このシリーズ
通常の会員種別の上にある上級会員(その1) - バス代わりの飛行機
通常の会員種別の上にある上級会員(その2) - バス代わりの飛行機
はBAからのメールをきっかけに、書いたものです。BAの会員制度そのものに気を取られ、迂闊にもやっつけ仕事になってしまいました。まだ1月しか経たないのに、書き損ねたことが多数あることに気が付き、反省。
言い訳がましいのですが、マイレージプログラム(FFP)なんて、精査するのは入会を想定して比較検討する時だけ。一度入会すれば、そのFFPについては気を付けますが、他のFFPなんて滅多にチェックしません。よくある罠に陥っていました。
その気になって調べると、この「上の上」である会員種別がここ数年で増えたことに気がつきます。各社始めた、あるいは充実させているという傾向に、フルサービスキャリアの生存戦略が見えてきます。
特にoneworldには、Emeraldという「最上級」会員の遙か上に位置する会員レベルが散見されます。今日からそれを追加します。
Qatar Airwaysがその FFP、Privilege Clubに Platinum 会員を追加したのは2013年10月1日のこと。oneworld加盟が10月31日。上級会員制度を含め、FFPはoneworld加盟までかなり簡単だったわけです。このように航空連合との関係から、FFPを大きく変える会社は結構あります。oneworldで特に、という印象は実体が伴っているかもしれません。
まずは地理的な条件から長距離路線が多い Qantas Airways(QF)、Frequent Flyerから。Platinum Oneが問題の「上の上」。黒札(Platinum)の上は、白札です。
このFFPでは、Status Credits が距離と予約クラスによって定められていて、年間積算値で次年の会員レベルが決定します。BAの Tier Points と同じシステムです。さらに言うと、QF の Status Credits は BA の Tier Points と近い値で、会員基準もほとんど同じ。したがって上級会員になる方法も、 BA と QF で似てきますが、QF の方がかなり楽*になる人がいます。
*2社で違いが大きくなるケースがあり、その場合は極端になるのでした。HND-HKGのCX 利用では、QFのStatus Creditsは格安eco 20、flex eco 40、PY 40、business 80、First 120。BAのTier Pointsは順に 5, 10, 20, 40, 60ですから、雲泥の差。
Frequent Flyer - Flying Qantas & Partner Airlines - Points Calculators - Earning Points
会員レベルは、ブロンズ、シルバー(ow Ruby)、ゴールド(ow Sapphire)、プラチナ(ow Emerald)、プラチナワン(ow Emerald)。一年間に必要なStatus Creditsは、プラチナ会員1,400(維持は1,200 )に対して、プラチナワン会員は 3,600(そのうち 2,700 は QFのフライト。ちなみに維持も同じ)と倍以上の大変さ。
なお全上級会員に QF のフライト、年間4搭乗が要求されます。
プラチナ会員になるのは比較的簡単。必要なStatus Creditsは、
NRT-HKG-BKK の CX ビジネス 5 往復(維持なら 4 往復と少し)
とか、
HND-SIN-SYDの QF 割引エコノミー 11 往復(維持なら 8 往復)
とか、
HND-ITMの JL 国内線ファースト 14 往復(維持なら12 往復)
oneworld Emerald の黒馬と言っても良いかもしれません。しかしプラチナワンはハード。Status Crédits が2.6倍~3倍になること以上に、QF利用の義務が重くのし掛かります。それならQFだけと割り切り、HND-SYD 単純往復で達成するなら、
最格安エコノミー 60往復
割引エコノミー 45往復
フレキシブルエコノミー/格安プレエコ 30往復
ビジネス 15往復
ファースト 10往復
必要です。「1年間でこんなに飛ぶなんて、考えただけでゾクゾクする」という方は、極めて少数でしょう。現実にはいろいろと困難が待ち構えているはずですが、計算の上では無理なくできそうです。**
**と言うのも、シドニーは東京の日帰出張圏だからです。普通の時間に空港へ帰宅、空港から出勤するなら、SYD往復は1日で出来ます。しかも現地滞在は昼の12時間。オフィスを空けるのは一日だけ、は本当に可能です。1年には52週末あるので、45往復なんて何とかなりそうなのでした。
プラチナワンの特典は、プラチナ会員のものに加え、
・パートナーにプラチナ会員資格
・アップグレードを受ける最優先カテゴリー
・プラチナワン・チームの利用(無休の24時間電話サービス)
・特典航空券枠の大幅拡大
・予約費や諸手数料の免除
・ラウンジ招待2名可能
・国内線の搭乗当日の予約繰り上げ無料
・エコノミークラスの有料指定席の費用免除
・席指定の拡大
などで、控えめな印象を受けます。The Concorde Roomへのアクセスを除くと、BAの GGL 会員の特典と同程度。
利用すると QFには BA と似た雰囲気があることがすぐ分かりますが、上級会員制度も似ていました。Emerald レベルではQFの方が簡単に到達できそうですが、その上は BA の方が楽です。利用会社限定の有無が差を生み出します。どうでも良い事ですが、ついで比較するなら、紅茶はQFの圧勝。