PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

アドリア航空の破綻

スロベニアフラッグキャリアにて、スターアライアンスのメンバー。マイレージプログラムは Miles & More と、見かけは一流の会社。今年 9月30日に破産申し立てを行いました。

La compagnie aérienne slovène Adria Airways dépose le bilan

 

この航空会社については、最近記事を書いています。それは、EU261に関する個人への不払いがウィーンで訴訟になり、敗訴、強制執行されそうだったので一便のフライトを中止したという奇妙なニュース。9月5日の出来事でした。

EU261の補償金支払いを渋るメジャーキャリア - バス代わりの飛行機

 

この時、「この規制の完全無視を宣言したようなもの」などと書きましたが、実際には数百ユーロ分の差し押さえでも途端に立ち行かなくなる状態だったようです。いやはや、何と申し上げて良いものか。会社の破綻に際しては、たいてい予兆がありますが、アドリア航空のしょぼくれた客対応、余裕のなさには呆れるしかありません。もちろん訴えた(元)乗客は、見事な骨折り損となりました。儲けたのは弁護士だけ。

 

フルサービスキャリア、LCCに係わらず、少し間違うと経営がすぐ危うくなるのがこの世界のようです。しかも経営リスクが非常に大きいと来ています。戦争、テロ、火山噴火、原発事故など世界中で耳目を集めるような出来事は、どこかの航空会社、あるいは航空旅客輸送全体に大きな影響を及ぼします。固定費が大きいので、旅客が数割も減ると利益は出ません。すぐにでも大赤字などという場合も多いようです。

 

どんな航空会社も破綻の可能性はある一方、破綻してもたいていの場合、代わりの交通サービスが出現するでしょう。時々しか利用しない人は、被害にあう可能性も、極端な不便を強いられる可能性も高くありません。リスクを過小評価しがちなのは、FFP会員ではないでしょうか。マイルの貯め過ぎは、一般的に言って危険。航空会社が破綻しても、ショックを受けない程度にお付き合いするというのが正しいようです。サービス提供者とサービス受容者の間には、そういう距離感が大切。

 

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ヨーロッパでは、国の威信も何となく手伝ってフルサービスキャリアを運営したがるのですが、国は多く、国当たりの人口が小さいため、航空会社が過剰になりやすいようです。構造的な問題です。気になる航空会社があれば、経営がおかしくなる前に搭乗しておくのがよろしいようで。破綻、消滅は世の慣い。