PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

Brexitの影響

残留派議員に対する政治テロがあり、remainが巻き返すことは間違いなかったのですが、UKの国民投票の結果はout。私も6月23日、結果をはらはらして待っていたのですが、意外な気がしました。EU脱退はさまざまな変化を引き起こすので、野次馬根性には好。生活の激変が予想される人たちもいるので、不謹慎な態度は慎むにしても、世界中のメディアも飯の種が増えるので、大歓迎しているはずです。

 このブログの扱う領域でも少し影響がありそうです。もちろん経済状況の悪化による旅客の減少は避けられないでしょうが、もっと特定の問題があります。UKの航空会社、British AirwaysEasyJetです。

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(1) UKの航空会社では、GBPの下落が燃料調達の費用を押し上げ、それによる業績悪化はすぐに顕在化するでしょう。

 

(2) EUは空も単一市場となっています。2004年から「欧州単一の空」の規則が適用されています。

Transports aériens: le ciel unique européen | Fiches techniques sur l'Union européenne | Parlement européen

これにより、自国の空港を離陸または着陸しない旅客便の運航が認められているわけです。また料金設定や新しい路線開設に政府の許可がいりません。さらに航空会社の買収にも政府の許可は不要です。

 EUを脱退すると、UKの航空会社は当然EU外の会社になります。ところがLCCの場合、自国以外に拠点を持つのが普通なので大問題になりかねません。例えばEasyJetは、

Hamburg, Barcelona, Bordeaux, Lyon, Paris (CDG, ORY), Milan (MXP, LIN), Naples, Rome, Amsterdam, Faro, Lisbonne, Porto, Basel

というUK外の拠点を持ち、UK外の2都市を結ぶ路線を多数持っています。少なくとも今後そういう路線の開設は認められないでしょうし、価格の設定でも自由を失います。これはひょっとすると致命的なのではないでしょうか。

 EasyJetはUKとEUの当局者に、UKが「欧州単一の空」に留まるよう書簡を出したようです。独仏首脳よりさっさと声明が出た通り、UKが単一市場のメリットだけを享受することは許されないので、これは難しい要求です。EasyJetは会社をEU内に移すことになるのでしょうか。

Le Brexit risque de couper les ailes d'Easyjet

 

(3)  IAGの株式が3分の2に下落(6月24日に-22.5%、6月27日に-15.9% )しました。これを機に、Qatar航空が出資を考えていると発表。現在14%の株主であるQatar航空ですが、20%まで持株比率を上げるつもりとのことです。この発表があった後、IAGの株は3%反発しました。

ACTION: BRITISH AIRWAYS (IAG), prise de participation de Qatar Airways dans la société

 

(4) パリORYとニューヨークを結ぶ路線に特化しているOpenskiesは、BAの子会社です。航空会社の株式については、EU外の株主の持ち株割合は50%以上にはできなかったはずです。一方、IBやAer Lingus、VeulingはEUの会社です。BAはもちろんUKの会社。IAG(Madrid)はどうするのでしょう。

Le transport aérien pris dans le trou d’air du Brexit, Tourisme - Transport

 

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航空会社に関しては、他にもいろいろ混乱があり、思わぬところに影響が出て来ると思います。一方、個々の旅行者に関係するのは税金。欧州-UK間の移動では、税金が増える可能性大です。