PECHEDENFERのブログ

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ANAプレミアムメンバーサービスに「ブルーダイヤモンドサービス」の追加

par Poix Sonde à Vryl

 

4月1日、ANAは最上級会員サービス「ブルーダイヤモンドサービス」を開始すると発表した。ANAによると、頂点を極める顧客への新たなプレミアムメンバーサービスとのことである。

 

世界最高の「5スター」評価を6年連続で獲得している ANA。世界レベルで極上のサービスを提供していることはつとに知られる。そのANAでも選ばれたお客様に提供されるプレミアムメンバーサービス。

 

プレミアムメンバーサービスにはランクがあるが、最上となるのが「ダイヤモンドサービス」である。「ダイヤモンドサービス」メンバーになることが目的化し、用務がない旅行のために ANA に搭乗する修行僧が多数いる。「ダイヤモンドサービス」はそれだけ魅力的なのだ。

 

何かと比較されてきた JAL はすでに時代から取り残されている。唯我独尊状態になってもおかしくない ANA だが、サービス向上に終わりはない。プレミアムメンバーサービスのコンセプトは、「いつもの空に、新しい感動を。」であるが、人間は慣れるもの。毎年修行で維持する「ダイヤモンドサービス」であっても、結局飽きがくる。そうした顧客へ「ダイヤモンドサービス」を超える「ブルーダイヤモンドサービス」で応えるANA。メタル会員の制度化に手間取っている JAL を大きく引き離すことになろう。

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しかしそのサービスには、極上が要求される。現在の「ダイヤモンドサービス」でも膨大な修行僧を魅了して止まないのに、それを超えるサービスは可能なのだろうか。筆者は最初疑問に思った。しかし ANA の発表は、期待以上のものだった。

 

ブルーダイヤモンドサービス」の立案に当たって、ANAは「ダイヤモンドサービス」メンバーの嗜好と現状への不満を徹底調査したようだ。筆者が感心した新機軸は、以下の通り。

 

(1) ダイニング h :開始時刻から30分間のシート予約。「ブルーダイヤモンドサービス」メンバー本人の席のみだが、出発48時間前までなら予約できる。「ブルーダイヤモンドサービス」のために毎晩4席のシートが確保される。基本的に相席だが、予約が多い日はスツールの補助席を使い、通常2人掛けのテーブルを3人で利用する。やや窮屈になるが、入室順番待ちの間に限定ステーキが無くなるという ANA 最大の悲劇が回避できる。

 

(2) SUITE LOUNGE シャワーを20分間の利用予約。「ブルーダイヤモンドサービス」メンバーの利用のみ、出発24時間前まで予約できる。予約が多い時間帯は相部屋になるが、あの混み合う SUITE LOUNGE シャワーを確実に使えるというプリビレッジは、メンバーに満足感を与えるだろう。

 

(3) 壁設置型機内フットレスト貸出し。バルクヘッド席を予約した「ブルーダイヤモンドサービス」メンバーに限定。バルクヘッド席で、前方の壁に両足をかけて移動する「ダイヤモンドサービス」メンバーが多いことを受け、ANAは着脱可能な平面フットレストを開発した。機内のキャビン仕切壁に取付けて利用する。販売も行う予定なので、マイフットレストとして持参することも可能。このフットレストを取付けない客には、「引き続き NO STEP をお願いする」とのこと。

 

(4) お履物預かりサービス。搭乗直後に靴を脱ぎ、スリッパや靴下のまま移動する「ダイヤモンドサービス」メンバーは多い。「ブルーダイヤモンドサービス」では、フライト中に靴を預けることができる。ただし専用下駄箱に制限があり、長いブーツは貨物室に収納される。この場合、到着後ターンテーブルから返却される。

 

(6) 頭上の荷物入れの予約が可能。出発48時間前までに予約。エコノミークラスでも、優先搭乗のため長蛇の列を形成する「ダイヤモンドサービス」メンバー。狭い座席に座る時間をわざわざ長くする理由ははっきりとしなかったが、手荷物を座席真上の荷物入に収納したいという動機が強いことが分かった。この予約サービスにより、搭乗時は行列に並ぶ必要がなくなるかもしれない。予約するとシート番号入のプラスティック枠が棚に設置される。この枠は手荷物の最大寸法に合わせてあるため、寸法が規定を超える場合、収納不可能になる。この場合は貨物室お預かりになるとのこと。

 

(5) プレお手洗タイムの利用。シートベルト着用サイン消灯直後にトイレ混雑が起きることを受け、ANAはプレお手洗タイムを設定する。実施時期は未定。シートベルト着用サインが消灯する2分前からトイレが利用できるということだが、当初は「ブルーダイヤモンドサービス」メンバーのみが対象となることが決まっている。

 

(6) 優先降機。多くの「ダイヤモンドサービス」メンバーは、エコノミークラスのキャビンに優先搭乗するが、降機時はそのような優先サービスはない。つまりツアー客、非会員、平SFC と同じ扱いをされる。メンバーによってはこれは積年の鬱憤となっていたが、「ブルーダイヤモンドサービス」でようやく解消される。

 

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なお「ダイヤモンドサービス」で提供されるサービスは、全て「ブルーダイヤモンドサービス」に含まれる。

 

ANA をよく使う人間なら思うだろう。これらの新サービスは、「ダイヤモンドサービス」メンバーには垂涎の的になると。修行僧はより修行に励み、会員格差は広がると思われる。

 

というのも、「ブルーダイヤモンドサービス」メンバーになるためには、1年間に300,000 プレミアムポイント(内150,000プレミアムポイントはANAの搭乗による)獲得する必要があるからである。最近、100,000プレミアムポイントを超えるとそれ以上 ANA に搭乗しても無意味だと考え、以後の搭乗をJALに切り替え、JALでもダイヤモンド会員になろうとするメンバーが増えているそうである。こういう不埒なメンバーはいなくなるだろう。

 

プレミアムメンバーの期間や事前サービスに関しては、「ダイヤモンドサービス」、「プラチナサービス」、「ブロンドサービス」と同じ規則が適用される。