PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

密かに必要マイルが変わるフライングブルー

いつものことなのですが、Flying Blue(FB)では小まめにマイルを改訂します。無料航空券に必要なマイル数です。そして私は予告を受け取ったことがありません。会員に予告なしの改悪は良くありませんが、以下のような事情があると思います。すでにFBでの無料航空券特典では、

・日や便によって提供席の数を細かく調整

・必要マイル数に何段階かの設定があり、それぞれに席を提供

会員に伝えられるのは、せいぜい上限と下限だけでしょうから、予告してもほとんど意味がありません。

 もっともFBは会員が不信感を抱かないよう、もっと理解してもらえるよう努力をするべきでしょう。一日あたりの総席数とか総マイル数とかをようやく公表するようになりましたが、まだまだコミュニケーションが足らないと思います。

 

FBの改悪予告があったことを知り、現状を見たら、2014年10月頃調べた時から数字が変わっています。ウェブサイトのルーティンも変わっています。連絡はなく、「いつの間にか変わった」には違いないのですが、それが「いつものこと。」驚きや不信感はありません。

 

今年は申年。Air Franceは、春節仕様のトップページです。スカイチームは中国ブーム。経済の波から位相が後れています。

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中国では、申年のサルに「猴」を使うのですね。この扇を下げると、口がサルになっているなどというアニメーションはありません。残念。

 

そんなことはどうでもよく、FBでした。

 

FBのページ。「マイルを使う」ページのトップは、「航空券をマイルで買う。」

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わかりにくいとされるマイルの3種類。この辺の名称は、整理されそうです。そう考える理由は以下の通り。

 Prime Classicが一般的な無料航空券のシステムで、席数限定。Prime Flexは文字通りマイルで席を買うシステムで、その便に販売されている席があれば予約可能です。Prime Promoは、Classicの必要マイルを値引するプロモーション。世界の地域別に路線、時期、機材等の事情を考え、常にどこかの路線で行われています。

 当初はPrime Classicでの必要マイルが固定でしたが、現在は可変になったようです。何段階かマイル数の設定があり、多いマイル数の方が航空券が取りやすいシステムになっています。最低が従来のPrime Classicのマイル数で、最大はPrime Flexにつながります。マイルの値上げを形式的に見えないように行ったわけですが、結果としてこの3名称の違いには意味がなくなっています。

 

(1) まず必要マイル数の状況を調べます。このサイトでは無料航空券に必要なマイル数、搭乗時に得られるマイル数、アップグレードに必要なマイル数が同じ場所で検索できます。

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まずエコノミークラスから。関心が高いのは欧州-東京間。片道です。

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Classicで40,000 milesからとなっています。Flexは120,000 miles。Classicで40,000 milesは、2005年にFBが創業した時から変わっていません。

 次はプレミアムエコノミー。

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Classicで40,000 miles。Flexは160,000 miles。2005年のFB開始時には、このキャビンクラスは存在しなかったので、理論的に改悪はなし。

 ビジネスクラスは、

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2014年10月に探した時は最大240,000 milesでしたが、今日300,000 milesまで増えています。密かに行われた改悪を見つけました。ちなみに2005年は、Classicが60,000 miles。10年で60%上昇。

 最後にファーストですが、

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これはFlexしかありません。隠密改悪2つ目です。2014年10月時に260,000 milesだったものが、320,000 milesになっています。2005年では80,000 milesでしたから、300%の増加。物価上昇率をはるかに超えたインフレ率なのでした。

 

予約クラスが表示されますが、これはバグです。

 

(2) それでは月日によってどれだけ変動するか見てみます。3月を例に、まずはパリ発羽田行のエコノミー。

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35日中、最低の40,000 milesでチケットが取れるのは6日のみ。以降マイル数の昇順で

