PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

SU261:NRT-SVO/CDG ビジネス(その3)

機内サービス

メニューは今時の感じ。世界中のビジネスクラスで同じ様なフォーマット、同じようなページ数のものを使っています。

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一斉に変化が訪れるのは、不気味な現象です。

 

ロシアと言ったらアルコール。強い蒸留酒ですね。Proverbes à la conという2.99€の本に、

”Le chameau peut travailler cinq jours sans boire, l'homme peut boire cinq jours sans travailler.”

(ラクダは飲まずして5日働いていられるが、ヒトは働かずして5日飲んでいられる。)

という有難い格言が出ていましたが、実践者が多い国の筆頭はロシアでしょう。当然期待します。

 

ところがAeroflotは、意外におとなしいのでした。反ロシア的です。

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これ以外に、Pale & Dry XOとChivas Regal 12年を積んでいます。控えめ過ぎて期待はずれ。Pechedenferが予想していたのは、

・ウォッカが、度数表示と共にずらずら並ぶリスト

・やたらウォッカに詳しい乗務員

・ストレートでがんがん乾杯する搭乗客

です。外貨を稼ぐため、機内で暴れ出したり、通路で寝る客が出ては困るので、ほどほどにしたのでしょう。Aeroflotおよびロシア政府の考えも理解できます。

 

ロシアでアルコールと認識されているかどうか、疑わしいワインですが、リストは西側・無国籍風でした。

・Ayala Brut Majeur

・Gavi, CANTI ESTATE

・Moscatel, Gran Feudo, Chivite

・Nero d'Alba (Sicily), Tasca Conti d'Almerita

・La Capra Fujara, Fairview

などと言う具合。ロシアのソムリエや、レストランのオーナーが説明を書いているのが目立つぐらいです。旧ソ連のワインはありません。食事のメニューもそうでしたが、ロシア色を生かそうとは考えていません

 一方でオリジナルカクテルは、特徴的。Aeroflotを頼んでみましたが、赤ワインベースにベリー類を使って甘く仕上げています。外国人が思い浮かべるロシアです。

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Above the skyとFair windもオリジナルカクテルでしょうか?

 

Aeroflotは、こんな感じのカクテルでした。

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記事を書くため、他の2つも試す必要があります。

 

メニュー冊子

食事のメニューは日本語もあります。

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このメニューをそう読むのは困難ですが、

・前菜は固定

・和食か洋食を選択

・洋食選択者はメインを3種の中から選択

という仕組みです。洋食を選び、さらに鶏を選択しました。

 

ロシアは?

まず前菜。

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洋食を選んで、こんなものが出てくると何にも言えなくなりますが、彼らは間違ったわけではありません。日本人でも和食だと認識するレベルの日本食。もろみエシャレット、イカの塩辛、バッテラなんかがあります。ちなみにバターは、まずまず新鮮です。

 ワインはGaviですが、こういう料理にcortese、合うとも合わないとも言えません。

 

2番手はサラダ。

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グラスの液面が上がっていますが、気のせいではありません。グラスの30%を切ると、客室乗務員が85%まで注ぎ足してくれます。これぞロシア。土佐の人たちと話が合うかもと思いつつ、生野菜をほおばります。

 ここで気づくべきことは、「若いのに良く出来た娘だ」というような、ジジイの価値観に迎合するところではありません。客のグラスに何のワインが入っているか覚えていることです。

 

次はえんどう豆のスープが来ます。さすがコース料理の起源をなすロシア。きちんと別々に出てきます。

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香り高い反面、サワークリームを上手に使って、体が温まるスープ。さすがロシア。

 スープ=老人、病人、幼児。ロシア料理はここで存在感を示します。スープが食文化の高さを象徴すると思うのは、Pechedenferだけではないと思います。

 

メインは鳥のモモにパスタ、人参、インゲン。クリームソース。Morilleだな、これはというソース。

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鶏は単純なだけに難しいと思いますが、不満のないレベルに仕上がっています。Pechedenferは、鶏を週に5回は調理するので、うるさいはずですが、この皿には不満がありませんでした。肉質は悪くなく、ブロイラーではありませんが、高級品でもありません。

 色彩はともかく、野菜の熱の入れはOK。タリアテッレは互いに付着しています。もっとも、まともな麺を出せる航空会社に出会ったことはありません。

完全にのびているとか、加熱にムラがあるとか、互いに付着しているとか、地上と差がでやすい麺をなぜ機内食で扱うか、本当に不思議です。麺の文化圏の人間はもう少し声を上げた方が良いかもしれません。

 

19世紀ではないので、さすがに次はデザート。アイスクリームかケーキの選択です。差が分かりやすいケーキにします。

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日本しています。世界のイケてる食事なのですね。

 

最後はコーヒーかお茶か聞かれます。どちらか選ぶとさらに選択肢があります。しかしそこでお終い。現物がテーブルに載せられるとき、砂糖が必要かどうか聞かれます。この辺は、スマートですが、マニュアル化が徹底していると感じる瞬間です。

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機内食のレベルが高いと言っても、反革命的ではないでしょう。Aeroflotをヨーロッパ系に分類すると、ウソのようなレベルの高さです。給仕の頻度や精密さ、調理の丁寧さは、アジアの先頭集団と比較するのが適当です。少なくとも機内サービスについては、(客の文化的な背景を無視した場合)欧州トップだと思います。

 

この「文化的な背景を無視すると」が問題で、フランス語もロシア語も分からないイギリス人なら、100人中99人までAir FranceよりAeroflotを支持するだろうということです。

 

最大の難点を指摘しておきます。ロシアは個性ある食文化を持ちます。これは良く知られるところですが、機内食ではスープに片鱗を感じることはあっても、説得力のあるロシア料理はありません。期待して搭乗すると、失望します。