ファーストクラスは2階最前方、1-2-1の配列で8席。窓際か、中央通路側しかありません。もっともA380-800では、ギャレーのさらに後ろに48席あるビジネスクラスも全通路席。2階には、さらに最後尾にエコノミークラスが少し(52席)あります。QRはこのA380-800を6機保有しているようです。
QRの日本語サイトで、機材の表の「詳細」をクリックすると、SeatGuruに飛びます。英語サイトでは、シート配置のpdfファイルが用意されています。
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1階には全く縁がなかったので、2階だけを紹介します。
ビジネスクラスとエコノミークラスの間に、プレミアムラウンジがあります。そこではバーカウンターが中央、シートベルト付き皮製ソファーが両脇に並びます。利用できるのはこの階前方の客のみ。このスペースは、同時にエコノミーのキャビンから、前のキャビンへの侵入を阻止する機能も担っています。これは中東の会社では重要です。アラブでは家族で別のクラスに搭乗して、キャビン間の移動に頓着しない人がかなりいますから。今回も男の子の侵入者がおり、連れ戻されていました。
ファーストクラス前方は2つのトイレと続きの間で、前方階段は通行止めにされています。続きの間とファーストのキャビンとの間は厚手の幕で仕切られます。できる限りの特別感の演出ですね。
機内マップでもわかりますが、ギャレーは巨大でした。
8席あるファーストクラスのキャビンには3人の乗客。私以外の二人はイスラム教徒の女性で、それぞれ反対側の窓側に搭乗していました。反対側に行くには、トイレの続きの間を通るか、ギャレーを通らないといけません。男女のペアが搭乗しても、右左で男女を分けることが可能で、イスラム社会によく適合した構造です。中央列のシート間の仕切りを立てると、完全に壁です。着席している限り、キャビンは左右に分離します。
宗教・習慣に配慮した構造や運用には、素直に感心しました。
さて私の席の眺め。2つのクッションは使いません。フライト中ずっと、オットマンの上でした。
このクッション、自然の状態で奥行きがずいぶんあり、2つ並べると、ファーストクラスのシートの座面が全て埋まります。ホテルの枕並みの品です。
オットマンには「常時人が座れます。」意味するところは、シートベルトがあるということです。
一番最後に搭乗するファーストクラスですが、離陸までは十分時間があり、ウェルカムドリンクがサービスされます。白の「シャンペイン」をお願いすると、Taittinger Comtes de Champagne Blanc de Blancs 2006でした。
申し訳ないのですが、これは2002に比べるとだいぶ落ちます。ブドウに力がありません。2002年には良いChardonnayが大量に収穫できたという背景もありますが、2004年の収穫量制限の緩和の影響でしょう。NMなので仕方ありません。
QRのロゴ入りグラスはボウルの中央下部が窪んでおり、そこから太い泡の柱が立ち上ります。中央に泡の柱が形成されるという演出。こだわりのデザインです。記録のために拡大図を。
Champagneほど演出が大切なワインはありません。こういう西欧の「限られた階層」の文化よく理解して、独自のものを提供できるところにQRの実力を感じます。
外は雨。カタールでは珍しい現象だろうと思い、これも記録。
Dohaは雨が降っていることが多いのですが、偶然のはず。統計から考えると、私は異常に雨に出会っています。
リモコンは左右の肘置き内にそれぞれあります。左側がIFE関係ですが、私はあまり使いません。右側がシート関係。
肘置きの部分にもシートの移動ボタン、フルフラットにするボタンなどがあります。午前中のフライトですから出番がありません。シートのモニターのアルバイトではないし、暇になるとすぐ寝る文化圏(註)の人間でもないので、わざわざフラットにすることはありません。
註:スペイン、東南アジア、日本の温暖な地方などがそうですね。こういう文化は、他所の人間からからかわれることが多いのですが、私自身は風土に根付いた良い文化、継承すべき文化だと思っているため、いつも弁護します。
通路側の目隠しは、収納時はイスラム模様が美しく、
フルに上げると
こんな感じになります。着席していると、他の乗客は見えません。
シート周りでよくできていたのは、窓のシェード。2種類のコントロールができます。一つはシートの横にある3つの窓を同時にコントロールする方法で、カクテルテーブル手前に操作ボタンがあります。
もう一つは窓ごとに個別にコントロールする方法で、各窓の下部に操作ボタンが付いています。両方法とも、1段目は白いスクリーンが下りてきます。途中で止めることも可能です、2段目は黒いスクリーンが下りてきます。部屋のカーテンと同じ感覚で使えます。黒いスクリーンを途中まで下ろしたところです。
天然光の光量を自在に調整できるのは、快適に過ごすために重要です。B787の方が先進的ですが、A380のこのメカニズムの方が好かれるでしょう。
布団もさすがの出来。
寝ないので使いません。
A380の2階部分なので、揺れや騒音の点では非常に快適です。微振動も、例えばB777に比べて小さいのは明らかです。こういう振動の低減は、疲労しにくさにつながると思うのですが、あまり注目されません。