PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

CX659:HKG-SIN ビジネス(その1)

波乱含みだった8月12日出発のキャセイの4発。往路の搭乗記がようやく準備できました。ブログは時間がかかるので、もどかしい限り。ところで12日の香港国際空港の閉鎖でそこに向かう旅行者がどうなったか伝えるより、混乱が続く翌13日に空港がどういう状態だったか伝える方が面白いと思います。そこで時系列の上では後になりますが、HKGからの乗継ぎ便の記事を先に公開します。時間的には

2019年8月12日。出国中止スタンプ。 - バス代わりの飛行機

に接続する話です。

 

アサイド出発ホール

乗継のためのセキュリティチェックポイント。時々長い列が形成され、ストレスの原因になりますが、今日は乗継客が自分を除いて皆無。本当に一人だけだったので、すぐ通過できました。世界中で旅行をキャンセルした客が多いのかと気を引き締めます。

 

出発階では、確かに人がまばら。

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接続時間は6時間以上あります。しかし一度外に出ると、ここに戻って来られない気がします。仕方がないので、The Wing に籠ることにしました。このラウンジは、デモ隊が集中しているランドサイドのチェックインホールのすぐ近くに位置します。デモの様子が伝わってくるだろうと予想したのですが、ネタを拾いに行ったわけではありません。音声だけでも生で聞くことは、リスク管理に役に立つと思ったからです。

 

ターミナルビルの出入口に近づくにつれ、人が増えてきます。商業施設は平常通り営業していました。物品の供給が滞っている様子はなく、物流に重大な問題が起きているわけではないことがわかります。

 世は月餅のシーズン。改めて今年の香港は大変だと感じます。

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フライトのことで頭がいっぱいで、Peninsulaの月餅を買い忘れました。

 

偽りの発着案内

空港閉鎖の翌日なので、本日13日も影響は残っているはずだと、フライト表示板をチェック。

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13日になっても、そこそこキャンセルがあります。

 

しかしこの表示板にも一癖ありました。一筋縄ではいかない中華社会。

 

この後、ラウンジ内で断続的にツイッターをチェックしましたが、ターミナル 1のチェックインが中止されたというニュースが入ってきます。多くの出発便がキャンセルになったというニュースも入ります。常識的に判断すれば、風雲急を告げる展開。

 The Wing 内のフライト情報掲示板は常時消えており、発着情報は皆無の状態。そこで CX659 が飛ぶのかどうか受付で尋ねたところ、出発ゲートを教えてくれました。そして

「ターミナル内 (=エアサイド) ではキャンセルと表示されるフライトがあるけれど、外 (=ランドサイド) と内のデジタル掲示が連動しているからそうなるだけ。(キャセイ運航分に関しては)全部出発するから気にしないで。」

と包括的な注意を頂きました。とんでもない事をさらりと言うものです。これは、空港当局が出発案内を意図的に偽って表示していることを意味します。

 

ラウンジを出た時(14日0:30頃)、再度この電光掲示板をチェックすると、乗るべき CX659 もキャンセルと表示されています。一方でラウンジで聞いたとおりのゲート番号が表示されています。キャセイ嬢を信じてそのゲートに向かったら、普通に搭乗準備をしていました。

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以上のいきさつは、このブログを時々引用して下さる@naomi_jgcsfcさんの疑問にかなり重なります。この方、香港が重要な活動場所のようなので、一般人より優れた情報分析力をお持ちのはずですが、やはりストレートに真実にたどり着くのは難しいようです。事態の特異性を物語ります。

 

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https://twitter.com/naomi_jgcsfc/status/1161675004590739456

 

ブログでの対応では情報の鮮度は落ち、役に立たない読者サービス(?)になりますが、その時現場にいた身としては、見聞を提供する必要性を感じていました。

 

個人的には、リスク管理に関して良い勉強ができました。

 

まず中華社会の情報操作では何でもありだということが認識できました。こんな単純なことをやったら、他の国では後でばれて必ず叩かれます。ばれるかどうかは問題にならず、可能にしてしまうのが中華社会。さらに大空港の非常時には、様々な情報が行きかい、真実を見極めることが難しいこともわかりました。その一方で、この地では秩序を保つための仕組みがよく機能することも認識できました。なかなか奥深い世界です。

 

ラウンジで得られた回答から、当局が意図的に偽りの出発情報を公にしていたことは間違いありません。しかしその意図はわかりません。個人的にはチェックインで不満を抱き、騒ぎ出す搭乗客が出ると、混乱に輪をかけ、収拾がつかなくなるから騙したという線が強いように思われます。つまり死傷者を出さないための方便だと考えます。確かにその場から離れた方が本人のために良かった可能性が高く、そのための親心と取れないこともありません。いずれにしても当局は後日、いくらでも言い訳ができます。