バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

再開する人類の移動

沖縄県は5月、新規感染者ゼロを記録しました。県による「沖縄に来るな」キャンペーンが功を奏したようです。何でもやってみるものですね。

 一方で個人的には、珍しい体験をしました。自動販売機から2000円札が出てきました。東京での出来事です。びっくりですね。久しぶりに見ました。このお札。

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沖縄では流通しているという噂ですが、このご時世に、沖縄に行った人でもいたのでしょうか。それともストックを間違えて使ってしまったのですか。

 

社会の一員という意識に乏しいANA

JALANA の比較という平凡なテーマですが、何となく想像していたことの確認がとれました。ANAJAL に比べてずいぶん欠航が多いのですね。例えば 5月30日(土)の羽田-伊丹で、

 

ANA は枠16、欠航13便、運航3便

JAL は枠15、欠航9便、運航6便

 

ですから、差は明らか。もちろんこの日だけ特別というわけではありません。

 なお 5月31日(日)JALはこの路線で臨時便を一往復運航しました。(つまり欠航9便、運航7便)

 

羽田の発着枠をとる時は強欲ぶりを見せつけた一方、国難に際しては公共機関として使命を果たさないのでは、確実に評価を下げます。少し前の日経系の雑誌に載った社長のインタビューと言い、自社都合で平然と欠航を続ける鉄面皮といい、劣化企業の典型に見えます。これでは社会性が低すぎ。関わりを持つと個人の評価が下がりそうです。ヘリコプター会社が抱いた夢

https://www.youtube.com/watch?v=kc6GyqGPc-Y

は平凡な事業拡大だったようですが、社会に助けられて大きくなったら、それなりの義務を負うということをさっぱり理解していないように見えます。

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これに比べると、英語がいつも無茶苦茶だとか、些事を鼻にかける様子が嘲笑ものだとかは問題になりません。そのうち ANA は多くの日本人に忌み嫌われる逆ブランドになるのではないでしょうか。

 

恋人たちのために国境を開放するデンマーク

疫病蔓延のため、本来行き来が自由な Schengen 域内でも国境閉鎖になっていることは、広く知られる通り。ヨーロッパ各国は、感染がやや落ち着いてきたため、徐々に規制を緩和していますが、それでもまだ国の再始動に手がいっぱい。国境開放には数週間はかかりそうです。

 そんな中でデンマーク。国境を越えた関係で「基本的に6か月以上の交際期間を証明」できれば、入国を許可することになりました。ただし対象はドイツ、スウェーデンノルウェーフィンランドの住民に限られます。宣誓書と証拠を携帯するだけでよいようです。そしてラブレターや写真が証拠になります。

Denmark allows some cross-border couples to reunite -- if they can prove they've been in a relationship for 6 months - CNN

 

デンマーク法務大臣 Nick Hækkerup は、「警察から追加の管理を迫られるかもしれないが、当面はこれで十分」と述べると同時に、デンマークジョークを披露します。

"If it turns out that 500,000 German partners suddenly come to Denmark, then you might say, 'There are probably some who are cheating with the rules.'"

「もし50万人ものドイツのパートナーが突然デンマークに押し寄せることがわかったら、あなたは規則を逃れようとする連中が多分いると言うかもしれないね。」

 

デンマークの人口は580万人。ドイツに50万人もの恋人がいるだなんて、魅力あふれる住民ばかりなのでしょう。規則の弱点を突いて不法入国したいドイツ人が50万人も出るとは、それだけ魅力的な土地なのでしょう。反語的なひねりですが、単純に数字を大げさに言った以上のおかしさがあります。

 

入国審査では自分のもらったラブレターを見せるわけです。想像すると微笑ましい規制緩和

 

中国便は再開へ

Lufthansaは5月30日、疫病蔓延で中断されていた中国への旅客便を再開しました。ヨーロッパの航空会社としては初です。

Virus: un premier vol d'employés européens de retour en Chine | Zone bourse

FRA発TSN着のLH342便で、主にドイツ人の中国駐在員が仕事に戻るために利用しました。次の便は6月3日のFRA発PVG行になるようです。

 

