PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

CX521:NRT-HKGエコノミー(その1)

久しぶりのCathay Pacificのエコノミー。前回は啓徳空港時代だったので何年前でしょう。予約して以来、楽しみだったフライトです。

 今年Cathayはビジネスばかり8発乗っています。ここのビジネスクラスは、次から次へとサービスが続き、しかも担当によって対応が微妙に異なるので、客も気の利いた言葉をかけないといけません。それ自体は良いサービスの在り方なのですが、退屈させてくれないと言うか、中華的もてなしだと言うか、静かに移動している感じがしません。映画に気を取られるなど、もっての外の礼儀知らずに思えます。良く言えばCathay Pacificは搭乗自体を旅の目的に変えます。悪く言えば、クルーは存在感があり過ぎでしょうか。

 私は「よいしょっと」oneworldの上級会員になりましたが、マルコポーロの会員ではありません。高密度サービスは自社会員向きにして、一見および外様相手には少しトーンダウンした方が馴染みやすい気がします。エコノミーならサービスを薄めざる得ないので、大丈夫なはずです。もしかするとちょうど良い加減かも、という期待も含めて、エコノミーのサービスにも関心が出てきたのでした。

 

成田空港第2ターミナルは、CX451(15:50発)とCX521(16:55発)の搭乗客が重なる時間帯なので、相当長い列をなしています。搭乗手続き開始まであと5分です。

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ファースト・ビジネス用のカウンターでも列というほどではありませんが、手続きが始まるのを待っている人たちがいます。

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私は両替ついでに散歩しました。最近第2ターミナルはスペースに余裕があります。広々して、気持ちよさを感じるほどです。

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8月中旬とは思えないほど空いていますが、実はチェックインホールにつながる商業エリアが混んでいました。散財する人が多いのは結構なことです。

 

搭乗時間になったので、Cathayのラウンジを出てゲートに向かいます。これが本日お世話になる機材。

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Cathayは自前の「はたらくじどうしゃ」を多く抱えています。地上係員も大勢います。成田でも存在感がある航空会社なのでした。

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さっさと乗り込みましたが、リクライニングが不可能なシートです。私はほとんどリクライニングしないので、気になりません。このシートはそれほどでもありませんが、最近のシートは人間工学的に考え抜かれているため、リクライニングするとバランスが崩れ、身体の一部に負担がかかります。

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A330主翼の上に非常口がありません。したがって不時着が陸上か海上か判断する必要がなく、最寄りの非常口を覚えておけばOKです。

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今回はエコノミーだから、anonymeとして香港まで行けると気楽に思っていたのですが、そこまでは甘くありませんでした。

 まずFlight Purserが、プリンターで打ち出した用紙で名前を確認しつつ、挨拶に来ました。”Mr. xxxx, I'm ○○○○. Thank you for..."「せやからそれはいらんちゅうねん」という心の叫びは相手に聞こえるはずもありません。彼女は、"En cas de besoin, appuyez sur ce boutton. Je reste à votre disposition."のような、ありがちのセリフで締めるので、私は「にこやかに」感謝の意を表しました。私にだけ挨拶して、すたすた行ってしまったので、周囲の日本人客たちには、微妙な空気が...。

 ビジネスクラスだったら、ワゴンサービスで客一人一人に流れ作業のごとく挨拶がありますが、エコノミーで「選ばれて」挨拶となると、周りから確実に浮きます。

 

なお悪いことに、しばらくすると In-flight Service Manager がやって来て、また”Mr. xxxx, I'm ○○○○. Thank you for..."です。さっきクルーから挨拶があったのに、明らかに上役とわかる女性が丁寧に挨拶していることに、周囲の空気はさらに微妙なものに。まさに"de Charybde en Scylla."という展開になりました。

 

もちろんFPをCharybde、ISMをScyllaに喩えるのは少し失礼です。そもそも挨拶サービスは客のためだけではありません。

 

キャビンにいる搭乗客は毎回異なります。クルーは毎回異なった環境で、サービスと保安を確実に成し遂げる必要があります。現場監督 ISMがその現場を知らなくて、どうするのでしょう。身障者何番、幼児何番と、非常時の要注意客は書類で座席位置をチェックするだけでしょうか?搭乗が完了した時点で、全キャビンを見回るのは当然だと思います。しかし単純な現場確認では不作法です。一部の客への挨拶回りは、自然にキャビンを回る洗練された方法です。

高頻度搭乗客には、できる範囲で最大限喜んでもらうというサービス精神もあるでしょう。高頻度搭乗者を大切にするという会社の姿勢を利用者に宣伝することも大切です。

繰り返すようですが、こういうことは自社会員を対象にすれば良い気がします。エコノミークラスの持つ気軽さという利点が失われます。oneworld他社のFFP会員を挨拶で籠絡、マルコポーロに入会させようという腹でしょうか?策略としては悪くありません。ステータスマッチよりはるかに洗練されています。もしそのFFP会員が目立つことが好きだったら。

 

私は見回りの口実だろうが姿勢表明の材料だろうが、Cathayの役に立つことは単純にうれしいのですが、「特別な」挨拶には魅力を感じません。しかしながら、この種の挨拶をありがたがる人も数多く存在することは承知しています。

 

たかが挨拶、されど挨拶。客の方で意見が分かれるなら、Cathayの考え方次第です。