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ワインスクール代わりの飛行機(その15):アリタリアのビジネスクラス

travels SkyTeam

Alitaliaビジネスクラスのワイン。鬼門ですね。順序だって予想していたことを書くと、

 

・イタリア全域のワインで構成

 

されるのは当然。この全イタリアワインが曲者。イタリアワインは、

 

・主要なブドウ品種が非常に多い

・栽培、醸造、販売などあらゆる段階で、各地独自のやり方がある

・階層、序列が未整備

・人、土地、ブドウ、栽培法の組合せと、世の評価の関係が複雑

 

どういう切り方をしても複雑で、体系的にまとめるのはほとんど不可能です。この帰結として、

 

・品質は高く、価格が低め

 

ということになります。

ワインの高価格はプレミアム性が原因です。体系や序列がないと、同種他製品より高評価+高価格は実現されません。

 

このため、ほとんど無数にある高品質ワインがビジネスクラス向け。新世界とは異なり、欧州の貴品種と比較の上でしか理解されないワインはお呼びではありません。したがって、

 

・初めて出くわすワインが多い

・ラベルから味の特徴が想像できないワインが多い

 

となるはずです。

 Alitaliaのワインリストを見て、各ワインの解説ができる人は、相当のイタリアワイン通。たぶんプロでしょう。免税店でBiondi-Santiが安いなんて、喜んで買っているPechedenferのような俗物とは、まるで違う人たちのはずです。

 

と心の準備はしていたのですが、一部正解、一部はずれでした。

 

まず夏季シーズンはEmilia-Romagna(Bolognaがあるところ)とCampania(Napoliがあるところ)のワインが紹介されています。機内食でも、この2地方の料理が重点的に扱われています。個人的には、後者のワインに少し集中した経験があり、少し馴染みがあります。

とは言っても、Campaniaのワインはとんでもなく歴史が長く、とんでもなく複雑なので、とても知っているとは言えません。たぶんイタリアワイン全体に言えることだと思いますが、知れば知るほど、自分が何も知らないことを思い知らされる世界です。

 

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リストは以下の通り。

(1) Route 212, Malvasia Fermo DOC, Colli Piacentini La Celata, 2015

(2) Kydonia, Falanghina del Sannio DOP, Castelle, 2015

(3) Otello, Nerodilambrusco 1813, Ceci, 2014

(4) Aglianico del Sannio DOP, Riserva "Rosa Bruna", Tenuta Merolla, 2014

(5) Ferrari

(6) Apianae, Moscato del Molise DOC, di Majo Norante, 2010

(7) Semèle, Montefalco Sagrantino Passito DOCG, Signae Cesarini Sartori, 2007

 

やはりフランスと共通する品種は、意識的に避けているようです。

 

(1)がEmilia Romagna、(2)がCampaniaで、共に白辛口。(1)だけ試しました。

輝きを持った麦わら色。花の香りが印象的ですが酸化臭もします。口に含むと温帯のフルーツの香りが強く、酸は中庸。余韻は長いもののデリケートです。

 

写真と異なり、皿との組み合わせでは、(2)の方が一致を見るはずです。Sannioは有名な産地、Falanghinaはこの地方を代表する古いブドウ品種。私の経験では、玉石混交なのがこの品種のワイン。避けるのではなく、逆に試してみるべきでした。惜しいことをしました。

 

機内では、鮟鱇のパスタにも(1)を合わせましたが、これも(2)が良かったかもしれません。

 

(3)がEmilia Romagna、(4)がCampaniaで、共に赤辛口。(4)だけ試しました。

色調は不透明になる直前の濃いルビー色。焦げた香りとチョコレートの香りが混ざったアロマがします。酸が思ったよりしっかりしてます。mûre(黒イチゴ)、prune(スモモ)、スミレなどに、カカオと黒飴のような香りが加わります。黒胡椒、丁子、甘草などのスパイス系の香りも印象的ですが、柔らかく仕上がっています。タンニンが若いのですが、まろやか。Aglianicoの長所を引き出しています。余韻は上品で、エコーのように続きます。

 

肉料理にはどっちを選んでもよさそうです。Campaniaの肉料理は悪くはないのですが、特徴は?と聞かれると、私は答えを持ち合わせていません。Aglianicoを合わせるのが定石ですが、(3)でも平気だと思います。

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(5)は発砲ワイン。イタリアの発砲ワインの中では、Champagneに似ている方。固い酸をもちます。

 

(6)は白甘口、(7)は赤甘口。収穫後、ブドウの実を陰干ししたり、麦わらの上で乾かしたりして、果汁を濃縮させてから醸造を始める地方が、イタリアにはかなりあります。これが甘口ワインの多い理由でもあり、機内でも2種類も用意できる理由です。

 

(6)は遅摘みと低温マセラシオンなどを組み合わせて造った甘口です。

 美しい黄金色を持ち、熟成期間が長いのにもかかわらず、マスカットの香りがフレッシュ。オレンジの花の香りなどが印象的です。酸も強いので飲み飽きることはありません。

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(7)はショットグラスに入れられ、出てきました。これは藁の上で干したブドウから醸造したもの。

紫がかったルビー。ほとんど光を通しません。やはりチョコレート、黒飴のニュアンスが強く、それに加えバニラ、コーヒーの香りもします。タンニンは乗っていますが、まろやかで温かみを感じます。タンニン以外にも、高いアルコールと高い糖度が一役も二役も買っています。余韻は長く、見事に減衰します。

 

チーズ盛り合わせの皿に2つのワインを合わせました。少し贅沢ですかね。過剰でやり過ぎと言う意味で...。

 

少なくとも甘口ワイン2種は珍しい品で、次の出会いがあるかどうか疑わしいレベル。心して味わう価値がありますが、こういうのはコースの最後に出てきます。いい加減酔っぱらっているので、感動をあまり覚えていません。次回の搭乗があれば、定石を無視して食前酒としてもらうことにします。