アメリカからは、Delta と United が6月に中国便を再開するようです。都市によっては、ヨーロッパやアメリカよりは感染は抑えられているようなので、今後中国路線再開は続くでしょう。中国の入国時には、自己隔離2週間が義務付けられるのでしょうか。

 

 

日本も含め、ビジネス客には国境開放が進められています。人の流動も少しずつ元に戻りつつあります。

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フランスの規制解除は第2段階へ

日本ではコロナ禍、ドイツでは Coronakrise と新語が生まれましたが、フランスでも déconfinement (脱隔離、脱孤立化、脱封じ込め)という辞書にない名詞が日常語になっています。それは 5月11日から徐々に進められています。

フランスも規制の段階的解除 - バス代わりの飛行機

 

そしていよいよ第二段階が 6月2日(火)に開始します。

Déconfinement : carte, parcs, déplacements... Ce qui est possible ce week-end ou pas

6月からと言うことだったのでしょうが、5月31日(日)は聖霊降臨節で、翌 6月1日(月)が休みと、直前が三連休です。そのため一部は前倒しで解禁されます。

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Parc des Buttes-Chaumontをはじめ、一部の公園は5月30日(土)から再開されました。公園ではマスク着用は強制ではなく、推奨。入口にはアルコール消毒薬の瓶を設置という具合で日本と同様の「新しい生活様式」。

Aux Buttes-Chaumont, les Parisiens goûtent "la liberté retrouvée" dans leur "jardin"

今の季節はフランスの大部分で気候が良くなり、日照時間は長くなります。連休を思う存分楽しめるかどうかは、国民の士気を左右します。政権としては、支持率のためにもできる限りの便宜を図りたいところ。

 

Bd. Haussmannのデパートも 5月28日(木)から営業しています。一週間前の週末と比較すると、パリはすっかり様変わりしていることでしょう。

 

6月2日(火)よりカフェとレストランが再開。リセも再開。海岸、湖も徐々に利用できるようになります。Le Parc Asterix は 6月15日(日)より感染防止措置の下、営業を再開します。

 一番大きいことは、国内を自由に移動できるようになることでしょう。社会からの圧力が非常に強い日本では、禁止されなくても観光旅行は難しいのが実情。そういう規範で動く社会ですから、圧力を尊重することも重要です。一方、禁止と自由の間に段階がないのが大陸です。解禁となると業務だろうが、レジャーだろうが、普段通り移動を始めます。

 ただしこの移動解禁は 6月2日(火)からで、連休中は「自宅から100 km」の規制で取り締まられるとあちこちで警告されています。

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フランスは 7月4日からバカンス。6月によほどの感染増がない限り、このまま長期休暇に突入しそうですが、国外旅行は下火になりそうな気がします。とは言っても、もともとフランス人は、ドイツ人ほどには外国でバカンスを過ごさないので、あまり影響はないはずです。

 むしろ外国からの観光客をどの段階で呼び戻すのかの決断の方が、はるかに重要です。フランスは世界第2の観光大国なので、プライオリティの高い問題。

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ここからは想像ですが、EU内で人の移動が解禁されれば、感染の程度が低い国からの観光旅行は直ちに解禁されるでしょう。そして EU はバカンスシーズンに域内移動の再自由化を間に合わせたいはずです。

 ヨーロッパとの交流実績を考えると、入国が解禁されたら、日本政府は渡航を解禁するでしょう。しかし今の水準で感染が続くなら、ヨーロッパに渡航すると、日本国内にいるより数倍*感染しやすくなります。旅先では厚労省の「新しい生活様式」を思い出し、警戒しないと痛い目にあいます。

 

*:COVID-19は致死性も感染性も「悪い」インフルエンザ並みの感染症のようです。冷静に考えると数倍なら、他の国、他の感染症の問題と比較して特段の制限を設ける合理的な理由がありません。

閉鎖は予定繰り上げ、改悪は予定繰り下げ

感染の第2波も収束に向かいつつあります。それを受けて25日に日本全土で緊急事態宣言が解除されました。一方で部分的に自粛は継続、感染防止への努力を要求と、科学的には理が通っており、お上の指示としては歯切れが悪い状態になりました。政府はずいぶん前から、この歯切れの悪い状態への移行を予想していたようです。そこで「新しい生活様式」の提言を1月近く前に行ったわけです。

