Münchenでのお買い上げ品は、こちら。
レギュラーサイズのインク瓶が付いていました。大きな木箱は想定外。持って帰るのに苦労しました。
子供の頃から、万年筆は付かず離れずで使っていました。最近、長く使っていた某M社の品を紛失。新たに入手する必要がありました。しかし、
・某M社の品は値上げの割には、品質の向上や新しい提案が感じられない
・某M社はブランド戦略の一環で、商品を多様化、世界中のサービスを共通化、スーパーマーケットを感じさせる小売チェーンとなっている
・仏壇系には、さようならをしたい気分
という状況があり、後継は別の製造者から選ぶことにしました。
大量生産品から工芸品に近づくと、一品一品異なるため、買う品そのものを見ないといけません。購入で背中を押してくれるのは、単に親しみだったりするわけです。イタリアが得意とする付加価値品。この商品をミラノ(Montegrappa直営店あり)やローマではなく、Münchenで買うことになったとは。この地に憑りつかれてような気がしてきました。
とあるサイトでデキる男を演出する持ち物と題して、「こだわりや高級感のある万年筆」とありました。いい機会です。万事にやる気が起きないPechedenferとしては、せめて意識高い系を目指そうと、参考にすることにしました。
しかし購入したのは定番品。某M社仏壇系よりましですが、こだわりという点で高得点は望めません。デキる男の演出には不適です。
そこで、そもそもの疑問です。こだわりや高級感のある万年筆とは何を指すのでしょう?
万年筆の場合、「こだわり」という言葉と相性が良いのは、製造番号入限定品。例えば同じMontegrappaの製品の中からピックアップすると、Chaosとか、Piratesあたりが最先鋒でしょう。この会社の技術、地場産業の技術を生かした限定モデルからです。
次に「高級感」ですが、高級感がない日用品を高く売るのは難しいので、価格は目安になります。ChaosもPiratesも、高価版だと邦貨換算で700万円超(廉価版ならその10分の1程度)。とあるサイトの要求は、だいたい満たしているのではないでしょうか。するとこういう万年筆を買えばよかったわけです。
こんな万年筆を懐から颯爽と取り出す男。特殊なことを考えている雰囲気は演出できますが、何かがデキるという執行能力は特に感じられません。「こだわりも高級感もある万年筆」のはずですが....。
この万年筆は相当重いので、薄っぺらいスーツのポケットに入れていると、スーツが片方の肩からずれてくると思います。銃挿しならぬ万年筆挿しをbraces(ズボン吊り。ドイツ語では平凡に Hosenträgerですが、MünchenだったらLederhosenträgerが出て来るかもしれません。)に付ける必要があります。
デキる男の演出は、奥深い世界のようです。
意識高い系になるには、道のりはほど遠いようです。それどころか、購入した定番品のペンにすら慣れません。買った地に敬意を表して、ドイツ語を書いてみたところ、うまく書けません。 恥ずかしいので小さな写真で。
Die Walküre, aus dem ersten Aufzug.
「久しぶりに書くとやっぱりダメ」と、納得するところで立ち止まってはいけません。機会を見つけ次第、向上心を過剰表現するのが意識高い系。ドイツ語筆記の練習帳を買って、向上心をアピールしまくり。
Münchenもドイツですから、こういうのは本屋ですぐに見つかります。
「自分磨き」の意志の宣伝は、意識高い系にとって核心ともいうべき大切な活動。ドイツ語の書き方を学んだことのないPechedenferには適当な本ですが、小学1年生用という点で、意識高い系が好む表現とは相入れないかもしれません。自分磨きから「磨き」つながりで、「銀器磨きをしなくては」なんて連想している場合ではありません。
なお、この本はドイツ国内での印刷。裏表紙に、でかでかと書いてありました。
さすがにこういう本まで、外国製にするほど落ちぶれていないようです。
航空旅行とは全く関係のない話だけで終わってしまいました。