PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

Skytraxの矛盾

年中行事になっているSkytraxのランキングの発表。そしてヨーロッパの地域航空会社の1位は、いつもAegean Airlines。お礼メールをマイレージ会員に出すのは普通ですが、毎年のことになっているので、季節の挨拶化しています。

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マイナーなカテゴリーですが、6年連続首位は、素晴らしいと思います。文句なしのヨーロッパ王者です。ボクシングで言うと、フライ級欧州連覇のようなものでしょうか。エンターテイメント部門のEmiratesの世界連覇の方が、はるかに凄みがありますが...。

 

メールでは、改めてサービスの宣伝をしています。

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Exceptional ServiceとDelicious Mealsは垢抜けない表現と感じるのは、私だけでしょうか。

 

AegeanやEmiratesはともかくとして、Skytraxの順位付けに、納得がいかない箇所が見つかるのは仕方ありません。利用する個人客ではなく、評価を受ける会社も言っているようですが、ベースが人気投票である順位付けでは不可避です。

 少し客観的に見ていくと、偏向がいくらでも見つかります。まず言語の問題は露骨に表れています。Skytraxは英語が使われているため、英語圏の嗜好に偏っていることは顕著です。例えばIFE。Qatar Airwaysは上位の常連で、今年も3位に入っていますが、ここのプログラムはほとんど英語。世界中の映画を見たい人からは、低い評価を受けるはずですが、当然少数派となります。私自身、QRのIFEはあまり特徴がないという印象を持っています。

 実はこの辺がQRの優れた点--効率が良い大胆なコストカットができているーーだと密かに感嘆しています。運営・経営目線では評価がまるで逆転します。

 またキャビン別catering部門も食文化の影響を受けます。ここにも英語話者の嗜好が色濃く反映されていると思って間違いありません。

 

しかしながら、そんなレベルを超えて、Skytraxはでたらめな所というか、矛盾があります。

 

毎年「もっとも改善があった航空会社」と言うカテゴリーがある一方、毎年の航空会社ランキングもあります。すぐ気が付きますが、前者は後者の差分で決まるのがロジックです。つまり航空会社ランキングで昨年からの順位の上昇と、今年の「もっとも改善があった航空会社」の順位は、一致するはずなのです。しかし、現実はそうなっていません。今年の「もっとも改善があった航空会社」は、

 

1位 タイ航空 (19位から13位)

2位 エアリンガス (61位から49位)

3位 ベトナム航空 (55位から44位)

4位 イベリア航空 (56位から52位)

5位 ライアンエア (LCCのため別)

6位 海南航空 (22位から12位)

7位 アリタリア (74位から58位)

8位 ハワイアン航空 (82位から72位)

9位 エチオピア航空 (77位から76位)

10位 中華航空 (52位から37位)

 

です。この10社の中ですら、あからさまな矛盾が見つかります。

 

1位 タイ航空 (19位から13位)

6位 海南航空 (22位から12位)

 

で、6位の方が1位より改善が著しいのでした。後ろから追い越しているのですから、言い逃れできません。また

 

9位 エチオピア航空 (77位から76位)

 

なんて順位が1つ上がっただけです。2位から1位というような頂上競争ならともかく、この程度の順位が1つ変わった「サービス内容の向上」を高評価しているなんて、どこかが狂っているとしか言いようがありません。もちろんこれ以上向上した会社は、数多くあります。

 

さすがに今年の航空会社ランキングで順位が下がったものが、「もっとも改善があった航空会社」ベスト10には顔を出すことはありません。つまりベスト10では、正の相関は辛うじて維持されています。しかし、相関係数がかなり低いことは明らかです。どんなに甘く見てやっても、こんな不整合があるようでは、Skytraxのランキングに信頼を置くことはできません。

 

Skytraxはこの矛盾を百も承知で、放置している気がします。自分たちの評価が絶対視されるのを回避するため、人気投票の限界をありのまま示すなんて、如何にもイギリス人がやりそうなことです。

 

Etihad Airwaysは、ファーストクラスの多くの部門で1位をとれてやれやれですね。こういう評価団体は、被評価者の声なんか気に留めないものですから、本当に「実力」だったのでしょう。