新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました(新型コロナウイルス感染症)|厚生労働省

この程度の提言なら、お茶の子さいさいですね。むしろこの種の提言を国民に周知するという政策の発案が良かったと思います。程度が低いと言われることが多い厚労省ですが、良い仕事でした。

 

街の様子も少し元に戻りました。平時を100、一番自粛していた時を 0 とすると、30 ~ 40 ぐらいに感じます。皆さん慎重。こんな感じで、一人一人が感染に怯えながら、経済活動を元に戻す努力がしばらく求められるのではないでしょうか。

 

個人的にはお籠り消費をまだ続けます。ワインの在庫整理。

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Joh. Jos. Prüm の 2005er Wehlener Sonnenuhr Auslese GOLDKAPSEL。この系統のワインも10年ぐらいで価格が高騰しましたね。Mosel, Saar の Auslese 以上は古い年のワインも市場に出ますが、その値段たるや凄まじいことになります。この傾向は割と昔から。オークションアイテムですから当たり前と言えば当たり前。

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Joh. Jos. Prüm の場合、Goldkapselは畑の区画が違い、味わいはずっと深くなります。そして年とともに深味が増すのですが、酸の支えも強くなるためか、何故か軽やかな感じになります。

 

緑が抜けた黄金色。Rieslingらしいブーケを放ちます。甘味が分厚くなり、力強いワインになっています。これで15年。相当ゆっくり熟成しています。

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この畑特有の変身ぶりを知りたいなら、Kabinett がおすすめ。Médoc の Cru Classés もそうですが、ケース買いし、年月をかけて消費するのが良いワイン。Kabinett だと5~10年で十分ですが、このワインだとその10倍以上の時間が必要なようです。

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開ける必要がなかったワインでした。

 

ヨーロッパの感染の状況と行動制限緩和

EUは、先週ぐらいから本格的に行動制限を緩和し始めました。新型肺炎の感染が一時期に比べて落ち着いてきた一方で、いつまでも経済を停滞させるわけにはいかないと社会の合意が形成されたということです。この発想は日本と全く同じですが、非常に大きく異なる点があります。それは新規の感染件数と死亡者の数です。解除を進めている欧州での数は日本の流行最盛期より多いのです。例えば直近一週間の平日のドイツと日本のデータ。

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ドイツのデータに1.52をかけると人口当たりの数として比較できます。死者の数で5倍ぐらいですね。向こうの政府の立場では、日本のレベルまで安全になるのを待っていては社会が完全崩壊するし、日本政府の立場では、欧州がリスクをとるのに、十分安全な日本がこれ以上安全を求めるのは馬鹿げているとなります。

 

こういうデータを見ると、疫病終息には「人々が恐れなくなる」という因子が確かにあることが分かります。また疫病のもたらす一番性質(たち)の悪い効果は、恐怖の蔓延という説も説得力があります。

 

先進のギリシャ

制限緩和のトップランナーギリシャ。6月15日より日本を含めた29か国の観光客を迎えます。観光がGDPの2割を産むという産業構造とはいえ、大胆です。

Athènes dévoile la liste des touristes qui pourront venir en Grèce cet été | Euronews

早々に出かけ、思う存分羽を伸ばしていると、感染して帰国という可能性が高いので、注意が必要ですが、可能になったという事実だけで心が軽くなります。

 

政府の決定を踏まえたのでしょう。エーゲ航空も会員にメールを送ってきました。

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少し前のエーゲ航空の降機時の写真。密ですね。単通路のA320ではこんなもの。ここ2、3か月でこうした光景にすっかり嫌悪感を覚えるようになりました。

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天寿を全うできそうにない Tegel

夏のバカンスは何とかしたいと考えるのは、ドイツ政府も同じ。民族移動が戻ってほしいはずですが、首都空港の Flughafen Tegel は6月15日で廃業になる可能性が出てきました。

Corona: Flughafen Tegel (TXL) schließt, BER-Eröffnung rückt näher - Berliner Morgenpost

"Um Betriebskosten zu sparen, kann der wichtigste Flughafen Berlins am 15. Juni vorübergehend außer Betrieb gehen - wenn sich die Lage in den nächsten Wochen nicht deutlich verbessert."

