PECHEDENFERのブログ

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マレーシア航空のセールとビジネス・スイートの価格

マレーシア航空は、セールを行っている日数とそうでない日数が同じぐらいでしょうか。日本発の航空券では、6月14日金曜日まで1か月にわたるセールを行っていました。これはすでにブログで紹介したセール

マレーシア航空のセール - バス代わりの飛行機

が期間延長されたものです。売れ行きを見ながら、調整している様子がうかがわれます。

 

ところでマレーシア航空は半年前にファーストクラスを廃止、ビジネスクラスの上に格上ビジネスクラスを設けました。名前はビジネス・スイート。

マレーシア航空ビジネススイート - バス代わりの飛行機

理由は「ビジネス旅行をする客には、ファーストクラスが許されない場合がある」ためだそうです。サービスとしては、それまであったファーストクラスから何が変わったかよくわかりません。ちなみに彼らがセールを行う時は、ビジネス・スイートも対象になっています。

 例えば直前のセールで、東京ーバンコク往復(KUL乗継)を買うとします。ビジネスクラスを指定すると最安値が約145,000円、ビジネス・スイートを指定すると最安値約200,000円でした。クアラルンプール ― バンコク間はビジネス・スイートの設定がないので、どちらの場合でも通常のビジネスクラスとなります。

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BKK-KUL線のビジネスクラス機内食

この2種の航空券、差額は55,000円になります。パリの3つ星レストランの夕食一人前、香港の一流ホテル一泊分に匹敵し、それなりにしっかりした差です。しかし以下に挙げる2つの観点から考えると、価格差はかなり微妙なものに見えてきます。

 

(1) マレーシア航空のサイトで航空券を購入すると、数時間後に MHüpgrade の案内が届くことがあります。主にエコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードオークションを想定しているプログラムですが、ビジネスクラスからビジネス・スイートへのオプションもあります。エコノミーからビジネスへの最低ビットで、最近片道37,500円という数字を見ました。ビジネス・スイートはさらに上でのアップグレートですので、37,500円より高くなるでしょう。ファーストクラス時代には片道6万円台の最低価格を見た記憶があります。航空券購入時における2つのクラスの価格差より、事後アップグレートのMHüpgrade の方が高額になる可能性が高いのでした。

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それなら最初からビジネス・スイートを購入して、正規の有償客になる方が良いに決まっています。

 

(2) 上記セールにおいて、ビジネス・スイートの予約クラスを見ると P でした。つまりビジネス客(とその経理担当者)向けの名称とは裏腹に、これはファーストクラスです。例えば British Airways での Avios や Tier points の積算では、マレーシア航空の P クラスはファーストクラスに分類されます。予約クラスがどこまで本質を表すかという問題はありますが、

ビジネス・スイートは、ビジネスクラスの皮を被ったファーストクラス

のようです。

 実利的には、獲得できる Avios や Tier points も大切。実は Avios には大した違いはありません。しかし Tier points については、予約クラス P は J, C, D, Z の 1.5 倍獲得できます。例えば上で価格を紹介した NRT-KUL-BKK 往復の場合、ビジネスクラスで予約すると Tier points は 360 ですが、ビジネス・スイートで予約すると Tier points は 500 となる計算です。ビジネス・スイートの方が、Tier point の単価は安いぐらいでした。

 このセールで NRT-KUL-LHR 往復のビジネス・スイートは 288,000円~となっていました。この区間ではすべてPになるので、獲得できるTier points は 900 になるはず。最安値で購入した時の Tier point 単価は、羽田ー伊丹往復、特便割引1のクラス J 程度になります。

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マレーシア航空の狙いにはよくわからない部分があります。ただしファーストクラスの名称を復活させる余地を残しているのは確実です。

 現状ではビジネスクラス比でサービスが優れているかどうか、価格の差が適当かどうかについては、体験してみないとわかりません。人によっても評価は違うでしょう。また他社会員プログラムで計算通り加算されるかどうかについても、最終的には搭乗してみないとわかりません。しかしながら価格を細かく検討してみると、セール時のビジネス・スイートは大変お得な航空券という気がしてきます。

 

ビジネスクラスがそこそこ高くなり、British Airways の Executive Club の会員資格更新に関しては、魅力が失われつつあるマレーシア航空。「邪な」考えを放棄すれば、別のものも見えてくるというお話でした。