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バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

ビジネス/ファーストの付帯サービスと上級会員の優待

(1) 傾向

ファーストクラスやビジネスクラスの利用客は、たくさんお金を払ったお客様。空港においても、エコノミー客とは異なる扱い。ラウンジ利用、優先搭乗、優先レーンの利用などができます。

 この特別な地上サービスは、マイレージプログラム(FFP)上級会員も受けられます。上級会員になると、ラウンジ利用、優先搭乗、優先レーン、航送手荷物でファーストクラスやビジネスクラスと「同じ」扱いを受け、機内はエコノミークラスという旅が可能になると、宣伝されます。上級会員になれば、常時エコノミーの料金でこれらの付帯サービスを享受することができます。

 上級会員制度は顧客囲い込みに有効です。航空会社が規制に守られ、シェア争いに躍起になっていた時代のビジネスモデルです。ところが時代は変わり、航空会社も利益を重視する業界になりつつあります。

 FFPも、より金を落とす客を上級会員に迎えるように変わってきています。これと並んで、ファースト/ビジネスの利用客限定のサービスが目立ってきています。上級会員を排除する方向にシステムが変わりつつあるようです。

 

CDGでも、LHRでも、ファースト/ビジネスの利用客限定の審査レーンが堂々と設けられています。ほとんどの場合、待ち時間ゼロ。非常にすばやい移動が可能です。

 出張でパリーロンドン間を往復するとします。経費だからビジネスクラスです。もしBAを使うと、CDGではカウンターは見つかりにくく、アクセスも悪いところにあります。出国やセキュリティも「暇な連中」と同じとは言わないまでも、結構な時間を費やします。一方でLHRに着くと動線が短く、レーンも専用。他社の客だと、1時間以上かかるところが10分で移動できてしまいます。BAの代わりにAFを使うと、逆の事が起きます。

 ある国際空港を基地とする航空会社の収益が上がると、その空港周辺はおろか、国全体の雇用が増えます。ビジネス客、ファースト客の優遇は、国家間の競争も関係します。次の選挙が、増えすぎた上級会員によって攪乱されるのでは困ります。仕方がない現象なのでした。

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(2) レガシーキャリアの戦略

航空会社の立場では、2つの意図があるように思われます。一つは多くの金を落とす客を囲い込み、収益を改善すること。もう一つはプレステージ性を維持し、ブランド価値を高めることです。前者では、一定の数がいるビジネスクラスの客がターゲットになります。エコノミー利用の上級会員を除去して、移動の効率を高めるよう工夫します。後者の例としては、QRのAl SafwaファーストクラスラウンジやBAのThe Concorde Roomが典型的で、ファーストクラス利用者だけが利用可能なサービス空間を設置します。排他性がブランド価値を高めるわけです。

 

数を減らす手法は、よく機能しています。会社間の競争に不可欠となっているでしょう。また、すばやく動ける手段を「皆の手の届くところに」残しておくことは、社会のインフラとしても重要なのではないかと思います。

 課題は、客のカテゴリーと扱いが複雑になりすぎる点にあります。FFP会員・顧客レベルの数種類、予約クラス・支払金額の十数種類が組み合わされる上に、利用キャビンの違いが上乗せされます。従業員が間違えるのは論外ですが、個々の客にも利用可能サービスを分かりやすく示す必要があります。LHがやってきた上級会員専用のサービスが、効果を持つようになって来ました。スターアライアンスは、いつもシンプルでスマート。

 

後者のプレステージ性はどうでしょう。「他の人とは異なる扱い」に喜びを見出す人には有効ですが、実質重視の「賢い消費者」には間接的な意味しかありません。空いていることは長所です。しかし、いろいろな食物、飲み物、風呂やマッサージがタダで利用できることに価値を感じるなら、Al Safwa LoungeやThe Concorde Roomよりも良いビジネスクラスラウンジは数多くあります。そしてそういう性向の旅客が圧倒的に多いように思われます。

 

実際のところAl Safwa Loungeは、英語以外はまともに話すことができず、マニュアルどおりのことしかできないクルーばかりに見えます。これはQRの長所の裏返しにも見えるので難しいのですが、機内でも同じです。パーソナライズされたサービスが下手というか、そもそもしない会社です。しかしAkbar Al Baker氏は、この部分に手を入れてきそうです。そうすると「向かうところ敵なし」になるかもしれません。The Concorde Roomの暖炉はフェイク。「本物を理解するお客様」を御招きするには恥ずかしいしつらえです。同時アクセスできる食物の種類が相当限られることは、どちらのラウンジにも共通しています。ラウンジ巡りが好きな人には、本来気になる点のはずです。

 さらにワインのように上を見ればキリがない消耗品では、限界が見えるのは避けらません。「賢い(と共に金回りの良い)消費者」には、この程度のラウンジと値踏みされてもしかたありません。

 

お金をたくさん落とす客層が喜ぶ工夫を考えるのは当然。そういう客層が鈍感なところで節約する一方、その文化圏の持つ価値をいかに損なわないかが重要。「違いが分かる客」は極少数と無視するのが正解。いずれにしてもターゲット自体が小さいだけに、さじ加減が難しそうです。

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(3) 上級会員の悲哀

何だか良い未来像が描けません。ビジネス/ファーストクラス限定のサービスは拡大しそうです。それに加え、上級会員になること自体、ビジネスクラスの多頻度搭乗とか、高額の支払いとかが必要になってきています。上級会員のメリットの大部分は、ビジネスクラスの利用に付帯する事を考えると、馬鹿馬鹿しい気がしてきます。

 私も今年のFFP対策を大まかに計画し、かなり予約を入れたのですが、気が付くとエコノミークラスの予約が事実上皆無です。ビジネスクラスばかりでは、ネタにも困りますが、それ以上にやっていることが馬鹿をさらしているような...。

 大きく「盛って」、実像より格好良く見せるのがブログの本質ですが、苦しい状況に追い込まれています。

 

FFP会員であることに誇りを感じる」とか、「個人的なしがらみがある」とかでないなら、上級会員など意味がなくなるのでしょうか?航空会社が、「あなたは大切な会員です」というメッセージを、大量に発信するようになるとこの路線は確定的です。

  FFPでも「マイルをいかに効率よく集め、使う」の部分は、改悪が続いてつまらなくなっているものの、まだ話題を提供します。一方、上級会員制度は存在意義が怪しくなってきているように見えます。個人的には、Flying Blueの「AMSの駐車場からの歩道橋の利用」など、不思議な上級会員特典が多くなると面白いと思います。

 

今年、メジャーなFFPはいかなる話題を提供してくれるでしょうか。

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