新空港 Flughafen Berlin Brandenburg の開港日、10月31日が確実になったのは今回の疫病騒ぎの最中。もともと Tegel は、新空港開港後の廃港が決まっていました。疫病のため Tegel から旅客がいなくなる一方で、空港の維持に多額の費用が垂れ流しということで、前倒しで閉めようという発想になったようです。

 

2、3週間様子を見て決定するようです。"deutlich verbessert"がどの程度を意味するのか分かりませんが、劇的に回復しない限り廃港になりそうです。

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まだ可能性の段階で、こんなことを言うは何ですが、個人的には寂しい限り。

 

マイレージプログラムでは改悪も延期

Lufthansa 他のマイレージプログラムの  Miles & More は、改悪が予定されています。マイルは航空券価格から計算され、上級会員基準は搭乗キャビンクラス4種と距離2段階のポイント制になり、搭乗マイルは全く関係ないプログラムになります。その内容は昨年11月に記事にしました。

上級会員への道程を変えるMiles & More - バス代わりの飛行機

改革が発表されたとき、新プログラムへの移行は2021年1月1日と発表されていました。これが「コロナ危機」のため、2022年1月に延期されます。先週末のニュースです。

Lufthansa-Bonusprogramm: Wer vom Aufschub der Miles-and-More-Reform profitiert

"Die Gute Nachricht für alle Vielflieger zuerst: Die Lufthansa-Tochter Miles and More verschiebt die umstrittene Reform ihres Bonusprogramms aufgrund der Coronakrise um ein ganzes Jahr auf Januar 2022."

記事ではボーナスプログラムと呼んでいますね。"die umstrittene Reform "(議論の的になっている改革)と言いつつ、その実施の延期が、”Die Gute Nachricht für alle Vielflieger”(よく飛ぶ客全てに良いニュース)ですから、当地では改悪という評価が普通である模様。

 

Miles & More でもステータスの一年延長は決まっていますが、プログラムの改革も一年遅らせました。時計が一年止まったようなものです。

 

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フランスも規制の段階的解除

フランスは 5月11日月曜日から行動規制、営業規制を解除し始めました。17日日曜日からは、居住地から100 kmまでの外出が認められました。早速 Michelin は、大都市の半径100 km圏のお出かけ情報をメール配信しました。16日土曜日午後のことです。

 

「125 kmの行程は禁止されている?それほど明らかではありません。もし目的地が直線距離で100 km未満だったら、行き着くことができます。」と、さっそく自動車旅行の提案。今の時代、ポイントからポイントで簡単に距離を測れるので、こういう観光情報も立体的に使うことができます。

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タイヤメーカーのMichelin は、ご存じの通り地図や旅行ガイドを核とした旅行の総合サービスで知られています。ソフトな部門で働いている人たちには、待ってましたとばかりに仕事をします。

 

このように少しずつ社会が始動している感じは、明るい気分をもたらします。

 

段階的に活動が許可され、5月28日木曜日11:00にはパリの Bd. Haussmann のデパート、Le Printempsが再開店します。規制解除の象徴的な出来事らしく、大々的な記事になっています。

https://actu.fr/ile-de-france/paris_75056/deconfinement-a-paris-le-printemps-haussmann-autorise-a-rouvrir-ses-portes-par-la-justice_33867877.html

最初は時短営業と、日本と同じ。外国人観光客はほとんどいないので、さぞかし空いていることでしょう。

 

パリ空港も現状を伝えます。ポイント会員へのメールですが、平時と変わっている点を旅行者に伝えます。旅行者も従業員も空港でのマスク着用が義務付けられているとか、消毒用アルコールゲルがチェックインから搭乗までのあらゆる場所においてあるとか、掃除と感染防止を徹底して行っているとか、到着客は赤外線カメラによるチェックが入るとか、まるで当局者の案内のようです。

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営業しているターミナルは増えていませんが、商業的施設は次々再開します。2E-K と 2F では化粧品、モード、アクセサリー、本、食品が営業を始めました。レストランは 9:00 ~ 20:00に利用できますが、テイク・アウェイのみです。これまではわずかな食品と薬局だけだったので、だいぶ良くなりました。

 

会員相手には、ポイントキャンペーンも行います。全会員に 100 pts あげますと、雀の涙でもうれしいタダ。

Pour célébrer ensemble la réouverture de nos commerces, nous sommes heureux d'offrir à chaque membre du programme de fidélité My Paris Aéroport un bonus exceptionnel de 100 points.

