PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

スカイトラックス2018

ようやく発表されましたね。Skytraxの航空会社ランキング。

World Airline Awards | SKYTRAX

年々ほころびが目立ち、世界中で信用できないというメッセージが飛び交うようになりました。その傾向に危機を感じたのか、今年は発表準備に時間をかけたようです。例年より1月遅い発表となりました。

 

ということは、航空各社が自社の成績を機内誌に掲載するのは9月号になります。 Skytrax は評判が芳しくないからと、今年は無視を決めこむ会社が出そうです。お祭り騒ぎとして見れば、まだまだ存在価値はあると思いますが、信頼性なら TripAdvisorの方がましでしょう。

 

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この界隈における最大のニュースは、JALが5つ星航空会社になったことでしょう。もちろんその結果、ANAが長年使ってき(て、多くの旅客に嘲笑されてき)た ”Japan's only 5 star airline” というコピーが使えなくなるからです。この(冴えない)表現はあまりにしつこく使われ(、笑いのネタとして定番化し)たため、突然止めるとさらに嘲笑されそうです。コピーのフェードアウトが望ましいのですが、何か方法はあるのでしょうか。

 さらにANAには、JALを意識した新しい宣伝フレーズを考えるという課題もできました。どんなものになるのか、ANAウオッチャーの皆さんは楽しみですね。

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今年から始まった、各航空会社別のベストランキング。何が新しいかというと、細かく条件を設定して、無数の「その中でベスト」を創設しました。こうすると、数多くの航空会社を「ベスト」にすることができます。Skytraxが世界で影響力を保とうとして必死になっていることが見えてきます。

A-Z Airline Awards Winners 2018 | SKYTRAX

アフリカで一番清潔なキャビンとか、フランス一番のキャビンクルーだとか、どうでも良い気もしますが、この試みの成功、失敗は、桂冠を受ける航空会社が宣伝に利用するかどうかで決まります。航空各社のサイトや機内誌に注目。

 

「俺たちゃ、JALより格上だ」と ANA が宣伝に使えそうな項目を探してみると、

World's Best Airline Cabin Cleanliness

ではダメで、やはり

Best Cabin Crew in Japan

でしょうね。世界一は「機内掃除」だけですが、「ANAが誇る日本一のエクセレントなキャビンクルー」の方が、使い勝手が良さそうです。

 アジアベストスタッフも、状況に応じて使えるかもしれません。「ANAが誇るエクセレントなスタッフはアジア一であることが認められました」とか、どうでしょう。

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次に見るべきは、ANAは無関心なように振る舞うでしょうが、気になって気になって仕方がないはずの JAL の評価。世界一はひとつ。

Best Economy Class Seat

ここはほとんど JAL の指定席ですね。

 

この数多くの「航空会社別ベスト」を眺めていて、いろいろ気が付きました。

 

プレミアムエコノミーに関する賞は、このクラスの性格が中途半端なので、どうしても存在感がありません。ちなみに Air New Zealand

Best Premium Economy Class

Best Premium Economy Class Seat

Aeroflot が

Best Premium Economy Class Onboard Catering

を受賞しています。しかし慣れた旅行者は、逆にこの賞に興味を惹かれると思います。Aeroflotの「プレミアムエコノミー機内食がベスト」なんて、いろいろな次元で意外です。多分、買いが正解。

 

Air Franceのサービスは一般に評判が悪いのですが、ファーストクラスだけは別。機内食、ラウンジ食、アメニティで世界一になっています。これだけ揃えば、ベストファーストクラスになっておかしくないのですが、これは Singapore Airlines が持っていきました。世界一となった新シートのおかげでしょう。

 見えやすく、話題性のある要素が過剰評価されるのは明らか。Skytraxが幼稚に見えてきますが、お祭りだと考えればこの傾向は歓迎すべきかも。

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存在自体に意味がなさそうな賞も相変わらず設けられています。Plaza Premiumの

World's Best Independent Airport Lounge

とか、Star Allianceの

Best Airline Alliance Lounge

とかがそうです。説明は必要ないでしょう。権威だの、信頼性だの、Skytrax に求めてはいけません。

 

さて、個人的に面白いと思ったことを並べましたが、少しバランスを考えて全体を見てみます。

 

昨年 Lufthansa がリストに載り、Skytraxの信頼性消滅に大きく貢献した The World's 5-Star Airlines。2018年は JAL が加わり、合計11社になりました。

ANA, Asiana, Cathay Pacific, Etihad, 長榮航空, Garuda, 海南航空, JAL, Lufthansa, Qatar, Singapore

です。「はあ?Lufthansa?」には同意しますが、もっと凄そうな会社もリストに入っています。今さら何を言ったって始まりません。JALがこの評価をどう使うか、見ものですね。

 

航空会社ランキングのベスト10は、

1 Singapore, 2 Qatar, 3 ANA, 4 Emirates, 5 長榮航空, 6 Cathay Pacific, 7 Lufthansa, 8 海南航空, 9 Garuda, 10 Thai

でした。 表彰台の3社は昨年と変わらず。金と銀は交代しました。

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ベストビジネスクラスは、

1 Qatar, 2 Singapore, 3 ANA, 4 Emirates, 5 Etihad, 6 Qantas, 7 Cathay Pacific, 8 Lufthansa, 9 Turkish, 10 長榮航空

でした。1~4位のメンバーが航空会社ランキングと同じ。ビジネスクラスが航空会社の顔であり、目立つのは間違いなさそうです。さすがにこのクラスでは Qatar Airways は圧倒的な強さを見せます。食料が多量かつ多様ですから。

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エコノミークラスでは、

1 Thai, 2 Singapore, 3 Qatar, 4 Emirates, 5 ANA, 6 Cathay Pacific, 7 Garuda, 8 長榮航空, 9 Lufthansa, 10 JAL

とタイ航空が昨年に続きトップ。機内食の量が多いからでしょう。もちろんタイですから、食の質が悪いはずありません。

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きりがないので、このぐらいにします。ANAに関するローカルな状況の変化を除くと、あまり変わり映えしない2018年でした。