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多言語化のチェック:日本の航空会社の場合

国際路線をもつ航空会社にとって、ウェブサイトの充実は非常に重要な問題です。2つの理由があります。商品に形がないことと、世界中に客がいることです。一般物品ではモノを届けるため、販売は顧客のいる場所に依存します。一方、航空券の販売では顧客のいる場所は関係ありません。インターネット販売は、最も効果的なビジネスの一つのはずで、力を入れないはずはないのです。

 日本から外国へ旅行する客とその都市から日本に旅行する客では、販売に原理的な差がありません。双方向で商売ができます。こうしたことからウェブサイトの多言語化は、

・客がどこに存在しているか、

・どの地域を戦略的に重視するか、

・世界路線網を重視するか

などの点について、会社の姿勢が現れます。

 

もちろん機内サービスの多言語化も、他方で重要な問題。これは就航地に依存します。出発地、目的地の現地語に対応できるキャビン中のクルーの割合は、知りたいと思います。どこかに統計はないものでしょうか。これもウェブサイトの多言語化と同様、顧客の方をどれだけ向いているかを如実に表すと思います。

 

フライングブルー、アメリカ3社、東南アジアと見た後は、我らがJALANA。今回は、よりインターネットに馴染む客が多いだろうANAから。

 国と言語の選択画面は、こんな感じです。日本だと日本語と英語の選択ができます。

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国リストの1番上は米州。カナダがトップです。ここで仏語は軽い練習問題のようなものですがと、クリックすると、なんと日本語と英語の選択。

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カナダ政府の気遣いなんて、どこ吹く風という印象を受けます。「日本人による、日本人のための、日本の航空会社」の臭いが漂ってきます。米州地域は他にアメリカとメキシコがありますが、同じ選択肢が提供されます。他の地域も見ると、この日、英の2語選択パターンは

India, Indonesia, Malaysia, Myanmar, Philippines, Singapore, Vietnam, Belgie, Bulgaria, Czech, Denmark, Finland, Greece, Hungary, Ireland, Israel, Italy, Luxembourg, Netherlands, Norway, Poland, Portugal, Romania, Russia, South Africa, Spain, Sweden, Switzerland, Turkey, UAE, UK, Australia

に現れます。

 中国では、日本語と中国語が選べます。

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他では韓国で、日本語と「韓国語」が選べます。この英語なしのパターンは

・ドイツ、オーストリアで日、独

・フランスで日、仏

に現れます。それでスイスは英日だけなのですから、あまり現地住民に配慮しているとは言えません。

 香港は、日、英、中の3択。台湾でも同じです。

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このパターンはタイで現れ、日、英、泰の3択が可能です。

 

結局ANAが対応している言語は、

英、独、日、仏、中、朝、泰

の7言語。スペイン語が無い上、地域の言語にも対応は不十分です。熱心に多言語化しているとはいえません。一方、稀に見る勢いで来日が増えているタイ人客に対応しているのは天晴れ。頼もしい感じすらします。

 気になることは、どの国を選んでも常に日本語が一番上、英語は無くても日本語はあるという構成。やはり、「日本人による、日本人のための、日本の航空会社。」社名の方はNipponと先進的ですが、言語環境は日本重視。このアンバランスは面白いところです。

もしJapanの方が国際性があり、Nipponは外国人にはわかりにくいと言う人がいたら、英語を含むメジャーな欧州語では「新聞すら読まない」人でしょう。地域名、言語名、土着の伝統(例えば料理)は、現地語表記がメディア的に「いけている」ようになり、すでにかなりの年月が経ちます。国名はよく使われるので、「新聞を読む」人なら普通理解できます。例えばLe Mondeの日本の記事には、Nippon, nipponという名詞、形容詞が普通どこかに現れます。soleil levant(昇る太陽)という言い回しすら多用され、広く理解されています。All Nippon Airwaysという名前は、前世紀ではイマイチだったかもしれませんが、今世紀ではJALにリードしているネーミングでしょう。

 

次はかつて世界最長路線を運航していたJALです。JALは世界からのアクセス用のサイトを持っており、アドレスは

https://www.jal.com/

です。ここで国と言語を選べます。

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国名は英語。それより数が20と大した事ありません。Vietnamのように就航していても見つからない国、AustriaやItalyのように就航していなくても記載される国があります。アドレスは国別に異なります。例えばドイツのサイトは、

http://www.de.jal.com/del/de/

分散管理です。

 

妙な表示がBrazilとRussiaで現れます。Portuguese/Englishとは?

 この言語を選んでみると、現れるページはほとんど英語。一部ポルトガル語という構成でした。

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RussiaではEnglish/Russianという言語ですが、やはり一部ロシア語になるだけ。これらは座席の説明でした。

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中途半端だからか、ヘタレの感がします。

 

ちなみに大部分の国がEnglishと日本語の選択ですが、Japanを選ぶと、日本語とEnglishの選択です。以下にそれ以外の言語を選択できる国とその言語を列記します。

・China: 中(简)、英、日

・France: 仏、英、日

・Germany: 独、英、日

・Hong Kong: 中(繁)、英、日

・Italy: 伊、英、日

・Korea: 朝、英、日

 

合計すると、英、独、日、仏、中、伊、朝に対応、一部で露、葡を使用と言うところです。7言語+αと、あまりぱっとしません。スペイン語がないのは、世界中に路線網を張り巡らせる意図がないからでしょう。このことは路線網の特徴や規模を考えれば不思議ありませんが、やや問題ありと感じるのは、今後多くの顧客を生むだろう国の言語への対応が遅れている点です。

 タイからの訪日客の数は、現在でもかなりの数を占め、今後さらに成長が見込まれます。しかしタイ語のページはありません。JLは価格競争力もあるわけですし、タイに限らず、インドネシアベトナムなども果敢に攻めて欲しいところです。