ちなみに2020年12月31日に期限が来るポイントは、2021年6月30日まで有効になります。

 

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ヨーロッパの多くの国では、夏のバカンスに間に合うように域内移動を可能にするようですが、6月に新たな感染の波が来たら、それは流れるかもしれません。規制を緩めた結果、感染が拡大、再度規制という可能性はしばらくつきまといます。夏と旅行をめぐる状況は日本国内とよく似ています。未来はなかなか見通せません。

拡大するワンワールド

鬱陶しい価格上昇

ふと調べてみると、Prieuré Roch のワインの価格は凄いことになっていますね。10年ぐらい購入していないので、全く知りませんでした。最近の Clos de Bèze の価格は、2005が出た時の4倍にもなっています。もし 2005 が今(信用がおける筋から)出たら驚異の価格になります。現在の価格を投影すると、前の記事が金持ちの道楽のように誤解されてしまいます。価格を調べそこなったのは、痛恨のミス。

 「安いうちに買う、安いうちに楽しむ」が高級*ワインへ近づくための基本。無理がない程度の贅沢を越えることはありません。

*:ワインの場合、高級には基準があります。産地、品種、栽培法、製造法が保証される(あるいは透明化される)ことです。ここでもこの意味で使っています。Bourgogneだったら、AC Bourgogne pinot noir は高級ワインです。この意味での高級ワインの反意語はデイリーワイン。

 

少しビビりつつ、また在庫整理で Prieuré Roch。自粛ばかりだと気が滅入りますから、少々派手にやるのも必要。さてこれも最近の年の品は、価格3倍。それを考えると萎えますが、心を鬼にして開栓。 

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Clos de Vougeot だとすぐわかる香りを放ちます。cerise や cassis、reglisse、そして特徴的なviolette。おそらく Clos de Vougeot の中でも、中腹付近の区画が多いと思います。そして固い芯を感じさせます。見事な Roch 節です。

 Côte de Nuits の 2006は出た当初、奇妙なワインでした。多くのワインが、最初から熟成しているような感じなのです。それを除くとバランスがとれており、1997、1998、2002のように早くから飲めるかもと予想していましたが、このワインは14年経ってもまだまだ若々しさが残ります。バランスは良いままです。

 

こういう熟成したワインは、基本的に機内食では出せません。長期熟成させるとどうしても一本一本に差が生じますが、品質のばらつきは機内食では最も嫌われるところ。機内食が目指すのはダイニングであり、レストランではありません。熟成の頂点にあるグランクリュなどは不適切なのです。

 

本題

さて武漢肺炎-コロナウイルスによる空前の災禍の中、ロイヤルエアモロッコ(Royal Air Maroc, RAM)が oneworld に正式加盟しました。4月1日のことですからそろそろ2か月になります。

Royal Air Maroc est membre de l’alliance Oneworld | Air Journal

この加盟により、oneworld の路線網に 39 の就航地が新たに加わります。RAMはカサブランカを本拠地とし、50国以上100以上の就航地を持ちます。路線網はアフリカ西部と西欧が充実しており、その他にアメリ東海岸とブラジル、中東の都市が加わります。FFPもプラチナ会員を加えて拡充したようです。

 

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ロイヤルエアモロッコの加盟はその後全く話題に上がりませんが、これは自粛ではなく当然の現象。目の前の疫病でみんな頭がいっぱい。それに加えて、飛行機が飛んでいないのですから。

 エイプリルフールが加盟日なんて、縁起でもない日取りを選ぶから...なんて非難じみたことを言ってはかわいそうです。東京オリンピックで軌道に乗るはずだった ANA と Virgin Australia との提携*のように、加盟が十分機能する前に会社が破綻という展開はないはずですが、oneworldの別の会社の破綻はありえますね。

 

**ANAとしてはオリンピックを足掛かりに日豪路線を JAL-カンタスから奪おうと準備万端だったのに、全てが吹き飛びました。恐るべしコロナウイルス

 

