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ワインスクール代わりの飛行機(その3):ビジネスクラスのワイン

(1) 少し残念ですが、新しいワインを知るとか、勉強するには、ビジネスクラスが良いようです。このことに関しては、エコノミークラスとは格段の差があると言わざる得ません。

 

本質的な理由が2つあります。

 第一にワインが、比較の上で理解されるものからです。ビジネスクラスのワインリストの基本は、泡、白ワイン2、赤ワイン2です。白と赤は性質がわかりやすく異なったものが対になっています。レガシーキャリアの中長距離便では、これより少ないことはないでしょう。あったら、そこはケチです。この構成はワインを味わって、記憶する上では絶妙です。

 第二に、性格で選ばれる最低ラインのワインが採用されるからです。Qatar航空のような例外もありますが、ビジネスクラスではだいたいこのクラスのワインです。値段は高くありませんが、違いを知るのに良いレベルです。

 この2点がエコノミークラスでは実現不可能なのですね。全く残念ですが、これは仕方ありません。なお、このようなワインであるからこそ、地上で同じ商品を購入することも可能です。これもビジネスクラスのワインの良い点です。

 

Champagneは、他の産地の高級ワインと比べるとブレンド・チャンピオンともいうべきで、複数年代、複数畑、複数品種、複数発酵レベルで混合します。そのためラベルと味が対応し、それが一定している製品が主体です。これはビールを選ぶのと変わらず、相対比較が重要かと言うとそれほどでもないというのが、私の意見です。もちろん一部の商品は、他のワイン並みに規定されていますし、場合によっては味の比較が面白いのですが、これはビールでも同じですね。

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(2)  機内でワインを味わう場合のメリットは、

・ワインの伴にできる食事が付いていること

・食事がワインに応じて選べること

でしょうか。同等の飲食を地上で行うと、結構お金がかかります。航空券代に対して無視できない程度になるはずです。日本はワイン好きが多い国ですが、何かのきっかけでハマってしまった人間を除くと、金回りが良い人が多いのはこのためでしょう。どちらでもない人間にはワインは無縁にとどまるというのも、寂しい話です。

 この壁を突き崩すことも可能なのが、ビジネスクラス。今からワインを「知りたい」人には、敷居が低い場所だと思います。

 また、何処に出しても恥ずかしくない立派な呑兵衛になった暁には、今度は食事代をワイン代に回したくなるものです。この場合も、機内では食事が勝手についてきますから、心配がいりません。しかもおつまみ系から、デザート系までいろいろなステージでワインを考えることができます。ワインバーで、こうしたものまで注文する人は稀でしょう。

 

一方、デメリットは

・ワインも食事も選択肢が少ないこと

・味覚が地表とは変わっていること

でしょうか。これはいかんともしがたいですね。いずれにしても、ワインバー代わりに考えても悪くなく、しかも機内の方が優れている点もあります。

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(3) それではファーストなら、もっと良いだろうというと、そうでもありません。ワインに限らず、ファーストクラスはサービスに個性が強くなるようです。ワインリストもその航空会社なりの考えがあるようで、種類が増えるところもあれば、そうでないところもありますし、増えたものが第三の軸となっていることもあるし、似たような傾向のワインであることもあります。ワインの価格帯は確実に上がりますが、ワインリストの型はぼけます。ワインを勉強するには、型や座標が重要。何故かというと、ワインを継続的に楽しむ第一の条件は、記憶だからです。ラベルや説明、ワインの色(robe)は、iPhoneで撮ってしまえばよいのですが、味わいを記憶しないと意味がありません。この点、性格の異なる2つの白ワイン(または赤ワイン)だと、記憶が楽なのですね。

 

安価で済むという以上に、ビジネスクラスの方がワインの勉強に「向いています。」

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(4) キャビンをワインスクールにするために必要な道具は、

・メモと筆記具

・カメラ

でしょうか。ナプキンが白でない場合、白い紙もあるとよいでしょう。記録することは

・ワイン名(収穫年表示があれば、それも)

・生産地(国>地方>村>畑や区画)

・ブドウ品種(書いていない場合もある)

・生産者

・試飲の記録

です。さらに記録して役立つことは

・規制呼称

・航空会社による説明(リストを持ち帰るとか、写真にとるとかでも)

・生産者による説明(ボトルの裏にあったりするが、ウェブで確認が楽)

などでしょう。これだけ記録すれば、後から思い出すのに役立ちます。

 なお、ビジネスクラスの空間の余裕は、記録のためにも有利です。

 

それからビジネスクラスではグラスを利用し、エコノミークラスではプラコップを利用することが多いことも、差を広げます。ワインを味わう時、グラスはことのほか重要な要素です。

 

(5) 最後にキャビンクラスには関係ありませんが、日頃の体力づくりについて。

 ワインは土地との結びつきが非常に強く、名称等は現地語で表示されます。したがって仏、伊、独、西、英などで、基本語彙を覚えるに越したことはありません。単語の数は、品種名を除いて、多くはありません。品種名は飲んだ後で覚えれば十分だと思っています。

しかしながら、この問題はワインに近づくための最大の障壁でしょう。最近、ハンガリークロアチア、スロべニアとワイン生産国に行った時、困ったのは言葉でした。ラベルが読めません。こうした国では、良いワインがあまり世に知られていないので、面白いのです。ここでも、困難とチャンスは背中合わせなのでした。