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Tipps für Flugreisen

通常の会員種別の上にある上級会員(その2)

通常の上級会員との基準の違い

通常の種別を超える上級会員は、会員基準が別建であることが多く、達成はかなり困難です。別基準とは言え、普通の上級会員より簡単になるケースがあるなら、変な気がします。

 

Singapore Airlines の PPS Clubは、年間25,000 SGD以上のビジネスクラス、ファーストクラスの航空券を買わないといけません。これは約200万円。

 東京ーシンガポールをファーストクラスで往復すると、予約クラスAで約100万円。150%加算ですから、だいたい10,000 milesになります。ほぼ2往復でPPS Club会員になりますが、マイルの方は20,000 milesです。KrisflyerではSilver 会員の基準にも達しません。

 一方エコノミークラスで東京ーシンガポールを往復すると、大体10万円で100%加算、6,600 miles得られます。200万円軍資金があれば20往復でき、132,000 milesにもなります。これは Krisflyer Gold会員の基準の2.6倍。それなりに飛ぶことができます。PPS Club会員になる客、つまりたった2回で20回分の金を払う客は、いろいろオマケをつけても、Singapore Airlinesにとっては通常の上級会員よりありがたいわけです。

 

PPS Clubは優良顧客を「区別していますよ」と公言、誘引するからくりです。そして優良顧客とは、金を多く落とす客です。

 

それで特典は?

SQの場合、収益に寄与する客を厚くもてなす発想が露骨です。初めに修行ありきという人には、PPS Clubは楽勝プログラム。ほぼシンガポール2往復で解脱です。期間は1週間必要ありません。

https://www.singaporeair.com/ja_JP/jp/ppsclub-krisflyer/ppsclub/

 

PPS Clubの会員は、Krisflyer Gold会員の全特典に加えて、支払い金額に応じて

・クリスフライヤーダブルマイル特典

・50,000クリスフライヤーマイル割引特典

・空席待ちアップグレード特典

・事前アップグレード特典

などの特典が受けられます。

特典一覧は

https://www.singaporeair.com/ja_JP/jp/ppsclub-krisflyer/ppsclub/privileges-at-a-glance/

 

特典がすばらしいかどうかは、その人次第。Pechedenferの感覚では、特殊な事情がないと特典のためにPPS Clubを選択する人はいないと思います。つまりSingapore や Singapore Airlines に強い思い入れがあったり、PPS Club 会員であることが社交やビジネスで意味を持つ場合でないと、動機にはならないでしょう。普通の Krisflyer Gold でも、サロンケバヤが十分大切にしてくれるはずです。

 

結局のところ、考慮する価値があるか

金と動機が十分ある人なら、PPS Clubは良い体験になりそうです。ファーストクラス2往復は、お金を払う価値がある「お手軽な」世界です。

 

このように、その人の出自、経歴、立場、経済状況によって、利用の意味が大きく異なります。これは強調しておく必要があると思っています。というのも、これこそこの「通常の会員種別の上にある上級会員」の一番の特質だと思うからです。

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その他の会社

欧州の3大会社も、この会員制度を運用しています。欧州の「マスを対象としたビジネス」は、ブランド化に重点を置かざる得ません。サービスのスペクトルを広げること、ブランドイメージ向上の2点に対して、この「通常の種別の上」という会員制度はよく機能すると思います。

 

一番しっかりしているのが、Lufthansa Miles & Moreの HON Circle。これは2年間で600,000 miles(Miles & More会社が運航するビジネス、ファーストなどのみ対象)を飛ばないといけません。誰でもアクセス可能な会員資格としては、おそらく最も困難。ファーストクラスラウンジ*、ファーストクラスターミナルを使える、車の移動サービスなどの特典が有名ですが、普段の生活では年会費を肩代わりしてくれる専用クレジットカードがあったと思います。

*上級会員の話題で、タダ飯系特典に関心が集まるのは場違いな気がします。航空券を買う金で、2ブロック先のPizza Hutにお気に入りのピザを毎日10枚届けさせる方が合理的な行動です。世界には、場に適当な行動という感覚が欠落している人が多い気がします。そういう人が書いた英語のサイトに影響される人が少ないことを願います。

