PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

最近の特殊フライト3件

2018年に行われた日本2件、イギリス1件のイベントを紹介します。お国柄が出るのでレガシーキャリアは面白い、そういうお話です。残念ながら、昨年12月に実施された ANA の LAX発 LAX 行の周遊フライトは取り上げていません。

 

ひなまつりフライト

今年もありました。JAL「ひなまつりフライト」。10回目の今年、羽田発大分行の663便で実施。このイベントは、整備から運航まで全て女性スタッフが行うという趣旨。今年に限って言えば、女性機長のスケジュールが組めず、機長だけ男性になったとのことです。

JAL:女性だけのひなまつりフライト 10回目ほぼ満席 - 毎日新聞

ひなあられが配られたと記事にありますが、この日は日本中のJAL空港カウンターで配っていたのではないかと思います。

 

ANAはこれほど歴史は持たないものの、同様のイベントを毎年行っており、今年は羽田発石垣行で実施。今年、機長も女性と徹底できた ANA。エッヘンですね。取材を受けてJALとの違いを強調したためか、表題にも書かれてしまいました。

ANA、機長もCAも女性の「ひなまつりフライト」を羽田~石垣線で実施 グループ各社の女性スタッフが乗客にひなあられをプレゼント - トラベル Watch

「ひな祭りですから、ANAではもちろん機長も女性です。」なんて、言ったのではないかと想像しますね。

 

女性人材活用のPRとして意義深いひなまつりフライト。企業としては同様に、男性スタッフのみによる端午の節句フライトも実施すべきですが、現時点では JALANA も能力不足だと思います。両社とも男性客室乗務員は少なく、顧客は客室乗務員が男性ばかりでは違和感を覚えるでしょうから。

JALは毎年、こいのぼりフライトで客室乗務員が男ばかりのフライトも行っているようですが、こちらの人気はどうなのでしょうか。男性客室乗務員の割合は非常に低いので、珍しさから言えば、ひなまつりフライトより断然こっちですが、このイベント目当ての搭乗客の割合はいかがなものでしょうか。

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初日の出フライト

こちらも毎年行われているようです。JALの場合、JALパックの商品です。

2018 初日の出 初富士フライト・旅行ならJALパック

今年は767-300ERで運航。1列しかないファーストクラスの窓側2席は、2人分140,000円と手強い価格。人気をうかがわせます。クラスJでも、窓側は2席で100,000円。ちなみに、窓側席は必ず2名で予約、1名だけのキャンセルは不可となっています。2名セットで販売し、座席ばらばら確約というユニークな旅行商品。

 周遊フライトなので、当たり前のことながらチャーター便。JL1811便は201811日に因んでつけられたフライト番号と、こだわりも見せます。

 

植木社長が同乗するとか、見送るとか、出発前セレモニーで24歳から60歳までの年女社員が集結するとか、着陸後イベントで豪華賞品の抽選会があるとか、かなり仰々しいフライト。盛りだくさんなので、料金も高くないと思わせます。

 午前5時51分羽田10番スポット発、午前7時53分羽田10番スポット帰着と、早起きが必要なフライト。

 

ANAも類似の旅行商品があります。と言うのは失礼で、JALよりも取り組みが早かったはずです。JALよりも国内の客を大切にするANAは、羽田と中部国際の2か所で実施。羽田の機材は国際線仕様のB787-8と、JALよりも豪華。

ANA:今年も人気、中部空港発着の初日の出フライト - 毎日新聞

 

Pechedenferは、この種の周遊フライトの経験はありません。予約した便が運休、翌日に振替えられ、図らずしもニッポンの初日の出を British Airways の First Class で迎えたことならあります。

BA7:LHR-HND ファースト(その4) - バス代わりの飛行機

2016の一番 - バス代わりの飛行機

 

要は、12月31日 LHR 発の BA7 便に搭乗すれば、かなりの確率で初日の出が拝めることを意味します。A席(ポートサイド窓側席)なら日の出、K席(スターボードサイド窓側席)なら富士山です。

 機上のご来光が目的なら、初日の出フライトはかなり高価。しかしオタクが少なければ、めでたさに華を添える良い旅行商品。2席セット販売というオタク封じへの工夫も見られるので、楽しめるイベントになっているのではないかと想像します。

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オーロラフライト

これは Aerobility Aurora flight というイベント。Aerobilityは障害者に飛ぶ機会を与える British Airways 関連の慈善団体です。

British Airways - BRITISH AIRWAYS AEROBILITY CHARTER TAKES TO THE SKIES TO VIEW THE NORTHERN LIGHTS AT 30,000 FEET

この BA の広報、魅力的かつ平易な言葉遣い。

 

2018年 2月24日夜 London Gatwickを出発したチャーター便。フライト前に専門家の講義があるという本格的なお勉強イベント。A320にもこの専門家は同乗し、星座や様々な空の光の解説が、PAシステムを使って絶えず続けられたとのこと。機外の夜空を見続けることにより、オーロラの微弱な光を観察するために眼を慣らすのです。

 

上空 30,000 feetにおける北極オーロラは、シェットランド諸島の北方で観測できました。

 

機長の Ian Mills の弁によると、

“... British Airways is incredibly proud to be able to support this special charter flight and we are delighted that we’ve played a part in helping raise money for a fantastic cause.”

と、自分の仕事の意義を宣伝、殊の外誇らしげ。

 一方、Aerobility の CEO、Mike Miller-Smith も、

“... and with the help of British Airways, tonight has been a great success. Aerobility supporters and the British Airways crew have been fantastic.”

と、BAのサポートを讃え、一仕事終えて満足といった様子。

 

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2012年に Mike Miller-Smithは、BAのパイロットフォーラムで身体障害を持つ旅客について講演を行い、聴衆に大きな衝撃を与えました。それから BA とのかかわりが深まり、2013年に AerobilityはBA が支援する慈善団体の一つになりました。