PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

イギリス旅行で気をつける法律

外国では法律が異なります。知らずに法を犯しても、「知らなかった」では済みません。旅行者にとって潜在的な脅威です。想像も付かないような法、禁止令があります。近いうちにイギリスに行くのですが、調べてみるとこの国は奇妙な法の宝庫です。そんな中から、旅行者に関係しそうなものを集めてみました。

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(1) 国会議事堂

今ロンドンといえばBoris Johnsonですが、古典的なアイコンはHouses of Parliament。議事堂に入るなら、気をつけなくてはならない法律が2つあります。まずドレスコードに関する規制。

-It is illegal to enter the Houses of Parliament wearing a suit of armour.

つまり1313年制定のこの法により、鎧の上下では入れません。そして健康管理。

-It is illegal to die in the Houses of Parliament.

議事堂内で死ぬことは違法行為です。アウトローの汚名を負って死ぬのが嫌なら、万全の体調で観光に臨みましょう。

 

(2) アトラクション、アミューズメント

世界中で繁殖する大ネズミが巣を建設したのはフランスですが、イギリスにも子供向けなのか大人向けなのかわからない娯楽が大量に提供されています。こういう娯楽は、危険なこと、迷惑なことがあっても気が付きにくいのが特徴。さらに正当な指摘が逆切れを招きやすいという厄介な点もあり、日本でも警察沙汰が珍しくありません。そこで現地の法律に十分注意を払う必要があるわけです。ロンドンでは、

-the use of any slide upon ice or snow 

-firing a cannon close to a dwelling house 

が、それぞれ1847年のTown Police Clauses Act、1839年のMetropolitan Police Actで禁止されています。日本ではありふれた子供用スノーボードや、アメリカでは人寄せで登場する大砲は、ロンドンではご法度です。

 

(3) 女性にのみ適用

「女はやっちゃだめ」なんて、時代錯誤もよいところ。男女平等という言葉自体、死語になりつつあります。しかしイギリス法は強烈なsexistでした。

-It is illegal for a lady to eat chocolates on a public transport. 

このladyは称号ではありません。公共交通機関では、女性がチョコレートを食べるのは違法。もちろん国籍は関係ありません。ヤマトなでしこも、チョコレートを出すのは降りてからとなります。

 イギリスのチョコ好きは、FEMENのお姉さま方をお呼びしてはいかがでしょうか。

 

一方で女性に与えられる特権もあります。

-In the UK, a pregnant woman can legally relieve herself anywhere she wants.

妊娠した女性は、好きな場所で小用を足してよいという寛大な国、イギリス。しかしチョコレート禁止の代償がこの程度では、女性が虐げられているとUN womenが声明を出してもおかしくありません。

 ちなみにFEMENの淑女たちも、①妊娠していて、②ロンドンだったら、公共の場所でのウクライナ大統領肖像へのxx行為も適法でした。

 

(4) 課税

税金は旅行者も払わなくてはなりません。現地での取引には、現地の税務署が目を光らせます。ボーナスマイルのキャンペーンなんか探すより、現地の税法に精通した方が効果的に節約できると思います。

 

空港でも問題になる税法総論です。

-It is illegal not to tell the tax man anything you do not want him to know, but legal not to tell him information you do not mind him knowing.

「英語は日本語より論理的」と、呪文を唱えている教育者に見せたい文です。

 「税吏に知られたくないことは何でも告げないと違法。しかし税吏が知ったとしても気にならないことを告げないのは適法」ですが、当地でも何を言っているかわからないという声が多い法律です。「隠したいことは全部吐け、どうでもよいと思うことは隠しても良い。」ということですが、論理も何もあったものではありません。ただし、空港税関でも適用されるはずなので、マーカーで印をつけるべき法規です。

 

お土産では、スモークサーモンに気をつけないといけません。鮭法(Salmon Act 1986)という立派な法律があり、

-It is illegal to handle salmon under suspicious circumstances.

と、取引は合法的な場所で行う必要があるのでした。出国前の「これ買い過ぎちゃったわ。そのFortnum & Masonの缶と交換しない?」は、まさにこの法の想定するケースです。物々交換は出国後に行いましょう。鮭に関しては、違法な所有と取引を禁止する他の法律もあり、この国ではソフトドラッグなみの扱いです。

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(5) 身近な王室

ロンドンにいると理由もなく高揚するもので、自撮り→FBしたくなるのも無理ありません。しかし年配の知り合いには絵葉書でしょう。言論の自由は保障されているので、どんな差別・冒涜・誹謗・中傷を書いても問題ありませんが、切手の貼り方を誤ると反逆罪に問われる可能性があります。

-It could be regarded an act of treason to place a postage stamp bearing the British king or queen's image upside-down.

よしんば大逆罪が成立しても、ロンドン塔には入れません。ここで斬首されるのは、かなりの貴族。平民と外国人はせいぜい四つ裂きでしょうね。

 

昔、この地から王を追い払い、やりたい放題やったOliver Cromwellという乱暴者がいました。その人が出したお触れ。イギリスの由緒正しいクリスマスです。

-Banning eating mince pies on Christmas Day

12月25日は、ミンスパイには近づかない方が良さそうです。くわばらくわばら。

 

それから海辺にいる時の注意です。もし死んだ鯨を見つけても、頭はエジンバラ公、尻尾はHer Majestyのものですから、勝手に触らないように。

-The head of any dead whale found on the British coast automatically becomes the property of the King, and the tail of the Queen.

deadが鍵になりそうですね。生きていたら切り刻んで食べてしまっても、この法には触れません。死の判定はヒトでも困難なのに、大型哺乳類ではなおさらでしょう。したがって現地人相手に機能する法だとは思えませんが、旅行者はうっかり王権を侵害する可能性があります。

 

(6) スコットランド

最近、独立機運が高まっているスコットランド独立運動なんか、観光客には関係ないと思っていては大間違い。地雷があちこちにあるのですね。もっとも以下の法律は、イングランドがイジワルするために最近制定したのではありません。はるかに因縁深いものです。

 

Carlisle観光では、スコットランド人と間違われると鞭打(べんだ)か投獄が待っています。なぜなら

-Any Scot found wandering around may be whipped or jailed.

観光なんてwanderingそのものです。スコットランドを一歩出たら、キルト(QuiltではなくKilt)など履かない方が身の為です。

 

スコットランド人男性と知り合い、ヨークを一緒に観光することになったら、旧市街に入る前にBritish Rail駅で弓と矢を預けましょう。なぜなら

-In York, it is legal to murder a Scotsman within the ancient city walls, but only if he is carrying a bow and arrow.

荷物預かりはレンタカーのAutohornがやっています。(月-土 8:00-20:00、日 9:00-20:00)支払いは彼の手にある”スコットランド・ポンド”でも、受け取ってくれるかもしれません。The Guardianでは、”Banknotes issued by all seven (スコットランド銀行の発行した女王の肖像のない紙幣を含む)are legal currency and can be accepted throughout the UK. But it doesn't necessarily mean they will be.”と説明されています。

Can I spend Scottish money in England? | Money | The Guardian

なおBawbeeはEnglandでは流通していません。念のため。

 

スコットランドにも、行けば行ったで現地の法律があります。例えば、

-the law obliges citizens to allow whoever knocks on their door to use their toilet.

なのですが、これはホテル客室でも適用されそうです。何だか少し面倒な土地です。

-Any Scotsman found to be wearing underwear beneath his kilt can be fined two cans of beer.

なんてノーパンを強制する法律もあるのですが、外国人には関係ありません。気になるのは罰金代わりのビール。どこに入るのでしょうか。