さてもう一つの強力な加盟会社はアラスカ航空アラスカ航空はとても積極的で、加盟のスケジュールを会社のウェブサイトで宣伝しています。

https://www.alaskaair.com/content/oneworld/alaska-airlines-to-join-oneworld

アメリカン航空にべったり協力して、その先に oneworld がある感じです。加盟時期は来年夏を予定しています。

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アメリカンとしては 現金をたんまり持つデルタに LATAM を取られ、南米は弱くなったのですが、本拠地で一本返した形。

 JALoneworld に加盟した原因も、結局アメリカンとの提携にたどり着きます。あれがデルタだったら、今頃 JALSkyteam だったかもしれません。oneworld といえば、AA以外は BA の旧植民地-英連合が基礎になっている印象が強いのですが、AAの影響力が再認識できるようなお話です。

 アメリカで残る大手はハワイアン。現在 JAL との提携を強める一方なので、条件が整えば素直に oneworld 加盟につながりそうです。oneworld はすでにフィジー航空を oneworld connect 会員として迎えています。もしハワイアンが加わると太平洋は oneworld が制覇することになります。

 LATAM が落ちたのは、人によっては痛かったと思いますが、oneworld は南米と東アフリカを除き、世界全域をカバーすることになりそうです。CX や MH の状況は不安ですが、今のところ oneworld はますます便利になる予定です。

更新はありえないのに更新されている会員資格

自粛要請で大阪はエンゲル係数が上がったなんて記事がありましたが、皆様のお籠り消費はいかがでしょうか。量が増えたとか、高級化したとか、初めてのレシピに挑戦したとか、人によってそれぞれでしょう。料理のレパートリーを広げた方は、逆境を利用できるたくましさをお持ち。仕事もデキる方なのでしょう。

 私めのお籠消費は、大掃除や断捨離の一種、ワインの在庫整理です。高級化に分類できるかもしれません。年を取り過ぎたと思われるボトルを立て続けに開けています。

 

2002年のCheval Blanc。

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一般に 2002 の Bordeaux は若い頃、近寄りやすく魅力的なでした。今このボトルは、面白みがない老人のようになっています。Saint-Émilionは若いうちに飲んだ方が良いことを再確認。

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注意散漫で、抜栓時にコルクを折ってしまいました。

 

一方で 2005 の Bourgogne はまちまち。これは若い頃の特性が失われずに熟成したなかなかのワインでした。ブーケにも味わいにも硬い芯を感じさせる Prieure Roch のスタイル。堂々たる風格もあり、これぞ Bourgogne rouge。

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ただ Clos de Bèze としては、ややとっつきにくさも感じます。2005の特徴でしょう。ブーケは十分。折り目正しい貴公子といった風情でした。

 

そして別の grand cru。作り手によって、味わいが異なる Bonnes- Mares。

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Bonnes-Mares が作り手によって全然違うワインになる理由は長らくわからなかったのですが、ある雑誌のバックナンバーに赤い土壌と石灰質土壌が区画によって入り組んでいるという記述を読んで、瞬時に疑問が解消しました。そしてありがちな話ですが、複数区画を所有する場合、その時調べた限りではどの作り手も混合して Bonnes-Mares を作っていました。土壌が2種カバーできる場合は混ぜることになります。若い時もとっつきやすく、よく熟成もするというワインが出来るので、誰にとっても都合が良いわけです。

 Groffier も複数の区画を所有し、そうしたタイプのワインを作ります。このワインもバックボーンがしっかりしており、美しく熟成していました。人に例えるなら美熟女。

 

Groffierの「極めつけ」はこれですね。Chambolle-Musigny でも熟成に時間を要する畑です。Groffierはこの畑の最大所有者のはず。10年は待ちましょうというワイン。

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これはなかなか凄いワインで、開栓したとたん、テーブルにあふれんばかりのブーケを放ちます。滅多にない体験ができました。性格は一貫しており、静かな落ち着きに品の良い香り。この畑は、grand cru の持つ威風堂々とした風格を感じませんが、抗しがたい魅力があります。この魅力は Chambolle-Musigny の硬い一級畑に共通していますが、その中では別格です。

