個人の事情
年頭にBritish Airways Executive Clubでは Gold Guest List 会員になったようなので、幸か不幸かこのテーマが避けられなくなりました。
ついでの愚痴は、「結局イギリス。」普段は意識できないくせに、公でも私でも重要なポイントでは強引に目立つのは何故。
GGL会員(右)のカードは一般 Gold会員(左)と大きく変わりませんが、多くの人に馴染みが薄かろうニッチな制度。まさにブログ向け。
光背のイラストは仏具のようです。他にはGLという文字が目立つぐらいですが、実は背景の色調が少し濃くなっています。また会員情報の行が少し下方になりました。これはデザイン上の要請でしょうか。専門家でないので、わかりません。縦横比も少し変わっていますが、これは会員種別とは関係ない現象だと思います。
一般的な話から始められるので、ネタとしては秀逸。愚痴を言うより、機会として使うのが前向きな生き方。
よく知られる上級会員制度
この「通常の会員種別の上に来る会員ランク」は、航空会社の上級会員制度を基本から説明した後に付記するのが分かりやすいのです。しかし上級会員制度の説明なんて、今さらながらの感があります。JAL
やANA
の宣伝・解説も(JGC、SFCの部分を除くと)標準的なものなので、それらと対比してかまわないと思います。
簡単に個人的な理解を加えます。
マイレージプログラム上級会員は、多頻度利用する御得意様に一見さんとは異なるサービスを提供する制度です。お得意様は搭乗便、料金が同一の航空券を買っても、受けられるサービスが全く違うのですから一般の話題にもなります。一見さん向けサービスに加え、
・無料預入手荷物の追加(大雑把に言って100%増し)
・優先あるいは専用チェックイン
・座席指定の大きな自由度
・優先の手荷物検査、出入国審査
・優先搭乗
・空港ラウンジの利用
・予約キャビンが過剰予約の場合の上位アップグレード
・空席待ちでの優先
・ボーナスマイルの加算
などが自動的に加わります。エコノミークラスの利用でもビジネスクラスのサービスの一部を受けるような事になりますが、ずっと広範な優待になるべきですし、できればそうしたいと航空会社は知恵を絞っています。(会社もカード-cards to play-は数多くあった方が良いに決まっています。)
航空運送の場合、多数の顧客に対して、多数の従業員が対応するため、御得意様度にランク付けをして、ランク別に規格化したサービスを提供すると言う、業務の平準化と効率化という観点も必要です。
小さな会社だと、登録だけでなれる平会員を合わせて、3ランクです。例えばエーゲ航空は、Blue会員、Silver会員、Gold会員と言う構成。JALやANAぐらいの規模になると基本は4ランクとなります。平会員でも非会員より優遇されるという事実は、忘れがちですが重要です。
会員ランクは過去1年か2年の搭乗実績で決定します。また会員ランクの有効期限も1年か2年です。その評価指数は搭乗マイルが基本でしたが、今では複雑化しています。
それを超越する制度
さて本題です。
上級会員になるためには、年間30,000 miles ~ 100,000 miles移動するとか、年間30~100回搭乗するとかいう利用が必要です。御得意様はそういうレベル。しかしながら、この利用度を大幅に超える会員をもてなす制度を持つ会社が存在します。一番分かりやすいのが Singapore Airlines。その制度は PPS Club。
Singapore Airlinesのマイレージプログラム Krisflyer には
1 平会員: 入会すれば誰でも
2 Silver会員: 年間25,000 miles以上の搭乗が条件
3 Gold会員: 年間50,000 miles以上の搭乗が条件
という会員種別があります。しかしこれとは別に PPS Clubという Krisflyer 内組織を持っており、会員になるためには
年間 25,000 SGD以上のビジネス、ファースト、スィートクラスの航空券購入
が条件です。継続も同じ。基準が飛んだ距離ではなく、支払い金額(+キャビンクラス)となっています。そしてSQは PPS Club の会員とは異なるサービスを提供しています。
これが本記事で取り上げる「通常の会員種別の上にある上級会員」です。
こういう会員は多くなるはずありません。独立したサービスを開発、提供するのは、コスト的にどうかという話になります。どうもサービス商品の開発、サービス商品の試行、ブランドの向上と保持という点から維持されているようなのです。彼らの立場からは、そこそこボリュームがある通常の上級会員とは位置づけが異なります。
対象となる顧客が少ないので、はっきり明言されている制度から、存在は認めているものの謎に包まれる制度まで、会社によって開きがあります。例えば
サービス内容も会員基準も公表している(SQ, LH)
サービス内容も会員基準も限定発表している(BA: 会員にだけ)
サービス内容も会員基準も新聞発表したが、はっきりした数字は噂レベル(AF)
会員制度の存在は認めているものの、サービスも基準も噂レベル(UA, AA, DL)
明らかに出来ないのは、商品開発の難しさと経営効率の問題で、謎めいた姿に止めておくことで、ブランド価値を維持するという意図は弱いのでしょう。会社の能力不足か、顧客層に対してそうしたサービスが適当ではないかのどちらかという気がします。
基本的には誰でも対象となる会員制度の一つです。会社の立場では、VIP会員、終身会員、元従業員などの顧客分類も存在し、平行して業務を展開しています。この「通常の会員種別の上にある上級会員」も、さまざまな顧客分類の一つにすぎません。
ここでは、
・制度の存在を会社が公表している、あるいは公に認めている
・国籍、身分、職業、性別に関係なくその会員になれる
・基準はほぼ公表され、通常の上級会員とは質的に違うか、圧倒的に困難なレベル(最上級の2倍超)
の条件を満たした会員制度を対象にします。