PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

MH71:NRT-KUL ビジネススイート(その3)

名前はビジネスで中身はファーストなのか、ファーストを名乗れないほど簡略したサービスなのか、それとも何か新しいことを始めたのか----マレーシア航空独自のビジネススイートは、搭乗しないとわかりません。検証の最終章です。

 

アメニティ

パジャマ:MH71は午後 9:40 頃成田を出発して、早朝4:00過ぎにクアラルンプールに到着します。(冬場はそれぞれ50分ほど遅くなります。)大雑把に言うと機内サービスは、①離陸後大急ぎで夕食を出す、②到着30分前に叩き起こすです。フライトの時間帯から、搭乗客の睡眠は前提。理想を言えば、寝衣に着替えて就寝するのが望ましいのですが、全キャビンの客がそれを行うのは物理的に無理。幸いなことに現代の客の多くは、着替えなくても寝る程度にはものぐさなので、問題にはなっていません。

 

ファーストクラスでは、できることは何でもサービスするという思想の下、夜便ではパジャマを配布します。マレーシア航空のビジネススイートでも、パジャマは配布されます。

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単純なデザインながら赤がアクセントに入っていて、エコバッグにも使えそうな袋。中身はパジャマ上下、スリッパ、アイマスクでした。

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やはり赤がポイントカラー。この品は約 4,000円で一般販売されていたはず。力が入った製品なのでした。この点は十分ファーストクラスで通用します

 

マレーシア航空のビジネスクラスでは、体験した限りではパジャマの配布はありません。

 

余談ですが、日本路線のビジネスクラスでは時々スリッパが配布されます。上の写真のものと異なり、畳んだ厚さ2、3 mmとペラペラです。日本人のアテンダントが乗務している時は、ほぼ確実に配布されるので、配るか配らないかの差は、覚えているか忘れているかの差なのでしょう。この辺は気まぐれなマレーシア。

 

アメニティとその袋:ビジネススイートでもビジネスクラスでも化粧品、身づくろい用品が入ったアメニティが配布されます。二つのキャビンでどう違うか比較する必要があります。

 実は最近、両キャビンともアメニティを刷新しています。Business Traveller 9月号で紹介されていました。

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ケースは共に Aspinal of London になりました。ビジネスクラスは昔々の集金カバンの形状、ビジネススイートはカステラの形状と、差をつけています。

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開けてみて、内容を改めます。ビジネススイートのもの

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ビジネスクラスのもの

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全く同じに見えます。一品ずつ細かく見ると、共に

 

・米油配合ボディクリーム, PAYOT (Paris)

・保水リップクリーム, PAYOT (Paris)

・マウスウォッシュ, Hager & Werken

・歯磨きキット, マレーシア航空 (例のあれ)

・靴下, 不明

アイマスク, 同上

・耳栓, 同上

・クシ, 同上

 

となっています。実は靴下の長さが少し違いますが、無視してよいでしょう。まさかの共通アメニティ。2つのキャビンクラスで中身が同じだという事に驚くがあまり忘れてしまいがちですが、その辺にあるもので間に合わせました感も一級です。

 

ビジネススイートでは、アイマスクが重複しますね。さすがマレーシア航空。何だか安心しました。

 

ネガティブな点を暴露

マレーシア航空には都合が悪いことを暴露しましょう。東京(成田)路線は週 5日 2往復です。往復共に昼便と夜便がありますが、機内食のメニューは全部で3種類。何と成田発クアラルンプール行は、昼便(MH89, 10:20発)のランチ

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でも、夜便(MH71, 21:40発)のディナー

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でも、メニューが同じです。

 

成田搭載の機内食では、昼飯と晩餐が同じ。これはコスト削減には有効でしょう。しかし「こんな上級キャビンで、それはありか?」という気になりませんか?

 マレーシア航空の機内食は、全てハラルです。ハラル機内食を非イスラム国で用意するのは大変。この辺の事情もくみ取って、ここは「食べ物の恨みは、何たら」系の文句は無しということでお願いします。それからメインは chef on call も利用できます。万が一、NRT-KULを毎月往復する人生を送るようになったら、そちらも挑戦してみてください。

 

結局どうなのか

大抵の場面で、ファーストクラスと考えて何の問題もありません。一方で世の標準的なビジネスクラス並みか、それ以下に感じられる要素も少数見つかりました。安かろう悪かろうの「ファーストクラス」より、ビジネスを超えるキャビンと位置付けた方がイメージの点でも、販売の点でも良いのでしょう。

 

しかしマレーシア航空のことです。頑張ってファーストクラスを運用しても、結局こんな感じに落ち着くと思うのです。格式をかなり意識するのに、間が抜けているのはどうしようもありません。逆に言えば、カジュアルではないのに肩がこらないのが彼らの個性。このキャラが良いのです。

 

ここでは、

 

ビジネスの皮を被ったファースト。ただしマレーシア航空なので 、(以下略。お察し下さい。)

 

という結論にしておきます。

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