Air Franceは、10月5日にまたストライキを行いそうです。今度は地上職員。昨年9月の史上稀に見るパイロットのストライキが記憶に残っているだけに、何とも重苦しい空気になっています。
2-3週間前にはLufthansaがストライキを行い、司法から違法の判定が下されました。欧州のレガシーキャリアは、労使の綱引きが半端ではなく大変になっているようです。
これはLCCの躍進による競争の激化から、経営体質を変えないと会社の存続が危うく、リストラ敢行が不可避であるという事情があります。もはや構造的な問題となっているため、レガシーキャリアの利用では、今後しばらくストのことは計算に入れておく必要がありそうです。
ところで航空会社のリストラでは、人件費と同様、機材の構成も重要なポイントとなります。燃費やサイズと搭乗率の関係などが、経費に大きな影響を及ぼすからです。
機内誌Air France Magazineには、その時の保有機材が記載されています。したがって、リストラ具合が見えてきます。2011年1月と2015年9月を比較してみました。
長距離路線
2011年1月 2015年9月
A380-800 4 10
B747-400 10 5
B777-300ER 31 39
B777-200ER 25 25
A340-300 17 13
A330-200 15 15
合計 102 107
中距離路線
2011年1月 2015年9月
A321 23 21
A320 56 45
A319 43 38
A318 18 18
合計 140 122
地域路線
2011年1月 2015年9月
EMB190 10 10
EMB170 --- 16
EMB145 27 17
EMB135 --- 1
CRJ1000 --- 14
CRJ700/900 17 13
CRJ100 15 3
Avro RJ85 25 ---
Fokker100 7 ---
ATR72 11 10
ATR42 --- 13
合計 112 97
LCC路線
B737-800 --- 20
どうでしょうか。私には、更新があまり進んでいるようには見えないのですが。
長距離路線では数が増えています。A380-800は、ある程度の購入は必須だったでしょう。12機注文して10機が納入されました。2009年からの運用。保有数が増えているのは当然です。B747-400のような古い機材は燃費も悪いのでどんどん更新すべきなのですが、同様な欠点を持つA340-300はあまり減っていません。A350で一気に減らすことができるでしょうか。(シート一つ当たりの燃費はA340の0.039 L/kmに対して、A350では0.027 L/kmです。差はかなり大きいのでした。)
中距離用の機材は数が減りました。おそらく路線を減らしたのと、運航頻度を上げたのではないでしょうか。ここでは、A320neo(シート一つ当たりの燃費は0.025 L/km)の登場が待たれます。
なお地域路線は、2011年にBrit Air, Régional, Airlinairなどいくつか存在した子会社が2015年にはHOP!と して一つにまとまっています。機材自体は減っています。Fokker 100など、ややこしい機材も整理されています。
LCC路線はtransaviaです。B737-800という燃費の良い機材(シート一つ当たりの燃費 は0.028 L/km、一方B737-600は0.038 L/km)1種類で営業しているわけですから、これは効率が良いはずです。
Air France-KLMのA350XWBの発注は、2013年に25機とIAG, Lufthansa, JALなどとほとんど同時期で、発注数も同様のレベルです。Qatarが2007年発注開始して総計80機、Singapore Airlinesが2008年に開始して総計63機という状態と比べると、いささか弱い感じがします。
B787の発注を見てみても、AF-KLM25、IAG42、JAL45ですから、遅れをとっています。(ちなみにANAは83、Qatarは30、Singapore Airlinesは30です。)
Air Franceの前途は、決して楽ではないようです。品の良い機内サービスを提供できるなどという良い点は温存して、経営体質強化に成功して欲しいところです。
上記のシート一つ当たりの燃費は、SAS機内誌にあった情報をそのまま載せました。シートの数によって数値は変わりますが、機材間の比較では十分使えると思います。