PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ザ・コンコルド・ルーム

ワンワールドの別格総本山。London Heathrow空港、Terminal 5。専用のセキュリティチェックを抜けるとすぐ右手にある指定「ラウンジ」、The Concorde Room。超音速旅客機の搭乗客専用の待合室としてデビュー。時は移り、機材はなくなり、建物も新しくなり、部屋の名前だけ継承されています。

 ここはラウンジと案内されるわけではありません。常に固有名詞で呼ばれます。写真の正面入口がその扉。

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入場するとすぐに受付。簡単に説明を受け、「後はご自由」にです。"Concierge"の場所だけ知らされます。分からないことがあれば、そこで聞いてくれということですね。私も初めてなので、勝手が分かりません。

 まずはvestiaireではなくて、Garderobeでもなくて、locker roomを探します。コートを預かってもらいます。

 

運営はBAが行っているのではなく、金持ち相手の万屋(よろずや)サービス、Quintessentiallyが実質的に担当しているようです。共同事業という形にはなっています。コンシェルジュサービスという業態でしょう。最高級ホテルが行っているようなコンシェルジュ業務の請負です。BAの下請け、孫請けだとしても、空港と言う環境ですから、業務はそれほど多岐にわたらないでしょう。その分、叩かれていると思います。

 もっともQuintessentially側には宣伝効果もあり、まずまずのビジネスなのではないでしょうか。私も、この会社が東急のセルリアンタワーにオフィスを構えていることを初めて知りました。

 

日本の旅行者にもおなじみのConcorde Dining。

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簡単なメニューが置いてあります。Qatarのラウンジではお話にならなかったtraditional English breakfastをお願いします。

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茶はTwiningsの "The Full English"。ミルクはきちんと冷たいものがサーブされます。期待を裏切らないというより、これが当たり前。

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最初は卵料理。当然調理法を聞かれます。プレーンオムレツを頼みました。正しく味付けなし。というか、味見する前に反射的に塩と胡椒を振りかけていました。匂いや雰囲気で無意識の記憶が呼び戻されるのでしょうか。不思議です。

 中までしっかり熱が通っています。

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第二の皿はその他のアイテムのホットプレート。色彩がイギリスです。

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テーブルの上にはそもそもフォークとナイフが一組しか置いてありません。(大陸風に)皿のたびに交換かと思い、カトラリーを皿の上に載せたまま下げてもらおうとすると、給仕からすまなそうな顔をされ、再利用を頼まれます。要するにDining = レストランというより寮の食堂なのですね。誰でしょう。レストランとか並のレストランより上などと報告した人は?全然カテゴリーが違います。

「おのぼり」のPechedenferは、作法で恥をかかないように諸先輩方のブログ記事で勉強をしたのでした。イギリスでしょ?レストラン=会食の場=テーブルマナーのオンパレード=ナイフとフォークのオンパレードです。

 

使用人がいる貴族か大金持ちが、自分の屋敷で朝食をとっているような気分で席に着くのが正解のようです。今度からは大丈夫と。

 

Thursday Cottageというメーカーのorange marmalade, raspberry jam, pure honey, strawberry jamとHeinzのtomato ketchupが並んでいます。

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イギリス風のかわいらしい光景です。raspberry jamを試してみたくなったので、トーストをもお願いしました。焼き方も聞かれます。ここはbrownで。

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味わいとかテキスチャーがイギリス風。色彩もイギリス風。ここはイギリスなので当たり前。

 

日本のジャムは英国のものをコピーしたのですね。よく似ています。

 

朝食の後は、Sitting roomというか、ソファーセクション。

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amazonで売っていそうなフェイクの暖炉。しょぼ過ぎですが、空港のターミナルで裸火はありえないので、大目に見てあげる必要があります。

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空港の雑踏を聴くことのできるテラスもあります。Dohaにも設けられていました。真似と言うほどでもないでしょうが、こちらの方がテラスらしい空間。相応しいサイズと見晴らしです。

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床が無垢材なのは、「デッキ」をことさら意識したためでしょう。こういうポイントはしっかり押さえています。姑のようにうるさいPechedenferもしっかりチェックします。

 子連れとか寝たい人はここに集中しています。利用者のマナーがある程度生きています。眺めはこんな感じです。朝焼けが少し残っています。珍しく良い天気。

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トイレは広い個室が並びます。Gentsも個室だけです。

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シャワーやスパもありますが、必要ないので使いません。スパは予約可能です。人気があるらしく、1週間ぐらい前にメールで案内が来ます。

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Wifiの速度はまずまず。

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パスワードが特徴的で、「もしかしたら」とピンと来るところがあったのですが....。この仮説が正しいかどうか、数回訪問してみないとわかりません。

 

パソコンのバッテリーが無くなったので、電源の利用可能性を聞いたら、こんな部屋に案内されました。The Broad Room。

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PCが6台並んだ会議室のようですが、ヘッドフォンとか、ゲーム用の補助入力装置らしきものもありました。マルチメディア娯楽室のようです。持参のlaptopで、ゲームでもするように見られたようです。ビジネス客に見られるよりましです。

仕事をしなくてはならないなんて、何てかわいそうな人。」というセンスが普通な国ですから。ここは。

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壁の2つのスクリーンには、TVドラマシリーズらしきビデオとBBCニュースがそれぞれ放映されています。音声はBBCのものが部屋に流れています。

 

2時間以上滞在したThe Concorde Room。今日は使っていないサービスもたくさんあります。おそらくリクエストで、服のプレスや靴磨き程度は行ってくれるはずです。

 

ここではがつがつすることが似合いません。何事も無理なくという気分が一番の贅沢。それでいて弛緩するわけではなく、充実した時間が過ごせます。イギリスの外では、こういう気分になれる空間はそうありません。この国が好きな日本人の気持ちが理解できる気がしました。