PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

距離制を維持するフライングブルーの航空会社

この会社のマイレージプログラムもフライングブルーですが、AF や KLMとルールが大きく違うという不思議なお話。

 

エアカランとは

成田空港にも就航しているのでご存じの方が多いと思いますが、Aircalinというフランス籍の航空会社です。ヌーベル-カレドニーの Nouméa が本拠地で、南太平洋に路線網を持ちます。地域外へ出る路線は、NOU-NRT、NOU-KIX (週2便)と、タイチのPapeete から西海岸 PPT-LAX の3つ。

 ヌーベル-カレドニーは航空会社を運営する力がないので、旧宗主国のフランスが地域のために運営してやっていると考えがちですが、これは少々誤っています。ヌーベル-カレドニーもタイチ(フレンチポリネシア)もフランスの海外領土(collectivité d'outre mer, COM)。フランスの一部なので、フランス籍という理解で問題ないと思います。南太平洋には他に Wallis et Futuna というCOMがあります。この3つのCOMの交通インフラを構成する Aircalin。

 一方、同じCOMでも自治政府をもつフレンチポリネシアの航空会社、Air Tahiti Nui自治政府が親会社ということもあり、ポリネシア籍。この辺は少々ややこしいことになります。フランスとしては、COM はさっさと独立して平和な友好国となってもらいたいはずです。歳出を大幅削減でき、影響力は温存できるからです。現状では、少しずつ努力が実を結んでいるところと、そうでないところとまだら模様のようです。

 

上に挙げた3つの長距離便以外には、NOU-BNE, NOU-MEL, NOU-SYD, NOU-AKL, NOU-NAN, NOU-VLIという国際線があります。すべて合わせても、就航地は12にしかなりません。遠距離を成田まで毎日飛んで来ることから、そう感じられませんが、本当に小さな会社です。 保有機数も 6(A330 x 2, A320 x 2, DHC-6 x 2)。

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エアカランのフライングブルー

さてこの航空会社、小さくてもマイレージプログラムを持ちます。それはフライングブルー。フランスがらみで Air France のプログラムを使っているという理解で良さそうですが、Nouméa にパリ直行便がなく、成田で AF と SB が乗継ぎを行う点も重要です。つまりフライングブルーは、フランス人の集客に役立っているはずです。

 一方、PPT-CDGは AF も TN もLAX経由ですが直行便をもちます。いずれにしても南太平洋は欧州から遠いため、途中経由地が必要です。同じ域内の領土でも、一つの主要都市は東回り、もう一つの主要都市は西回りになります。ダイナミックなお話。

 

さてFFPはフライングブルーなのですが、他社とは運用法が異なります。一番大きな違いは、マイルが距離制で加算されることでしょう。加算率と予約クラスの関係は以下の通り。

f:id:PECHEDENFER:20190903131515j:plainさらに、会員レベルで加算されるボーナスマイルも改悪前の率を維持しています。

ブルー  +0%

シルバー +50%

ゴールド +75%

プラチナ +100%

 

マイルの積算に関しては、改悪以前の形で運用しているのでした。今、フライングブルーは支払金額制になり、 1 €あたりブルー会員 4 miles、シルバー会員 6 miles、ゴールド会員 7 miles、プラチナ会員 8 milesが加算されます。Aircalinといえども、距離制の方が支払金額制を導入する場合より、マイルは大きくなります。

 

またスカイチームには加盟していないのに、xp が加算されます。エコノミークラス利用の場合、加算されるxpは以下の通り。

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これはフライングブルーの路線距離と xp の関係に一致します。ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスの表が見当たらなかったのですが、多分フライングブル―の xp 一覧表と同じでしょう。つまりビジネスクラス利用で3倍、プレミアムエコノミークラス利用で2倍になるものと思われます。ただし、これは航空券を買う前に確認した方が良さそうです。

 

NRT-NOUのビジネスクラス往復で 2,000 €ぐらい。もしゴールド会員だったら、

獲得マイルは、17,392 miles (獲得 xp は、恐らく 60 xp)

支払金額制が導入されているのだったら12,000 miles

と、大きな開きがあります。

 

なお細かい点でフライングブルーと異なることがあります。例えば Wallis と Futuna 間の路線は国内線になりますが、xp は加算されません。

 

他にも妙な特徴

フライングブルー改悪以前には、この航空会社の搭乗は資格マイルの対象外でした。Aircalinの上級会員になるためには、自社にいくら乗っても意味がなく、提携他社(スカイチームの航空会社)に乗らないとダメという不思議なプログラムでした。それが xp 加算対象となり、めでたしめでたし。

 Aircalinのサイトでは、NRT-AKL なんて航空券も売っています。ビジネスクラス往復が30万円強ぐらいですので、エアニュージーランドを意識しているようです。

 

面白い会社です。xpを貯める方法として効率は良くありませんが、選択肢として忘れないようにすべき航空会社でした。