じられない細かやかさです。正規ファースト年10回搭乗ならともかく、私の場合ほとんど格安ビジネス。利益は10分の1以下。そんな客にちょっとありえない対応です。あるいは真実は中間にあり、これが最近のクレームの一類型で、この件を指摘した客には注意しようということかも知れません。そうだとしても私の想像を超えています。

 

たまに搭乗する客でこうなのですから、マルコのダイヤモンド会員は、もっと凄いことになっているのではないでしょうか。何も言わなくてもwelcome drinkと新聞は「いつもの」が出てくるとか、客室乗務員のチームから好みのタイプ(年齢、性別、国籍、体型など=中華圏では真面目な話)が担当につくとか、ISMが挨拶ついでに個人の趣味の最新情報を話題にするとか、相当の対応がされていると想像します。ダイヤ会員にお聞きしたいところです。

 

こんな高度なサービスを展開できるのなら、ワインの温度管理を徹底するぐらい何ということないと思うのですが、アジアでは意外に難しいのかもしれません。

 

いずれにしても、キャセイがMarco Polo Clubとは別に顧客リストを持っていること、そこに私が入っていることは確かです。私の搭乗レベルを考えると、膨大なリストになっているはずです。もっと頻繁に乗れば、「個別注意事項」も増やしてくれるのでしょうか?せめてアンケートの言語は英語を。日本語は判断に迷う記載内容なので。

 他の航空会社でも同様のリストを作っているはずです。FFPも頻繁に利用してもらうための仕組みですが、同じ目的で別のからくりを用意することは、言わば営業の戦術です。しかし、ここまで巧妙かつ緻密に個別対応ができる会社はどれだけあるでしょうか?

 キャセイの機内サービスは非常に評判が高いのですが、なお過小評価されていると思います。