買ったものは使い倒す
のは、基本でしょう。航空会社の経営者なら。「本拠地だからと言って、整備でもないのに機材を半日も駐機するなんて、無能のやること。」叩き上げの社長口調なら、こんな感じ。
何の話かというと、運用を始めた2機のB787-9のことです。Air Franceのウェブサイトでも宣伝されています。
ちなみに9月のAir France Magazineによると、Air Franceの機材は以下の通り。
長距離用機材
B787-9 Dreamliner 2機
A380-800 10機
A340-300 9機
B777-300ER 43機
B777-200ER 25機
A330-200 15機
中距離用機材
A321 20機
A320 43機
A319 38機
HOP!
CRJ1000 14機
CRJ700 11機
Embraer 190 10機
Embraer 170 15機
Embraer 145 13機
ATR72-500 4機
ATR72-600 6機
ATR42-500 11機
Transavia France
B737-800 29機
中東や東南アジアの会社との競争には、もう少し整理、更新が必要なようですが、それはさておきANAの商業運航開始から6年、AFもB787-9の運用を始めたのは慶賀の至り。この2機の機体番号は、F-HRBA、F-HRBBとなっています。現在の運航は次の通り、
F-HRBA
AF7640 CDG 07:50発 LYS 08:55着 (毎日)
AF1681 LYS 10:25発 CDG 11:35着 (毎日)
AF344 CDG 13:35発 YUL 14:55着 (毎日)
AF345 YUL 16:50発 CDG 05:50着 (毎日)
F-HRBB
AF1680 CDG 07:35発 LHR 07:50着 (水曜日を除く)
AF1681 LHR 09:45発 CDG 12:05着 (水曜日を除く)
AF570 CDG 14:30発 CAI 18:55着 (水曜日を除く)
AF567 CAI 00:40発 CDG 05:30着 (木曜日を除く)
CDG:Paris Charles-de-Gaulle空港、LHR:London Heathrow空港、LYS:Lyon Saint-Exupéry空港、YUL:Montréal Pierre-Elliott-Trudeau空港、CAI:Cairo International空港です。
F-HRBAは、2日サイクルで4回の駐機時間が合計7:25とお見事な運用。モントリオール往復の間合いにリヨン往復をこなします。F-HRBBはCDGの早朝到着の関係からか、CAIの滞在が長くなっていますが、駐機4回の1日サイクルで合計12:10の駐機。
B787-9の導入路線の決定に対して、ご自慢のビッグデータ処理システム、Karmaを利用したかどうか知りませんが、AFも他社並みに効率を追求することにしたようです。
Karmaについては、次の記事を参照。
なおCDGでの利用ターミナルは、F-HRBAが2E、F-HRBBが2Fです。ご存知のとおり、2Eは長距離国際線用の巨大ターミナル、2FはほとんどAFの中距離路線用ターミナルです。
国際線機材の国内線運用
機材好きの方なら、気づくと思いますが、F-HRBAは国内線で乗れる国際線用機材です。これが珍重される理由は、
(1) 長距離機材は設備が充実、短距離路線としては性能過剰なため、何となく得なこと
(2) レア感
(3) 短時間、低価格とお試しに向いていること
といったところでしょうか。Pechedenferは機材好きではないので想像です。
AF7640、AF7641は、パリ―リヨンというフランスの首都と第二の都市を結ぶ動脈(陸路で400~450 km)。しかし特殊な事情でもない限り、この都市間では皆TGVを使うでしょう。Paris Lyon駅からLyon Part-Dieu駅まで直行2時間弱ですみます。市内からCDGまでちんたらバスで行き、セキュリティでメタボ腹を投影され、LYSからバカ高いRhônexpressに乗るなんて、どんな××のやることですか、という訳です。
SNCFへの反撃ではないでしょうが、B787-9という豪華機材の導入。もちろん航空券はAFのサイトで買えます。ビジネスクラス30席、新デザインのプレミアムエコノミー21席、エコノミークラス225席のすべてがZodiac Aerospace社による製作と、高級品のキャビン。
ビジネスクラスなら、あの繭シートでCDG-LYSを移動できる!と、ウェブサイトで航空券を探してみたところ、CDG-LYSにはエコノミークラスしかありません。またEconomy Flexを選択しても、チェックイン時に座席指定(事前選択不可)です。ということは、以下のような運用の可能性が高そうです。
(1) CDG-LYS間では、ビジネスクラスを閉鎖
(2) 空港で航空券料金とFlying Blue会員レベルに応じてPremium Economyを割り当てる
あまり起こりそうにありませんが、economyとpremium economyを合わせた座席以上に予約を取ったオーバーブッキング時は、あの繭シートは出てくるのでしょうか?こればかりは試してみないとわかりません。
もっとも新デザインのpremium economy体験でも悪くありません。フランス旅行を予定している人は、Lyon, Grenoble, Chambéry, Annecyなどを強引に旅程に入れて、B787-9を1時間だけ乗ってみましょう。
なお、あの繭シートについては、
AF293:HND-CDG ビジネス(機内) - バス代わりの飛行機
AF274:CDG-HND ビジネス(機内で) - バス代わりの飛行機
で取り上げました。こちらはあまり変わっていないはず。
AFはこれらシートの写真上にPinterestのリンクを張っています。ウェブで広めて欲しいということだろうと判断して、使わせてもらいます。
存在感が欲しいLHR便?
実はCDG-LHR間(216 miles)はCDG-LYS間(256 miles)より短いのですが、そこは国際線。Air Franceひいてはフランスの存在感を示す上でも面白そうな機材運用。一方、B787の運用で一歩先じているBAは、相手にしないと思います。
と、芸能週刊誌まがいに煽るのは面白いのですが、真相は間合い運用の実施に際して、AFは適当な国内線と国際線を一つずつ選んだだけでしょう。
LHR便の方は国際線だけあって、ビジネスクラスも買えます。上手に買うとAF1680とAF1681を組合せたCDG-LHR往復が、304 EUR(税込)ぐらい。4万円弱。座席指定のところまで調べていないので確実ではありませんが、Premium Economyをビジネスクラスと強弁することもないでしょう。
間合い運用は機材体験に向いているらしいのですが、AFのB787-9の繭シートを試すなら、LHR便が良さそうです。
一つ注意すること
LondonからCairo旅行をする時、AFを使うなら新B787-9だけを選びたくなりますが、同じ機材に4回乗ることになります。同じシートを指定するなら、汚したり、乱暴に扱ったりしないようにしましょう。
CAIからCDGに飛ぶ間、機内食をぶちまけてシートを汚したくせに、CDGからLHRに行く時に文句をたれるなんてことをしたら、ブラックリスト掲載ものです。