56,000 milesが6日

60,000 milesが2日

68,000 milesが2日

76,000 milesが2日

80,000 milesが16日

120,000 milesが1日

でした。設定が細かいことにも驚きますが、80,000 miles必要な日が全体のほぼ半分に達するのは、がっかりです。

 これがパリ発-成田行になると、状況はかなり良く、ほとんど最低のマイル数で取れます。

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40,000 milesが34日、60,000 milesが1日です。

 パリー羽田では平均68,114 miles、パリー成田では平均40,571 milesとなります。前者のエコノミークラスは人気があり、有償客でさばけるということでしょうが、この差は別路線、別会社のプログラムの比較に匹敵する差です。

 

プレミアムエコノミーは羽田

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と成田

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でほとんど差がありません。あまり売れないのでしょうか。最低のマイル数で大抵取れます。この点で見ると、FBはそんなに悪くありません。少し必要マイル数が多いととられているのでしょう。

 

ビジネスクラスではパリ発羽田行が

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パリ発成田行が

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と明らかに成田行きが空いています。成田便は新キャビンになっていなかったのでしたっけ?3月17日など、逆転しているところもあります。マイル数の刻みは100,000、120,000、170,000、180,000、230,000、300,000ですが、たぶん200,000とか240,000なども存在すると思います。

 羽田行では、最も普通のマイル数が120,000 milesで35日中11日、平均で144,571 miles必要という結果でした。

 

上級会員にしか関係しないようですが、ファーストの無料航空券。取れない日があります。

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取れても320,000 milesで一定です。1便4席しかないので、こんなものでしょう。やはり成田の方が空いています。

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(3) 当初の無料航空券は、ClassicとFlexの2段構えでした。これ自体は顧客本意な発想です。しかしClassicの席数は限られ、「なかなか予約が取れない」という不満の声が多くなってきたようです。少なくともFBはそう認識しています。そこでとった策が可変式で、Classic-Flex間のマイルの設定です。これで人気のある日は、多くのマイルで「買う」ことができます。

 確かに「なかなか予約が取れない」という不満は消えるし、経済的にバランスの取れたプログラムになるでしょう。Frédéric Kahane氏がLes Echosに述べた「プログラムの収支を保ちつつ、満足度を大幅に改善すること」に一致します。

 可変式にしておけば、いちいち会員にアナウンスすることなく、マイルを実質値上げできるという利点もあります。

 

エア・ヨーロッパ(UX)の脱退、独立、独自のFFPの創設は、近距離エコノミークラスの無料航空券発券が簡単になる方向にFBの改革が進み、自社便のチケットが売れなくなることを危惧したのではないでしょうか。FBから独立してしまえば、単なるSkyTeamの各社間の提携になり、無料航空券特典をブロックするのは簡単です。実際Transaviaへのマイルの利用を拡大すると、Frédéric Kahaneは明言しています。この辺の事情で、UXがFBを続けていくことが困難になったのではないかと思います。

 

発表されている改革の動機、UXの脱退という事実の2点からは、FBのマイル関係の変更は、

・特典航空券に必要なマイルの調整を拡大すること

・Transaviaでマイルを利用できるようにすること

・必要マイル数の実質的な増加

にとどまりそうです。

 FBは現在でも非常に割りの悪いプログラムで、近距離(<750 miles)欧州便をウェブサイトで十分前から予約する場合、

 最安エコノミークラス:0

 格安エコノミークラス:176

 フレックスエコノミークラス:750

 ビジネスクラス:1,875

が搭乗により得られるマイルです。これで100,000 milesも貯めるのは至難の業。CDG-TXLだって、最低8,500 milesも必要です。フレックスで12回飛んで、ようやく1回無料です。アメリカと違い、2,000 miles程度の中距離フライトの需要があまりないので、これ以上マイルを獲得する方をいじってもあまり効果はない気がします。

 無料航空券が販売の負担になるとか、予約をとりにくくする原因をつくっているのは、クレジットカードやホテルチェーンとの提携拡大によるマイルインフレでしょう。これは特典航空券に必要なマイルを値上げするしか対応の方法がありません。

 

こういう事情を考えると、FBが金額制を取入れる線は薄い気がします。