 

どうも怪しい GGL 更新

ブリティッシュ・エアウェイズの Executive Club。コロナ禍でも会員資格の更新には、渋い条件を前に出したまま、更新していません。多くの航空会社が搭乗実績がゼロでも、会員資格を1年間据え置きという措置をしていることに比べると、見劣りするというより不親切な感じを受けます。カタール航空は、さらにステータスマッチのキャンペーン*をおこなうなど、逆風下でもいろいろ手を打っています。

 BAは会員の心離れを心配していないのでしょうね。ただ、この見込みはそこそこ妥当な気がします。

*:5月20日まで。エミレーツ、エティハド、シンガポール航空南アフリカ航空トルコ航空、ヴァージンオーストラリアの会員が対象。地勢的に競合する会社と最近破綻した大手が狙いと、考え方がはっきりしていて、好感が持てます。もちろんBAは蚊帳の外。

 

一方、個人レベルでいろいろ起きていることも、伝えられます。Pechedenferのアカウントも更新条件には全く達していないのに、会員資格が更新されてたことになりました。

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まだ会員年度が始まって4か月。更新月は程遠く、エラーの疑いがかかります。そもそも GGL を4か月で更新するなんて、年換算なら 9,000 tier points 獲得することになります。平時だったとしても、とてつもないペースです。

 

それとも一律に会員資格1年延長になったのでしょうか。

 

ALLは会員資格を1年延長

こちらは確実。

 Accor は、2020年の会員資格の更新に必要な半分の宿泊実績を付与するという対応を行っていました。しかし結局、無条件で会員資格を一年延長することになりました。メールでの連絡。

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”le statut que vous avez obtenu en 2019 sera prolongé jusqu'au 31 décembre 2021, vous laissant ainsi plus de temps pour profiter de tous les avantages de ALL-Accor Live Limitless. ”

結局現在の会員資格は、2021年12月31日まで有効。さらに、2020年 7月 1日から12月31日までの宿泊実績は、2021年のものとして積算されることになりました。2021年はポイントや宿泊数を貯める期間が 1年半になり、2022年は上の会員資格を得ることも容易になります。以前のキャンペーンと合わせて、メリットをゴールド会員の場合について整理すると、

・2021年はゴールド会員かそれ以上

・2020年12月31日までに45泊したら2021年12月31日までプラチナ会員(通常60泊)

・2020年 7月1日~2021年12月31日の18か月間に、30泊したら2022年はゴールド会員、60泊したらプラチナ会員(通常12か月)

となります。ポイント基準でも同じような緩用が受けられます。

 

またプラチナ会員、ダイヤモンド会員の場合、未使用のスイート・ナイト・アップグレードの期限も延長されます。2020年12月末だった特典の期限は1年間延長されます。

 

飛ばないし、動きも鈍い航空業界

事業が感染拡大に影響しない会社では、多くの社員がテレワークに突入しています。個人のキャリアとして考えた場合、これらの社員は重要な技術*に習熟できます。うれしくない状況の中、滅多にない貴重な経験を積むことになったはずです。

*:服装やカメラの設置位置から始まり、コミュニケーションの道具の使い分け、生活と仕事の調整とか、ノウハウが山ほど得られたのではないでしょうか。まさに「仕事はやって覚えるもの」です。

 

Pechedenferもそうですが、遠隔で会議を開催したり、共同作業を進めたりするプラットフォームが格段に進歩していることに驚いた人が多いのではないでしょうか。しかもここ2、3年の進歩が重要だと知り、さらに驚き。

 新しい情報プラットフォームは、社会の基礎を更新します。一気に進めるほど効果が高いのに対して、様々な方法や様式が革命的に変わるので、導入のハードルは高く、普及は難しいはず。しかし在宅勤務の実施や会社の分散化については、パンデミックのせいで状況が急転しました。働き方が元には戻らないとの予想は、今このプラットフォームと格闘している人なら実感していることでしょう。

 

そうしたビジネスの急激な進化の一方で、感染拡大を招くとされた業界では、大勢の人が職業の空白期間に突入しています。こうした人たちは経済的に困窮するばかりか、社会のパラダイムシフトに乗り遅れます。

