桃園空港の第2ターミナル。上階のコンコースにも通路に沿って待合スペースがありますが、出発時間が近づくと階下の大きな待合室へ通されます。その階下の待合室は、ビジネスクラスとエコノミークラスでスペースが分割されています。
椅子が並ぶところから搭乗クラス別を誘導しています。20世紀のイギリスのようです。窓際に安楽椅子が4つある他は、シートは同じもの。特別なサービスもありません。こんなところまで区別するSQですが、いろいろな民族が客なので、混乱のレベルを下げるには有効かもしれません。
ところで「プライオリティレーン」は、ビジネスクラス以外はPPS Clubの会員だけです。Star Alliance他社より要求される会員資格が一つ上です。SQのElite Gold会員(Star Alliance Gold会員)は人数が多いのでしょう。こういう運用はどこでも拡大傾向にあります。上級会員が増えているのでしょうね。
今日はビジネスクラスに搭乗するので、雲の上の存在PPS Clubメンバーとご一緒させて頂きます。このホールに居ればの話ですが。
窓の外ではA330-300が待っています。
搭乗開始と共に、ゲートに結構な人数が押し寄せます。ゲートではあまりチェックしているようには見えません。また両ゲート同時に開けました。差を付ける気があるのかないのかよくわからない運用です。SQの指示が、TPEの(業務委託会社)職員に徹底していないでしょう。
ビジネスクラスのシート。質の高い革のシートです。そろそろ「現役の」という形容詞をつけても良い程度に古くなりました。
2,000 miles程度、午後から夕刻にかけてのフライトですから、フラットになる必要は全くありません。シート自体の出来は良いらしく、全く疲れません。
IFEの音声の質は良いとは言えません。
ウェルカムドリンク。泡はTaittingerのようです。
グラスはB777-300ERのキャビンと違うようです。グラス置き場は無骨ですが、安心感を与えます。テーブルの収納部はよく出来ていて、肘置きとした時に不快感がありません。
通路側の肘置きには、シートと照明関係の操作部が隠れています。その下はIFEのコントローラーです。
さてSQでは食事のサービスはゆったりと進むので、離陸後、シートベルト着用サインが消灯したら化粧室へ。花が活けてあると言うより、挿してあります。
離陸のせいでビンが倒れています。よくありそうな話ですが、初めて見ます。
ちなみに洗面台は大型。
右隅は足踏みで開くゴミ捨てのフタ。SQは何をとっても、少しだけ上を狙っているようです。
機内食サービスはドリンクから開始。これは注文を聞かれます。
Taittinger 2007。飲んでいると、ナッツが出てきます。大韓航空はファーストでも袋から出さずに提供されます。SQはビジネスでも容器に入って暖めたものが出てきます。しかもひとつひとつが大粒。
次はオードブルですが、肝臓をすりつぶして型に入れたテリーヌが出てきます。
他はゆで豚の巻き物の冷製と生野菜。オレンジの添え物は理解できませんが、許容範囲。
固い肉を柔らかくするため、柑橘類(またはワイン)と一緒に煮込むという調理法は古臭くなってしまいました。工夫がないと食べにくい肉との格闘は、フランスのみならず中欧の歴史の一部です。豚肉加工品にオレンジは、何を狙ったのかわかりません。
バターの右隣にあるBB-8のような容器は塩コショウ入れ。
オリーブオイルもパンと一緒に配っていました。
しかし小麦とイーストだけのパンはありません。かの航空会社だと、客室乗務員を捕まえて説教する場面です。もっともオリーブオイルも並みの品ですから、あまりシンプルにすると馬脚を現しそうです。
ある程度のオリーブオイルと、生野菜をワゴンサービスで配給するとなかなかのサービスになると思いますが、こんなことに価値を覚えるのは少数派かもしれません。またSQよりAZとかIBの方が、様になるでしょう。
とにかくメイン。
タラとイカとジャガイモという、垢抜けない素材の組合せが面白いところです。これはGeorges Blanc監修の皿ということですが、彼の個性を感じるに至りません。タラの産地が違うとか、トマトの産地が違うとか、多分何かが代用品になっていると思います。
かなり間が開いてデザート。
素材は並、腕は特上というアジアで出会うことができる範囲内では良い品。
これで終わりかと思ったら、チーズとフルーツ。
チーズはどれも固く、全く熟成していないかと思いましたがそうではなく、まろやかな味に育っていました。本来より低い温度で長時間置くのでしょうか。贅沢です。
この後ホットドリンクとチョコレート一粒があります。コーヒーもチョコレートも並みでしたが。
この便では、時間帯と距離から、機内食を充実させることがかなり重要です。食べるために搭乗したような気になりました。
SQのサービスはライバル他社のビジネスクラスに比べ、質も量も上でした。カトラリー、アシエットもそれに応じて上質。搭乗客もお金には困っていないような連中でした。
やはりSQは高級エアライン。他の航空会社も収益を上げるため、どの程度プレミアム路線が可能なのか気になるでしょうし、SQのようになりたいでしょう。しかし社会全体としては棲み分けに向かうことは悪い話ではありません。