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バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

義理堅いアリタリア

イタリアの義理

Abu DhabiのEtihad航空から資本提携を受け、息を吹き返したAlitalia。キャビンも制服も新しくなり、同時にサービスも良くなりました。現在、サービスは少し振り子が戻った感じもしますが、それでも2、3年前に比べると断然元気です。

 特別なことをしなくても、Etihad Partnersの一員として重要な機能を担えることは間違いありません。Alitaliaの大西洋路線が、イタリアのプレステージ性とともにEtihadにとって魅力的なことぐらい素人目にも明らかです。しかしAlitaliaは、それを越えて自発的に恩返しをしているようなのです。

 

Alitaliaの機内誌Ulisseの12月号では、Abu Dhabiで開催されたフードフェスティバル(12月5~23日)を大々的に記事にしていました。人類の食文化の一極をなすイタリアが、他国の食のイベントを大きく扱うのは特別な出来事です。

 

Ulisse 2017年1月号

機内誌Ulisseは

Ulisse Magazine | Alitalia

でpdfとしてダウンロードすることができます。

 

Abu Dhabiへの配慮が、さらに顕著なのは1月号。メインの特集が

アブダビ、美術の首都:砂漠と海の間にある美術館都市」

です。

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表紙の写真は、Louvre Abu Dhabiの内部のようです。男女のモデルに現地風の衣装を着せて撮影。

 

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「ラクジャリーだけではなく、UAEの首都は今日、美術、文化、環境にも焦点を合わせます。石油を越えた視点で。」と来ましたか。ずばりAbu Dhabiの新国是を、トレースしています。堂々8ページに渡って特集。

 

一定の成功を収めているDubaiのように、Abu Dhabiも「石油と砂漠以外に何も印象の無い国」から脱却を目指しています。もともとUAEの親分格。力もあります。あの手この手で文化的な開発を進めていますが、その中でもLouvreの誘致は国家プロジェクトとして大きなものでした。フランス側では相当な物議を醸していましたが、金の力には逆らえず質量共に重要なコレクションを数十年にわたって貸し出すことになりました。

 フランス国内では、没落貴族の破産処理などと非難されていました。

 

他所のものを集めて展示するのは、大英博物館もやっています。珍しいことではありません。一箇所から集めるから騒がれるのです。ただ、斬新な建築や展示法を採用しているはずなので、Louvre Abu Dhabiではそれを見るだけでも訪問する価値があるでしょう。

 

「イタリア」は、西洋史、西洋美術で圧倒的な存在感があります。西洋美術の代表というイメージが付きまといます。当然Altialiaもこのことを理解しており、Abu Dhabiの政策に強力な援護射撃をしています。Abu Dhabiには重要な国策ですから、本当に有難いことでしょう。

 

Ulisseには、整備中のSaadiyat Islandや最終段階にあるLouvreの開発、そして砂漠だけの土地からの脱却の歴史など、ヨーロッパ人にも十分興味を引く内容が書かれています。そして当然のことながら、行き方もアドバイス。

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Emiratesを使ってDXBからバスで行こうなんて、書いてありません。

 

最後に俗っぽく、ゴルフ、ショッピング、ナイトライフも、宿泊、食事とともに紹介されます。これらは包括的なものではありません。良くある雑誌の紹介です。

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Ulisseの高感度な一面

Ulisseは、日本がらみの記事も昔から多いのでした。これは極東路線が日本便しかなかった時代が長く、就航地を宣伝する必要があったためです。

 

ヨーロッパ人の日本観光で、近年の流行はB級グルメ。1月号の紹介記事は、居酒屋です。Lanterne rosse = 赤提灯。

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今の時代、旅行客の大部分を占めるのが庶民。居酒屋の客は、ずばり庶民。Alitaliaや英国航空が居酒屋を宣伝することは、理にかなっています。オーセンティックなことにかけては、居酒屋以上の場所は見つけにくいでしょう。しかも安いので、外国人観光客にとって、価値が高いことは間違いありません。

 

世界中の「1月の行事」のページには、若草山焼きが紹介されています。これは日本人の間でもイベントとしては古典的ですが、ヨーロッパからわざわざ見に行く価値があるといわれると...あります。

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近年では花火を打ち上げて、バカ騒ぎになっている気もしますが、これを知る日本人でも、控えめに「一度は見ておいて損はない」と言うでしょう。国際レベルに翻訳すると「必見」です。次の記事であるモンテカルロのレースと同じぐらいに派手ですし。

 

(ヨーロッパの)客の目には、居酒屋や若草山焼きは、感度の高さとして映ります。機内誌としては質の高いUlisse。ここでAbu Dhabiが大々的に紹介されることは、それなりにインパクトがあるのです。

 最近EtihadとEtihad PartnersにぞっこんのAlitalia。次は何をやらかすか、地味に楽しみです。