さて香港からの帰りはCX500。本拠地だけあって、空港ではCathay Pacificのチェックインカウンターがずらりと並びます。ところがoneworld Emeraldのマークが見あたりません。時間が十分あったので、取材気分でエコノミーの列に並びます。カウンターはただ設置してあるだけでなく、多くが稼動中なので待ち時間はほとんどありません。エコノミークラスでもストレスフリー、Cathay Pacificでした。
8月はエコノミークラスのサービスを書こうと考えていました。他にDeltaとChina Airlinesに搭乗するので、同じタッチでまとめれば自然と比較でき、3社の近距離便エコノミークラスの特徴を浮き彫りにできると期待していました。
しかし最後の段階でつまづくことに。乗り遅れでもなく、他社への振替えでもなく、ビジネスにup-gradeされてしまったのです。この3つの中では、ネタとしてもっとも面白くありません。
ここでエコノミークラスをしっかり体験しないと、画龍天睛を欠きます。ブログの計画は大幅変更になります。かといって、up-gradeを断るのは相当のへそ曲がり。oneworld偏屈者リストに載ると後々面倒なので、オファーはありがたく受けることにします。カウンターではお礼を言いましたが、複雑な表情になっていたと思います。
Cathayは他社FFP会員もup-gradeするのでした。ただし、彼らも搭乗実績にはうるさいようです。私の場合、過去半年で10回目の搭乗になります。確かに多いかもしれません。彼らは名前とパスポート番号からIDが取れ、過去の搭乗データなど簡単に使えますから、FFPには関係なく自分たちの尺度で顧客を測れます。もしFFPが表示されなければ、マルコポーロクラブへの無料入会をオファーされていたでしょう。この会社はマメですから。
ラウンジは搭乗キャビンと関係なく使えるはずなので、出国審査の出口近くにあった The Wingに入ります。ホテルを出る前に朝風呂に入ったので、シャワーも個室風呂も使いません。皮膚の常在菌を必要以上に殺すのは健康によくありません。
長いカウンターがCathayらしさを演出します。隣の食事スペースでは、Grauer Burgunder(aus Deutschland)とCabernet Sauvignonを一杯づつ頼みましたが、供出温度が抜群でした。赤ワインはたぶんde la rive gauche (de la Gironde) で、わずかな青草の香りと上品な土の香りなどがします。比較的陽光に恵まれた年のようですが、がっちりした酸が全体を引き締めます。余韻は中庸~長め。ほれぼれするようなワインを買い付けてきたものです。状態が非常によく、輸出品では失われやすい口に含んだ時の「香りのふくらみ」が良く保持されています。香港経由のワインは日本では昔から評判が悪いのですが、一昔の前の常識は通用しないようです。
Business Travellerを供に時間をつぶします。もっともゲートは47番と遠いので油断禁物。空港の大きさは侮れません。
急ぎ足で向かったら、15分弱でした。往復したら冗談抜きでエアロビクスになります。つい最近DL285で飛び立ったゲートと同じです。
今日の機材はB777-200。
CX500の機材は季節、期間によって細かく調整されます。今回は機材が何であったか忘れていましたが、予約を確認したら当初からB777-200でした。ということは、up-gradeはoverbookingでしょうか?
搭乗してみると相当年期が入ったシートでした。背もたれの布のたるみ具合が、哀愁を誘います。
Cathay Pacificはこんなキャビンを数多く運用しているのに、SkytraxのBusiness Class部門で2位にランクされています。サービス要員が抜群に良いためとしか考えられません。
私の近所で、使用中にテーブルが壊れて、赤ワインを盛大に床に撒いた方がいました。経年劣化と整備不良が原因です。カーペットに染みができたぐらいで客に実害はなかったのですが、クルーのフォローが尋常ではありません。2クラスの機内だったのですが、一房のバナナ、一房のブドウ、オレンジを皿の上に盛ってexcuse。客に出さない生果実を積んでいることが明らかに。また「シャンペンのボトルを持って帰りませんか。重いでしょうか。ご家族でどうですか。」と盛んに機内消耗品の提供を持ちかけます。結局この不運な客は、プラリネチョコレートを一箱受け取ったようです。ご立腹には見えませんでしたが、謝罪攻勢は忘れません。私もこんな派手ではありませんが、少し経験があります。Cathayは小さな過ちでも、気が付いたらきっちりフォローします。
ビジネスの食事はいつものように、2時間以上かけてゆっくり進みます。適当に写真は端折りました。メインの中華料理です。
この個体は白米の加熱に失敗しています。写真でもわかるかもしれませんが、容器の温度が上がりすぎて、容器に接触している米が焦げる寸前です。機内食でおこげができるのも一興ですが、とにかくup-grade客なので積極的にそういう皿をもらいます。
カロリーも積極的に摂取します。
プラリネチョコレートはトイレに行っている最中に配られたようで、自動スキップしていました。クルーはこの時点で、あの不運な客に渡す心積もりができていて、配布を抑えたのかもしれません。私はチーズも羊羹も完食していたので、未練はありません。
ちなみにトイレには花が一差。
これは日本人の仕業でしょう。オーラが出ています。