Star Allaiance(SA)、oneworld(ow)、Skyteam(St)の三大航空連合は、それぞれ世界中をカバーする路線網を誇ります。一つの航空会社の会員になれば、連合内の他会社の搭乗でも、特典に使えるマイルが積算されるとか、上級会員の特典の大部分が有効だとか、旅客にとっても便利なシステムが構築されています。航空会社の方では世界各地で投資を抑えて、顧客を運ぶ都市を増やすというメリットがあります。
レガシーキャリアは、客とその荷を運ぶという最低限の運送サービス以外に様々なサービスをセット販売しています。また国の代表という側面も健在です。それらにまつわるコストは膨大なものだっただろうし、航空連合が削減に有効だったのは想像に難くありません。
20周年となるStar Alliance
1997年に全世界をカバーすることを目指して企業連合を発足、世界を驚かせたSAも今年で20周年。現在191ヵ国、1300都市に就航しています。SAは、20周年記念日に新しいデジタル技術を利用したシステムの開発に取り掛かると発表しました。航空会社をまたぐ旅行を今よりスムーズにすることを目的としています。統合予約システムの開発、より正確なフライト情報の提供、より完全なマイレージの自動登録、預入手荷物の情報交換の効率化、遅延の場合の乗継旅客対応の集中管理(現状では、乗継カウンターの地上係員が電話で予約変更を行っていたりします)などがその具体的内容です。
Star Alliance fête ses 20 ans d’existence en lançant de nouveaux outils numériques | Air Journal
航空連合の世界路線網とメンバー
SAの発表は、利用者には確実に良いニュースです。世界的連合の長所にますます磨きがかかります。
しかしそんなことを喜ぶ気分にもなれません。路線網や加盟会社が全然増えていないのです。SAでは、
2014年 6月に加盟した Air India
が最新参者です。それから3年以上もメンバーに変わりがないのです。この状況は他の2連合でも同様で、owでは
2014年 5月に加盟した SriLankan Airlines
が、Stでは
2014年 3月に加盟した Garuda Indonesia
が最も新入り。3連合とも丸3年間、メンバーが増えていません。路線網も本質的に大きくなっていないのです。
SAでは2017年5月に吉祥航空がconnecting partnerになっていますが、メンバーではありません。加盟するには足りない要素が幾つもあるということでした。
航空連合の充実に関しては、むしろ不吉なニュースが聞こえてきます。言うまでもなく、StのAlitaliaとowのAirberlinの破綻です。
Alitaliaがどうなるかは、しばらくすると見えてくるはずですが、現時点で数社が買収に興味を示しています。中にはLCCの雄、Ryanairも含まれます。
Alitalia : Ryanair candidate à la reprise de la compagnie italienne - Le Point
一社が引継ごうが、多社による買収だろうが、長年赤字を垂れ流してきたAlitaliaの処理ですから、事業の大幅な縮小は間違いないでしょう。Stとしてはサービスの縮小になるはずです。
「Alitaliaに続け」ではありませんが、Airberlinも一週間前に倒産を発表しました。
もともとレガシーキャリアとLCCと両方の性格を持つAirberlin。この特性は、LCCとの競争の影響を強く受ける側に働いたようです。EasyJet、Condor、Thomascookなどが株式買取りに名乗りを上げていて、現在のところ買い手は単数にならない模様。
"Il n'y aura pas qu'un, mais deux ou trois acheteurs" pour Air Berlin | L'Echo
Alitaliaよりは、まだましな買い物なのでしょうか?メディアはLufthansaとの関係や、他のLCCとの関係からいろいろ将来予想を述べていますが、owへの影響が気になるところです。
航空会社の破たん自体は良くある話ですが、航空連合の路線網の縮小は意味が違います。三大航空連合は2014年に頂点を過ぎ、今は衰退に向かっているところかもしれません。