PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

世界一のビジネスクラス:カタール航空(その2)

2. ワイン

一般にビジネスクラスでは、大手メゾンの一般キュベのChampagneが出ます。これはどこの航空会社でも五十歩百歩です。その他のワインは航空会社で差がありますが、価格帯は、欧州ではやや所得の高い人が、来客時に出す程度でしょうか。

 

CXではタイプの異なる赤、白を2種づつと、ヴィンテージポートを用意しています。食事に合わせて楽しむには十分です。この間乗った時のポートは、2008年と若いモノでしたが、食事を閉めるのに頼もしい存在でした。

 

一方、QRは非常識とも言える充実ぶりです。Champagneが白とロゼを一種づつに加え、別種のボトルを積んでいることもありました。さらに赤と白を最低3種づつに加え、ビンテージポートを1種積んでいます。それ加え、リストにないワインを載せていることもあります。リストの更新時に余ったワインではないでしょうか。ワイン好きを想定、リストを補強して喜ばせるためでしょう。

 

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ある便のワインリストです。

LANSON brut 1999

Taittinger Prestige Rosé Brut

Meursault 2009 Chartron et Trébuchet

Zeltinger Sonnenuhr Spätlese 2012 Selbach-Oster

Château Monbousquet 2007

Mclaren Vale The Footbolt Shiraz 2010 D'Arenberg

Amarone della Valpolicella Classico 2009 Tommasi

Bonnezeaux 2010 Château de Fesles

Kopke Colheita 1974

これは昨年のリストです。種類もさることながら、普通のビジネスクラスのワインより格が上のモノが多いことがわかります。白泡は古めのミレジム付です。桃泡は(品質はともかく)同じ名の白泡より確実に高価です。Bourgogne白は人気生産者ではありませんが、堂々のMeursaultです。ドイツワインは「まずまずの知名度で高品質なワイン」。2012のMoselは傑出したワインがぼちぼちありますが、このワインも大成功ですね。Bordeauxは、2000や2005だったらファースト向け。2007でもビジネスで出たら、普通は他を圧倒するスターです。Amaroneをビジネスで出しますか?というか機内で出しますか?選択肢が多いゆえ可能なワインです。アリタリアヴェネツィア直行便が就航、これを記念して期間限定で全イタリア―日本便のマニフィカクラスで出すという企画なら理解できますが...。これも格上です。AC Bonnezeauxはこのリストの中では安価ですが、甘口と言うことで揃えたのでしょう。これも機内で出会うことはあまりありません。最後はビンテージポートの定番品ですが、ミレジムが1974。本気で飲み頃のモノを持ってきています。

 

ポートはオリを入れない訓練をしたのでしょうか。きれいに注いだものを持ってきました。他のワインは、シートまでボトルを持ってきて、ラベルを確認させ、その場でグラスに注ぐというレストランの給仕スタイルです。

 

飲み頃の「高級」ワインを機内で出して、客を喜ばすことは難しいので、種類が多いことは重要です。(ポートはともかく、高級になればなるほど、熟成すればするほど給仕が難しくなるので人材が追いつきません。また一貫して振動や温度変化を抑える工夫が必要ですが、空港-航空機で実現するのはほとんど不可能です。個性も強くなるので、好き嫌いが出てきます。料理との相性にも敏感になります。コレクションを持つような人は、機内のワインにその種の期待はしないでしょう。)

 

ワイン好きにはこの種類の多さは魅力であり、ワインに惹かれてQRを選択してしまいます。ワインが目的の人は、料理の方は本物・正式にあまり拘りません。QRのディナーは、地上の食事よりも「良い」食事にすらなりえます。

 

こんなリストがどうして可能なのでしょうか。驚異です。

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3. 機内食の種類

確かCXはチョイスが2~3種ですが、QRは 4 ~ 6 種から選べます。選択肢が多くて迷ってしまいます。なおアラビア風料理もありました。これは善し悪しですが、QRはコースの枠にこだわりません。2種メインを頼むのも規格から外れた注文ではありません。なおドリンクを飲ませている間に主要な皿の注文をとり、順次調理と給仕、デザートやチーズはその後、注文を取るスタイルです。