 

二番目は British Airways Executive Club の Gold Guest List。これは Gold 会員の選抜組のような位置づけですが、到達基準がGold会員の3.3倍と格段に困難になっていること、任意の人間を選んでGold会員やSilver会員にできるという特殊な特典があるため、このカテゴリーに入ります。Gold会員全体が格式あるクラブを構成、その役員になったような印象を与えるところがポイント。

 様々な階層が厚みを持って存在するイギリス社会で、それぞれの階層の嗜好にあった(=他の階層の人間には理解できない良さを持った)サービスを適切に提供できるのがBA。どんな人でも居場所が見つかるので良い会社。

 BAとしては難しいことは抜きにして、どんどん世界中の人に搭乗して欲しいはず、Executive Clubを有効利用して欲しいはずですが、イギリス流の考え方が感覚的に分からないと良さは十分理解できません。しかし良さが分かるようでは、頭の中はイギリス流フォーマットが済んでいます。

 これを良しとするか、悪しとするか考えること自体、無駄な抵抗です。イギリスは彼らに必要な人間を上手に取り込み、使うシステムを世界に構築していますから。結局なるようにしかなりません。BAだって、自分のビジネスのために世界を変えようと思っても打つ手がありません。

 

一番新しくて、一番頼りないのが、Air France Flying Blue の Platnium Ultimate。AF-KLMは存在を知って欲しいが、基準は公式発表していないという立場。結局整備不足、経験不足です。今のところ招待制になっています。ただし社会の中での Flying Blue の位置づけを考えると、HON Circleのように情報をオープンにして機械的に処理できるような方向に変わらざる得ません。

 あくまでPlatinum 会員の上のレベルと言う位置づけですが、

Air France, KLMの便の利用だけで、Platinum会員の基準の2倍のマイル

が必要と噂されています。Platinum会員はSkyTeam各社の搭乗でよかったわけですから、格段に困難になります。サービス内容の詳細は不明ですが、実は開発中と言った方が正しいのではないでしょうか。Air Franceの労使紛争が長引いていたため、新たなサービスの開発を行う余裕が無く、ライバルに後れを取っています。労使関係はある程度落ち着いてきたので、他の商品開発と同様、Ultimateも軌道に乗ると思います。

 

小じんまりやっているのが、SAS Eurobonus。Pandionという会員種別は完全招待制です。小じんまりは会員の規模であり、内容はハードです。漏れ聞こえるところによると、従業員より飛んでいるとか、毎日飛んでいるとかいう会員が招待され、会員数は1,500人程度ということです。

 

ヨーロッパを離れると、話題づくりが好きな Emirates Skywardsに iO という会員種別を持っています。会員基準とサービスに関する情報は、共に流出しています。

Inside Emirates iO: a secret invitation-only club for VIP flyers - Australian Business Traveller

招待制になっていますが、フル運賃のビジネスクラスまたはファーストクラス年間50回搭乗というレベルだそうです。この条件だと、そこそこの会員数になりそうです。

 他にもCathay Pacific Marco Polo Clubでは、Diamond会員の中でも上位1%をDiamond Plusとして区別しています。これも達成が非常に困難だろうことは容易に想像ができます。

 

米系は、欧州より遅れています。一番進んでいる United の Global Services だって、基準はよく分からず、サービスもよくわからずです。American の Concierge Key は存在とカードの存在は知られていますが、基準、サービスともに実体は不明。Delta 360はさらによくわかりません。

 アメリカでは、もともとサービスとしての需要が小さいのかもしれません。ただしメンバーシップを欲しがる、憧れるアメリカ人は非常に多いので、存在だけは明らかにして、ボロが出ないように内容は隠しておくのが賢い方法なのでしょう。

 

総じて見ると

多くの会社では、特典はSQに比べてもさらに地味です。特典を目的に修行するのは、どういう観点から見ても割に合いません。Sapphire会員や*G会員に対する見方から離れる必要がありそうです。