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ワインスクール代わりの飛行機(その7):マレーシア航空のビジネスクラス

キャセイの後は、マレーシア航空(MH)を見てみます。わたくしもMHの利用は東南アジアが多いのですが、ここのビジネスクラスのワインリストは基本に忠実。基本とは、泡x 1、白x 2、赤 x 2という構成で、泡はChampagne、白と赤は個性で選ばれ、それゆえ食事との相性が議論されるカテゴリー中、ボトムランクのものです。

 

ワインリストは、キャセイと同様、厚手の紙見開き2ページ。大きさは食事のメニューとそろえてあります。

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開くと左頁が泡x 1、白x 2、右ページが赤x 2です。

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とてもクラシックな品揃えです。

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どういうことかと言うと、

泡:Champagne

白:フランス2種(LoireとBourgogne、またはsauvignon blancとchardonnay)

赤:フランス2種(BordeauxとRhône)

と全て「おフランス」、しかも代表的な組合わせで来ています。これがホテルのダイニングだったら、格式を保つことがとにかく重要で時代に遅れをとっている感じになります。機上ではそこまでのネガティブな印象はしませんが、少し冒険が欲しい気もします。

  

しかし、それぞれのセレクションは抜群です。

 

白のLoire> Pouilly-Fumé(産地)あるいはsauvignon blanc(品種)は、Domaine de Minet(生産者)によるもの。ワインの産地=種類としては、大変人気があり、やや高価なワインを生産している土地です。一方で生産者はそれほど有名ではありません。スター生産者のワインは価格的に無理なので、一生懸命探してきたと読めます。

 ちなみにこのPouilly-Fumé、なかなか厚みがあり、まろやかです。もちろんこのワインに期待されるミネラルの強さも持っています。このワインと比べると、NZのsauvignon blancは、とげとげしく感じられます。

 

第二の白は、Bourgogne(産地)あるいはchardonnay(品種)です。Bourgogneという産地の限定性は、Loireと同じレベルですが、Olivier Leflaive(生産者)がPouilly-Montrachetを中心に畑を持っているので、その点で挽回します。もっともこの生産者はスターと言って良く、この広域名ワインでもPouilly-Fumé程度には見栄えがします。

 この人は、有名なDomaine Leflaiveの当主のいとこです。若い頃は新鮮なスタイルでワインを作っていたのですが、年と共にこの一族のワインになってきたので、耄碌したのかなと思っていましたが、どうも違うようです。Domaine Leflaiveで、Olivierの持ち分が増えているようなのです。Olivier Leflaiveのワインで、Domaineの畑のブドウが増えていることは大いにあり得ます。

 このワインは奇をてらうことのない上質なワインでした。Bourgogneの白ワイン、つまりシャルドネワインのひとつの典型と言ってもよいと思います。

 

第一の赤は、Bordeaux> Haut-Médoc(産地)で、Bordeaux左岸ブレンド*(品種)です。生産者はChâteau d'Archeと、それほど有名ではない小さなCru Bourgeois(格付け)ですが、収穫年が2009と非常に良い年です。Bordeaux流の推薦状は、産地Ludon-MédocがMargaux-Cantenacに近く、持ち主がChâteau Palmerと同じMälher-Besseであり、その醸造責任者が面倒を見ているとなるでしょう。

*ここのワインは、cabernet sauvignon, merlot, cabernet franc, petit verdotにcarmenère

 ボルドーは高級ワインとしてはクラシックです。高級なフランス料理店をつくったらとりあえず置いておこうとなります。このワインでは、2009年とHaut-Médocという組合せが目を引きます。

 

第二の赤は、Rhône> Crozes-Hermitage(産地)で、おそらく100%* syrah(品種)で作られています。生産者はAmpuisの名士、Guigal。Bordeauxとは全く異なる個性を持つ赤ワインです。色が濃く、黒い果実、革や黒コショウなどの香りがするはっきりした性格のワインでしたが、強くなり過ぎることはなく、あくまでも上品です。

*この呼称は、syrah以外に15%未満ならroussanneとmarsanneの使用も許されます。

 

赤字はMHの機内で注文する時に、通じやすい名称です。気を付けることは2点。

・マレーシアはイスラム教の国なので、アルコール飲料に関する知識が貧弱です。通じないのは客室乗務員側に問題があるかもしれないのです。彼女たちもよく自分たちのことを分かっているので、すぐボトルを見せてくれて「これか?」とやってくれます。通じなくても焦る必要はありません。

・ワインは現地語通りの発音が原則です。英語話者もフランス語風に発音しようとします。例外は普通名詞化しているchampagne。こういう言語の運用に関することは学校では習いませんが、実社会で英語を使うときには重要ですね。なお国の名前、地方の名前、都市の名前は英語、ワインで知られる村の名前は現地語です。この辺のことがしっかりできると、英語圏では教養があるように見えたり、イケている人に見えるかもしれません。

 発音の確認は、Google翻訳でできます。今のところフランス語で発音させる必要があります。

 

なお、白ワインは変わってきています。オセアニアのワインを入れるようになりました。

MH71:NRT-KUL ビジネス(その2) - バス代わりの飛行機

AustraliaのChardonnayとSauvignon Blancとなってきています。MHは経営改革が進行中ですから、ワインに関しても考え方が変わると思います。このクラシックなリストは全く悪くなく、むしろ素晴らしいのですが、今後は変わっていくと思います。