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バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

BA7:LHR-HND ファースト(その3)

化粧室が狭くて「機内スーツ」に着替えることもなく、すごすごと自分のシートに戻ります。dinnerです。

 

クルーはあらゆるサービスについて、必要性をいちいち確認します。私の担当クルーは日本で言うところの「天然ボケ」。この担当のおかげで、フライトが楽しいものになりました。

 ディナーメニューを配った後、「ランチはどうなさいますか」ですからね。一瞬自分の時計を見てしまいました。確かにまだ11時45分(GST)ですが、東へ向かっているので、この時間にランチの希望を聞くのは変。さては昼食のスタートが遅くて、時間をたっぷりかけるあの国の出身かと思ったのですが、これは確認しませんでした。

 

テーブルクロスはBA First用の特注品。生地はもちろん綿。

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ちなみにナプキンも特注。最初に現れるのは、”amuse-bouche." わざわざ慎重に発音してきたのが、かわいらしいところ。

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白ワインをもらいますが、リストには発見がなかったので、よく知るBouchard P & FのMeursault "Les Clous"にしました。この2012はまだ飲んだことがなかったので。

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ニコニコしながら、少しぎこちない手つきでグラスを持って注いでくれたのですが、冷えすぎです。香りが閉じています。このワインの場合、わかりやすいMeursaultの香りが出ないとサービスとしてまずいと思いますが...。そもそも注ぎ過ぎです。それはそうと堅い酸は印象的。まずまずの年です。冷えすぎは残念ですが、彼女のせいではないでしょう。

 

次はl'Entréeではなく、Starter。

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絶対注文するはずのない皿が、一瞬出てきます。さてどう反応したものかと5秒ほど考えていたら、「すみません。間違えました。」と直ちに引っ込めに。残念ながら問題になりませんでした。

 写真で見ると、なかなかがんばっている和食です。キャビンの空気は常に循環しているので、料理は立ち上る香りに無縁。機内食の記憶が曖昧になってしまうのは宿命ですね。

 

この人やっぱり、「太陽が高い」→「昼飯」、「日本人」→「和食」と意識下で判断しているようです。あっぱれな天然なので、ワクワクします。

 

私がお願いしたのはこちら。

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このbetterave(英語ではbeetroot)、普段食べているものとは全くの別物。芳香がします。Lincolnshire産だそうですが、たまげました。その他の食材も英国産が多いようです。いくつかはメニューに説明がありました。

 

メインは、牛(ソテー)、鳥(山椒焼)、鮃(poché)、鮪(タイ風ステーキ)から選択。和食=ポイントがずれているだろう、poché=調理法が違うだろう、マグロ=メチル水銀が多いだろうと頭の中でアラートが鳴り、消去法で牛となりました。

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非常に良いヒレ肉でした。Aberdeen Angus beef。焼き加減は有無を言わせずbien cuitでしたが、やわらかく、香り高く、適度な歯ごたえがあると理想的な牛肉。担当クルーが焼き加減を聞き忘れたか、最初からそういうサービスはできないのか、詳しくはわかりませんが、この焼き方で正解です。

 ほうれん草の隣にある得体の知れない黒色の茸類は、英国を感じさせます。ポテトは一工夫。人参+人参のピュレも一仕事。誰ですか。イギリス料理は不味いなんて言ったのは?

 

赤ワインはこれまた大して興味を惹くものがなかったので、2009のSaint-Emilion。

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これも担当クルーが新しく開けてくれました。アロマが豊富で力強く、地方都市のボディビルダーチャンピオンのようなワインでした。これは機内で1杯飲むには良いけれど、地表で飲むと2口目には飲み疲れているタイプです。説明書きを読むと、やはりParker高得点ワインでした。

 

少し前にBAは機内における生理的な変化と味覚の関係に関して研究を行いました。BBCのドキュメンタリーになったはずです。その成果が機内食の味付け、ワインのセレクションに生かされています。確かにワインはニュアンスより、メリハリを求める方向のものばかりです。このParkerワインも狙った効果が出ているだけです。

メニューに、”We've worked with top chefs, suppliers, nutritionists and molecular gastronomists to creat 'Height Cuisine'.と説明されていたのですが、molecular gastronomistsには笑ってしまいました。世の中、変な言葉が溢れています。

 

おとなしく見えたワインリストですが、最後の方で特殊な光を放つ一品が。

Cabidos 2011, petit manseng, Doux Cuvée Comte Philippe, IGP Pyrénées Atlantiques

Sud-ouestの甘口。Toulouseでは割合容易に入手できますが、外にはあまり出ないワイン群。いろいろな方法でつくられ、味わいもそれに応じて多様。しかも生産量は極小なので、機会があれば絶対試すべきワインでしょう。これはpasserillageで濃縮されたそうです。

f:id:PECHEDENFER:20160102181837j:plainニコニコしながら、ボトルを開ける儀式。2、3回経験が増えたからといって、手つきが向上するはずもなく、かわいらしい扱いは変わりません。このクルー、新しいボトルを開ける必要があるのは良いとしても、なぜ目の前でぎこちない演技を見せるのかさっぱりわかりません。本当に面白い人です。

 ワイン自体はフレッシュな芳香が凝縮されており、一口の後、ため息が出ました。こういう状況では、高名、高価なワインのありがたみは薄れます。

温度は先ほどのMeursaultと同じ。このワインでは適温です。甘口と同じ保管をしている点にMeursaultの問題があったのでした。「そのぐらいの温度管理、サボるな」と言いたいところですが、うるさいでしょうか。

 

The Concorde Roomでしっかりした朝食をとっていたので、デザートはスキップ。チーズに。

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ブルーチーズはOxfordshireのもの。Goudaなどでもこだわりが見られますが、さすがにフランスのように自国のチーズだけで構成するのは不可能です。添え物がイギリスしています。

 

ちなみに使われている皿は、英国中の英国、Wedgewood製でした。

 

ずいぶん写真と文章を費やしていますが、時間は大して経過しておらず、全て終わってもまだ13:30(GST)。13:50には消灯。最後に飲み物の注文に来ますが、私はTwiningsのお茶。後は自由時間。なんとなく寮生活を思わせるような段取りです。