 一方はキャリアを膨らませ、パラダイムシフトを享受、他方は時間を失い、社会から置いてきぼりを喰らうとは、世の中は不公平**にできています。

**:そこそこ深刻な社会格差の横で、必要なのに習熟しない年輩社員もいるでしょう。良い経験になるとか、パラダイムシフトをものにするチャンスだとか一切考えない人たちです。

 若者の方が新技術の受容力が高いのは当然。誰しも自分のペースでしか学べないのも当然。ゆっくりでも学ぼうとする気概がないようでは、生きる屍です。

 

ADP (Aéroport de Paris)からのお知らせ

10日ほど前のお知らせ。

”Depuis le début de la pandémie et le début du confinement, le nombre de vols et de destinations desservies (toutes compagnies) ont ainsi considérablement diminué, pour aujourd'hui représenter une soixantaine de vols commerciaux chaque jour (uniquement pour les passagers qui ont la nécessité de se déplacer). Ces vols s'effectuent quotidiennement depuis les terminaux 2E hall K, 2F et 2A de Paris Charles-de-Gaulle, dans lesquels quelques boutiques Relay, pharmacies et enseignes proposant de la vente à emporter restent ouvertes. Comme partout ailleurs, les commerces non essentiels sont pour le moment fermés. ”

パリの旅客便は一日60+便で、Charles de Gaulle の 2E-K, 2F, 2Aのみ営業中。商業施設は雑誌・雑貨のRelay、薬局ぐらいしか開いておらず、必要不可欠でない商売は、他の場所と同じで行われていません。

 

現在のフランスの状況で、いったい誰が飛行機で移動するのでしょう。60便も飛んでいる方が逆に驚きです。

 東京の場合、羽田空港だけでも現在一日130便出発しているので、パリよりだいぶましです。日本の活動制限はスウェーデンによく似ていますが、犠牲者の数***は圧倒的に少ないのが特徴。スウェーデンの死者も、西欧各国と比べて特に多いわけではありません。social distancing は微視的には感染予防に効果的でしょうが、社会全体に強制しても感染拡大防止には大して寄与しないのかもしれません。

***:現時点では感染の認知件数は、ウイルス蔓延の指標にはならないでしょう。

 

ビアンカの倒産

Chapter 11ですね。債務者主導で再建ということです。

 アビアンカスターアライアンスのメンバーですが、コロンビアの航空会社ということもあり、日本ではなじみがありません。しかしマイル販売で140%ボーナスが可能などという大胆なプロモーションを行うので、陸マイラーには知られていたのではないでしょうか。最近では2020年2月にプロモーションが行われています。このプロモーションに合わせて、スターアライアンス特典航空券のプロモーションを3月12日の予約まで実施。その後5月10日に倒産。何となく胡散臭い話になりましたが、LifeMiles は独立した会社で会社再建とは関係ないようです。やはり陸マイラー向け?

 

ウェブサイトは、何も起きているようには見えません。

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右上の Breaking news は Chapter 11 適用申請の件ではなく、コロナウイルス関連のニュースですがクリックしても新たな反応がありません。それなりに会社は混乱しているようです。

 

JALの航空需要の見通し

航空券の販売を見ていると、会社が未来をどう予想しているのか見えてきます。もちろん最大限楽観的な見通しになります。

 国内線は5月中、7割程度が削減されます。一方で販売価格は高めに設定されています。しかし減便=減収をカバーするには程遠く、その意図はないと思われます。いつもより手間がかかるのでその分のコストを負担してもらうとか、不要不急の移動を排除するとか、そういう発想ではないでしょうか。

 6月以降の国内線は、見たところ平常レベルで販売しているようです。平年の状況を予想して、販売しているわけです。その通り感染拡大が収まると良いのですが、欠航の雨あられとなる気がします。

 

一方国際線は6月30日までの搭乗分に関して、運賃種別にかかわらず取消手数料なしで払い戻し可能です。変更も無料で可能。12月15日から1月15日までの期間を除き、3月31日までの便へ替えられます。

 この措置から考えると、6月の国際線の状況は現在と変わらないと見ており、年末年始には航空需要の復活を予想しているようです。

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さてどうなるか。需要のV字回復を期待して待ちましょう。