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ワインスクール代わりの飛行機(その12):タイ航空ビジネスクラスのドリンクリスト

タイはアルコールに対して厳しい国です。バンコクに行くと気がつきますが、アルコールの販売時間はかなり制限されています。この国では、寝起きや食事が習慣的に自由。アルコールが同じ調子で消費されると、中毒患者が国中にあふれると考えているのでしょう。また公の場所で酔っ払うのは、軽犯罪のレベルで処罰されたと思います。この程度の制限は悪くありません。国際的にみると、日本が甘すぎ、自由過ぎです。

 

そのタイからナショナルフラッグキャリアのタイ航空。ワインの扱いは、アルコールに厳しい国だから不慣れというより、他所の文化だから不慣れという感じです。

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少し前のリストですが、こんな感じ。例によって赤字は機内で注文する時に通じやすいと思われる名称です。

 

泡:生産地 Champagne 生産者 Palmer & Co. 名称 Brut Réserve

白1:生産地 Loire> Pouilly Fumé 生産者 Pascal Jolivet  名称 Pouilly Fumé

白2:生産地 Bourgogne> Chablis 生産者 William Fèvre 名称 Chablis Champs de Royaux

赤1:生産地 Bordeaux> Haut-Médoc 生産者 Château d'Aurilhac 名称 Château d'Aurilhac

赤2:生産地 Bourgogne 生産者 不明 名称 Bourgogne Pinot Noir Réserve

 

フランスの完全勝利。Vive la France! しかも白の品種がsauvignon blancとchardonnay、赤の生産地がBordeauxとBourgogneだなんて、絵にかいたような典型です。クラシックも、ここまで来ると個性です。

TGはFirstのChampagneがDom Pérignonだったりと、格式の高いワインを置きたがるようです。

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ChampagneはReimsのPalmer。書かれなくても、Chardonnay半分、残りはpinot noir多しと予想できる素直な造り。彼らのウェブサイトには、

”Le nez, d’une grande netteté, s’exprime sur une riche palette aromatique, mêlant des arômes d’agrumes, de poire et d’abricot avec quelques notes subtiles de noisettes et une discrète touche beurrée évoquant la viennoiserie. La bouche, friande et charnue, séduit par sa belle fraîcheur déliée"

と官能試験の結果が書いてありますが、タイ航空のワインリストの説明は、

"It offers very clean and rich aromatic palette combining pear and apricot with delicatenotes of hazelnut and discrete touch of butter, evoking freshly baked pastries. The palate is elegant, ample and seduces with beautiful fruit and freshness."

と柑橘類の香り(arômes d’agrumes)が抜けていることを除いて同じ内容。そのままコピーしたようです。生産者による商品説明では、著作権をがたがた言われることもないでしょう。手間がかかりません。

 

白のPouilly Fuméは「イカした」選択で、酒造りが上手なオヤジのPascal Jolivet。CDGの免税店でよく見かけます。彼のワインはどれもメリハリがある一方で、不思議と柔らかさを感じる造り。実はPouilly Fuméには、いくつか種類があるはずですが、機内のワインは確認していません。ボトムラインだと思います。Pascal JolivetのIndigèneは探す価値がありますが、今回は無理でした。

 

Chablisは日本にもよく入っているWilliam Fèvre。おなじみのCuvéeの2013。Grands Crusはそうでもありませんが、奇をてらうことがないシンプルな酒が多いドメーヌ。これはボトムラインを構成する商品で、まさにそんな感じです。エレガントなのは良いのですが、あまり印象に残らないタイプです。白にこだわりがないなら、こちらですね。

 

赤はBordeauxがHaut-MédocのCru Bourgeois。あまり知られていないと言って間違いありません。Cru Bourgeoisを紹介する公的なサイトがあるのですが、そこにもほとんど説明がありません。

http://www.crus-bourgeois.com/spip.php?cid63631&lang=fr

住所があるので、Google Mapでストリートビューを表示させると、一面ブドウ畑に倉庫のような建物が確かに見えます。普通名詞のchâteauの意味からは程遠い外見と、よくあるパターンでした。味は覚えていません。

 

Bourgogneの赤は生産者が表示されていません。さすがにこれは欠陥です。注文すれば、何かすぐにわかりますが、しなかったので何が実際に搭載されていたかわかりません。

 

泡を除いて説明書きの最後に必ず料理との取り合わせが書いてあります。しかも形式が整っています。ワインに不慣れな人でも選んで、機内食と合わせて楽しめるという配慮。アジアの客にはこういう配慮は必ず必要でしょう。他の会社でも多くは見つかるのですが、何となくこのリストでは目立ちます。

 

ついでに他の飲料も紹介します。

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最初の2つのMekhongは、カクテルでしょう。オリジナル風の響きですが、実際はどうなのでしょう。ポートをアペリティフというのは、少々強いかもしれません。英語圏では水割りを頼む人もいるのですから、別に気にするほどでもありません。

 他の酒は、種類だったり、ブランド名だったり、製品名だったり、表示に一貫性がありません。すべて供給の都合によるものでしょうが、James Bondなら怒り出すかもしれません。